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感想・レビュー・書評
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うまく説明する自信がまったくないけど、東京の「霊」が、江戸時代から東京に生きた人々に次々なりかわって、霊がとりつく人々の人生を通して昭和史を見る、みたいな。
明治維新、中国侵略、戦争、復興、安保、高度経済成長、バブル、東日本大震災、などなどが、歴史的人物当事者や関係者、近くにいる人の目から見られる、というか。
教科書的な歴史とは違う感じがおもしろい。わたしが無知なだけなんだろうけど、たとえば、いちばんわたしが驚いたのが、正力松太郎と原子力発電の話だったり。これは日本人として常識なんだろうか。もっといろいろ知識を身につけなくては、と思ったり。昭和史っておもしろい。とくにやっぱり、自分が生まれたころ(昭和30年代)からの話が、なんんとなく知っている、見ききしている時代に興味がわく。
(なので、正直いって、もっと前の時代の話だと、説明的というか資料的な読みもののように感じて若干退屈する部分もなきにしもあらずだったのだけれど)。
あと、奥田さんの文章がわたしは好き。リズム感というかグルーブ感というか。落語なんてほとんどきかないのに例に出すのもなんけど、落語のような感じ。ユーモアもあるし。
ふだんはSFや幻想的な物語が苦手なのだけれども、そういう部分もそんなに嫌ではなかったな。リアルさとバランスがいいのかもしれない。
今の東京、みんなが同じようにふわふわしてまとまっていて、お祭りみたいにただ騒いでいるぶんにはいいけれど、個々に「対話」ができない、っていうのが、すごく腑に落ちた感じ。そのとおりかも、と。なるようにしかならない、っていうのもそういう雰囲気かも。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示