ユリゴコロ (双葉文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 親友がユリゴコロの原作を読んでいて、「映画なら観たよ。面白かったけど、無双シーンがあってあれは流石にギャグになってたよね。あと矛盾点もいくつか気になったなぁ〜」って話をしたら「原作あんなんじゃないから!絶対読んで!」とこの本を渡された。
    あれから随分経つし、映画の記憶も断片的で薄れてるので、あんま気乗りしなかったけど本を手に取り読んでみた。
    少し読み進めていくと「あれ…こんなに気持ち悪い話だったっけ?」って思うくらい描写が…何かちょっと気が滅入りそうなくらい気持ち悪さを感じた。
    途中、慣れて来たのかだいぶマシになったけど、面白くて読みやすくて3日で読んだ。
    「え?面白いのに1日じゃないの?」と思う方もいるかもしれないけど、めちゃくちゃ読むのが遅い私にとって、隙間時間で本を読み、3日で読了するのは結構すごい事なのだ。
    確かに原作と映画じゃ全然違った。
    断然原作の方が面白いし、映画みたいなギャグっぽい無双シーンもなくてしっくり来た。
    これ、先に原作読んでたら映画は楽しめなかったかもな…。

  • 沼田まほかるさんの作品が初めてでしたが、引き込まれて一気読み。早い段階で父から真実を聞き出していたので、最終的にどんな展開になるのかと思ったら衝撃の事実しかありませんでした。
    殺人をユリゴコロにし、体を売ることに何も感じない娼婦が男性に出会って心が変化していく様がリアルで、許されないし恐ろしいけど、幸せが続くことを願わずにいられなかった。
    因果応報となる前に最後に美紗子の母性が全て物語っている。怖くて悲しいのに読後は心が温かくなる不思議な小説だった。弟がかわいい。

  • 先へ先へと読み進めたくなる本だった。
    読み終わっての感想は、
    読んだことのないような小説。
    固定的に思って過ごしている感覚を、
    軽々と超えていく小説。
    そういうことってあるのかもしれないという
    感覚だけが残る。


    今まで読んだことのないようなタイプの小説で解釈に迷うような小説でした。
    一切の解釈を拒むような、軽々と法とか常識とかそういうのを超えて実感や行動が残るような感じがしました。
    おもしろいと前に友人にすすめられていたので。
    読んでいる間中、先へ先へと読みたくなる小説でした。
    読んでいる途中と最後で印象がとても変わりました。

  • やはりビックリドキドキできるのが良い

  • 堂々と人には言いづらいけれど、ミステリーやサスペンスが好きな人には一番に紹介する一冊。
    ミステリーだけど最後ほっこりして、そのほっこりに罪悪感を抱く。

    映画を見たときには怒り奮闘しましたw
    おいこら!なんて終わり方してんだ!
    バカにすんじゃねーぞ!とwww

  • 読み始めはぐいぐい引っ張られる感じで、徐々にドキドキ、最後は感動的でした。

  • サイコパスだけど本当の愛を知ることができた。

  • 30代になって、物語の主人公たちから少し距離をとって作品を楽しめるようになったからこそ読めた作品。もう少し感受性が若かった頃に読んだら、被害者に感情移入をしすぎて、作品を受け入れられなかったと思う。
    物語の前半は、不穏な空気とドキドキ感からページをめくる手が止まらなった。この不穏な空気から一度抜け出してしまったら、ここには帰って来られないかもしれないから一気に駆け抜けないと!という思いもあったかもしれない。
    後半は、前半よりショッキングな描写が減ったことと、少し展開が読める部分もあって、落ち着いて読み進めることができた。

  • 読んでいて思わず苦しくなるよう描写は相変わらず。それが星4です。内容はめちゃくちゃいいです。ずっと内容は暗いというか恐ろしさを感じるんだけど読む手が止まらない。最後はしてやられた感がすごい。まさかこんな感情になるとは、というラストでした。

  • 24/3/12

  • 読了日 : 2023年11月21日

  • えぐいえぐい、夏のじっとりとした雨上がりみたいな鬱々とした感じの小説だった。リスカの描写のところ、あまりに生々しくて痛々しくて読み飛ばしちゃった。作者が実際にやっているんじゃないかと疑うくらい、血の流れ、切る快楽がありありと伝わってきて読めなかった、、、

    まだページが残っているのに、父と母がどんな関係(父と生母の妹)で誰なのかわかっていながら、細谷さん(主人公のパートの人)が生母で本当は生きていたっていう展開全く読めなかった。改めて考えてみたら細谷さんは確かに、主人公のことを愛していたのがわかった。

    交差点に飛び込んでいった育てのお母さん(生母の妹)は、父のことを愛して子ども(主人公の弟)までいたのに、父はいつまでたっても生母のことを忘れられなかったのもあって、衝動的に命を落としたんじゃないかと邪推。

    千絵ちゃんの夫は多分細谷さんが殺してるんだ。主人公が千絵ちゃんの夫を殺す、と発言した際に、止めたのはもうユリゴコロを味わっていたからなのかな。ラスト、父と細谷さんはどこに行ったんだろう、、、何人もの人が死んでいるし家族関係地獄みたいなところあるけど、面白かった。本当に面白かった。

  • 三大イヤミスの女王と言われる沼田まほかるさんを初めて読んだ。
    読みやすかった。そんなにイヤー!とはならなかったけど。

    主人公が冒頭でノートを読み、すぐに大変だ!と血相を変えていたが読んでいる方としてそこまでの熱量にすぐに対応できず、感情移入できなかった。

    好きなシーンは川で死のうとしている美紗子をそのまま殺すか迷う父の独白のシーン。
    散々殺人をしておいて警察に見つかりそうになった美紗子が死にたがるのは殺人への後悔や懺悔ではなく捕まって父と離れたくないから。
    気が狂って自殺しようとしたなら人間らしいけど、狂っていないから狂っているという…。
    そんな彼女を倫理的に考えておかしいと思いつつも、愛おしいと思ってしまう父の葛藤が胸に刺さった。

    細谷さんまさか…?と思っていたらまさかでした。
    でもそういえば話し方…!と腑に落ちてそこに繋がっていたのかーと。

  • 人の死がユリゴコロ(拠り所)となってしまった「私」。ユリゴコロを感じるため、殺人を繰り返す。しかし「アナタ」と出会い、しだいに「私」は変わっていく…。

    「私」は幼少期の様子などから、少し自閉症の傾向があったのではないかと思う。「私」の「アナタ」や子供に対する思いにだけは共感できた。衝撃のラストに胸が締め付けられる、愛の物語。

  • いわゆるイヤミスなんだけど、実は美しい純愛・家族愛ミステリー。

  • 映画みてから、原作を読んだんだけど、
    血だらけの描写とかは実写の映像が浮かんで、すごくリアルに入り込めたなと思う。
    内容は原作のほうが好きかな、えみこが亡くなったのなんでなんだろうとかすこし思ったけど、ラストはとても感動した。
    いい終わり方だなぁって思った!

  • 慈愛的で狂気的な愛の物語だった。

  • これは結構面白かった!
    まず構成が面白かったし、全てが分かったように見せかけてまだ謎が残っていたのが良かった。
    途中、よくある展開になりかけると思いきや全然違った方向に向かって言って、最後の終わり方は思わず膝を打った。
    映画版も見てみたいかも

  • イヤミスで胸を打たれるとは思わなかった。何というか、ジーンとした。あまり書くとネタバレになってしまうので具体的な感想を書きづらいが、完全に騙された。そしてジーンとしたのだ。

    この小説の面白さはいくつかある。
    日記の書き手が主人公の身近な誰かかもしれないという謎かけ。
    日記自体が異常な内容でありながら、冷たい美しさを感じさせる魅力的な文章である。
    主人公の過去に隠された真実。

    過去と現在が重層的に絡み、無関係のようにみえた事件が繋がっていく。

    いくつか不自然だと感じる部分もあったが、それでも満足できる読後感。マラソンの後の解放感のような心地よい疲労だ。

    「彼女がその名を知らない鳥たち」でも感じたが、この物語もミステリーの皮を被ったラブストーリーだった。そして家族の物語でもある。
    読んで良かった。

  • 心理描写が上手く、先が気になってあっという間に読んでしまった。
    文章全体は不思議な不気味さは感じつつも怖いというわけではなく、美沙子の感情の変化に引き込まれていった。
    家族に愛され守られた亮介、今後も平穏に過ごして欲しいと思った。

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著者プロフィール

沼田 まほかる(ぬまた まほかる)
1948年、大阪府生まれの小説家。女性。奈良県在住。読んだあとイヤな後味を残すミステリーの名手として、「イヤミスの女王」という称号で語られることもある。
寺の生まれで、大阪文学学校昼間部に学ぶ。結婚して主婦になり、母方祖父の跡継ぎを頼まれ夫がまず住職となるが、離婚を経て自身が僧侶になる。50代で初めて長編を書き、『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞、56歳でデビュー。
2012年『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年本屋大賞にノミネート(6位)。それを機に書店での仕掛け販売を通じて文庫の既刊が売れ出し知名度を上げた。
代表作『ユリゴコロ』は2017年9月23日に吉高由里子主演で映画化。同年10月、『彼女がその名を知らない鳥たち』も蒼井優・阿部サダヲ主演で映画化された。他の代表作に、『九月が永遠に続けば』、『猫鳴り』、『アミダサマ』。

沼田まほかるの作品

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