おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書) [Kindle]

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  • 池上彰氏による、世界もしくは私たち人類を知るための基礎となるかもしれない知識・教養に関するレクチャー。
    次の7つのテーマから章立てされている。
    1. 宗教
    2. 宇宙
    3. 人類の旅路
    4. 人間と病気
    5. 経済学
    6. 歴史
    7. 日本と日本人
    ジャレド・ダイアモンドの銃・病原菌・鉄を平易にしたような雰囲気の本。
    「自分はどこから来て、どこへ行くのか。自分はいまどこにいるのか」という問いに対して理解を深めるというテーマを底辺に置き、それに関連するトピックとして各章を論じている。
    歴史や社会を時間軸を縦軸、世界の広がりを横軸に取った理解というのはなかなか難しく、それが分かりやすく述べられている。なかなか、こうした理解を持つことは当たり前のように思いつつも難しいのではないかな。
    良い導入本だと感じた。

  • なんて読みやすいのだろう。初出の事柄も平易な言葉で順序よく説明され、すいすいと頭に入り、更に理解を深めたくなる。宗教、宇宙、生物、経済、歴史などの観点から「自分とはなにか。どこから来てどこへ行くのか。何のために学ぶのか」を考えるヒントが示唆されている。

  • 幅広くまさに「教養」が書かれている。

    すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる。だから本当の教養というのは、すぐには役に立たないかもしれないけど、長い人生を生きていく上で、自分を支える基盤になるもの。
    現代の教養とは、自分自身を知ること。

    【現代の自由七科】
    ①宗教
    宗教によって、古代の人びとは世界の成り立ちを理解しようとした。
    ユダヤ教の神、キリスト教の神、イスラム教の神はみな同じ神である。
    ②宇宙
    138億年前に宇宙が生まれ、46億年前に地球が生まれた。
    ほとんど無に近いような粒子が急激に膨張(インフレーション)して、それが火の玉のようになってビッグバンという爆発が起きた。そこにヒッグス粒子により、重さが出て質量同士が結びついていった。
    ③人類の旅路
    人類は20万年前にアフリカで誕生した。
    生き物の骨に残る炭素14の量とその半減期により、年代を推測できる。
    ④人間と病気
    病気によって、私たちは進化してきた。
    夜勤が多い女性は乳がんになりやすい。(がん細胞増加を抑止するメラトニンの影響。メラトニンは光を受ける量が少なくなると分泌される。)
    細菌は生き物、ウイルスは生き物ではない。
    抗生物質は細菌に効く(細胞壁を壊す)、ウイルスには効かない。人にも効かない(細胞壁がない)。
    スペイン風邪は1918年から19年にかけて世界中で大流行(人口18~19億人の1/3くらいが罹患)。第一次大戦もこの影響で集結。
    豚の体内で鳥のインフルエンザウイルス、人間のインフルエンザウイルス、豚のインフルエンザウイルスが交雑され新しいタイプのウイルスが生まれている。中国農村違いでは人間と豚が同じ屋根の下で暮らしているのに人に移りやすい。(中国で新型ウイルスが生まれやすい)
    ⑤経済学
    経済学が生まれ、経済学者が新しい理論をつくることによって世の中が動いていく。
    アダム・スミス:余計な規制をかけず市場に任せる(自由競争)
    マルクス:資本主義は限界に達し、社会主義が樹立される。(資本主義の問題を指摘。社会主義の姿は具体的に提示していない。)
    ケインズ:財政で赤字を出しても構わない。不況時は国債を発行して公共事業をつくれば、最終的に公共事業に投じたよりも大きな効果が返ってくる。
    ⑥歴史
    歴史は時代の勝ち組によってつくられてきた。
    勝った者が記録を残し、負けた者の記録は残っていない。
    私たちが学んだ歴史は氷山の一角で、知られざる(敗者の)歴史がたくさんある。
    ⑦日本と日本人
    「日本とは何か」「日本人とは何か」という問いを深めていくと、それらが非常に曖昧なものであることがわかってくる。
    ジャパンの語源はニッポン(ニッポン→ジッポン→ジパング→ジャパン)。
    日常では「ニホン」、あらたまった場所では「ニッポン」。
    公式な意味で日本人が誕生(日本国籍の定義)したのは1873年。

  • 教養のない私にとっては、正直、知らないことばかりでしたが、「知る」ってとても面白いなと思いました。

  • 文法、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽 の基本七科目からなる、現代の教養リベラルアーツ。 それぞれの知識の活かし方、学び方、関係性について、とても整理になった。 特に『人間と病気』の章が印象に残ると共に、サイエンスの知識が圧倒的に足りてない事を痛感。 苦手だから食指が伸びなかったのも有るが、この本を学びの道標として、読書の幅を広げるとする。

  • 宗教、宇宙、人類、疫病、経済、歴史、日本人をテーマにしている講義。
    さすが池上さんはわかりやすく面白い!!
    全てを読むと、宇宙から自分に行き着いたように感じます。
    すぐに役に立つことは、世の中に出て、すぐ役に立たなくなる。
    すぐには役にたたないことが、実は長い目で見ると、役にたつ。
    まさにその直ぐには役にたたない教養を学ぶことができます。
    特に学生時代に読みたい本だ。

  • 現代日本人が学ぶべき「自由七科」を「宗教」「宇宙」「人類の旅路」「人間と病気」「経済学」「歴史」「日本と日本人」としているのが池上先生独特の視点だなぁと感心。テレビ同様わかりやすいたかり口の文章でアタ兄スイスイと入ってきます。最近の世界各地で起きている紛争が宗教がらみで、宗教、歴史、そして経済は今からでも勉強をちゃんとしなくてはと思い直しました。

  • 教養/リベラルアーツをコツコツ高めたいと思い手に取った1冊。

    簡易な表現で、著者の「私たちがどこから来て、どこに行くのか?」との観点で7つの分野に分けたトピックで語った講演をベースになっている点が読みやすかった。

    メイントピックは言われれば思い出すことが出来るものでも、新しい視点での情報を仕入れることが出来たのは収穫。後はそれを如何に確認/消化してどの様にして必要な時に引き出しから出せるようになるのかは課題。

    今後も自分にとっての教養に繋げられるトピックには接していきたい。

  • 一見関係のないようなことでも密接に繋がっていることが知れて面白かった。
    リベラルアーツの大切さが分かった。

  • 出版後しばらく経っているけども、天文学、歴史学、経済学の概論がわかりやすく解説されていることや、感染症についての章もあるため、現在でも楽しめる。
    タイトルには大人とあるけども、これからの国際社会で生きるために必要な教養と世界を見る目を得るための心構えが書かれているため、若い人にも是非読んでほしい本だと思いました。

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著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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