ヴァリス〔新訳版〕 [Kindle]

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制作 : 山形浩生 
  • 早川書房 (2014年5月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (253ページ)

ヴァリス〔新訳版〕の感想・レビュー・書評

  • 新訳の電子書籍版が出たので、旧訳を読んでからほぼ30年ぶりにこの小説を読んだ。口語体の訳の精度を上げたという話で、確かに旧訳ではさっぱり分からなかった本の内容が新訳ではよく分かるようになった。そして非常に面白い読書体験だった。

    『ヴァリス』を楽しめるようになったのは、訳の違いもさることながら、自分自身がこの30年の間に精神疾患やクスルク戦車戦など本書を読むのに必要な知識をより多く取り込んでいることも大きい。

    訳者解説でははっきり書いていなかったが、ファットの妄想は統合失調症の典型的な症状に見えるし、ファットが強制入院させられた精神病院の描写もものすごくリアルだ。

    覚醒剤中毒者が統合失調症患者と似た症状を呈することがあるというので、著者が元から病気であったのか、ドラッグの影響の方が大きいのか、そこまではディックに詳しくないので自分には分からない。

    素人の印象ではあるが、ディック氏はもとから統合失調症を患っていて、それがドラッグで悪化した、というものではないかと思う。

    しかし驚くべきことは、作者がファットとして完全に狂った状態を経た後に描かれているにもかかわらず、本書はまともに読める「小説」として完成していること。奇妙な小説であることは否定しないが。

    ネットで時々見かける、妄想にとらわれてしまったような人は、そうそう人をひきつける文章を書くことはできない。

    フィリップ・K・ディックの才能と障害については、おそらく専門家が病跡学的な研究をかなり進めていると思う。氏の本が電子書籍として次々に出されているので、それを読みつつ、いずれはそういう研究成果に触れてみたいと思う。

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