定番のラブコメかと思いきや、実はホラー&パニックもの。SOS信号を受信し、海底の秘密施設へ救助に向かった特殊能力者たち(生徒と教師)が化物に襲われる話。
ラノベとしては珍しく、やろうとしていることも面白いのだが、いかんせん荒が目立つ。
まず二次遭難が発生した場所に、生徒を連れて救助に向かうという選択がありえない。
完全新規のファンタジーワールドではなく日本が水没した未来という設定なので、救助に関するノウハウが現代より劣るとは考えにくい。こうなると悲劇を演出するために作者が無理矢理救助に向かわせたようにしか見えず、読み手としては冷める。
そして筆力が足りない。
海底や水没都市の描写、施設内の移動時や戦闘シーン。あらゆる箇所で筆力不足を感じる。ホラー度が高まってきた頃にスキルの説明が長々入るのも雰囲気台なし。
ジャンル的にラノベではあるが、ホラーやるなら筆力はある程度必要だと考える。
後は欲を言えば、不穏な空気をちょくちょく匂わせるのではなく、まどマギのように一気にホラーへ舵を切ったほうが面白かったんじゃないかと。匂わせ回数が多すぎて、じわじわ恐怖をあおられるというより、「まだはじまらんのか」という気持ちが勝ってしまった。
題材はそそられただけに色々もったいない。