物語 フランス革命 バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書) [Kindle]

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著者 : 安達正勝
  • 中央公論新社 (2008年9月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (228ページ)

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物語 フランス革命 バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • 本書の特色は、フランス革命をシステムや思想の説明からではなく、人間中心に描いていること。明治維新もそうだが、革命時には魅力的な人物が登場する。したがい、本書はめちゃくちゃ面白い。
    著者の安達正勝さんはフランス文学者。フランス革命に関する著書が多いが、「死刑執行人・サンソン」といった異色の著書が多い。本書も題名こそ普通であるが、内容は異色。

    著者は「 『フランス革命とはどんな革命だったのか 』を 、できるだけ具体的実感をもって伝えたい 。世界史的意義を踏まえつつ 、 『革命のうねり 』を追っていきたい 」と本書の目的を冒頭に明らかにする。そして、
    「フランス革命を生きた人々の 『生の声 』『生身 』に接し 、彼らの思考パタ ーンや彼らが暮らしていた社会的雰囲気に触れることによって 、 『フランス革命の手触り感 』とでも言うべきものを感じ取っていただけるのではないか」と読者との距離感を縮めることを宣言する。本書は、学術書であるが、著者の試行により、本書は娯楽性の高い新書となっている。

    認識を新たにしたのは、ルイ16世は名君と本書が断言していること。
    「ルイ十六世は改革派の国王だった 。これほど善意の国王も少ない 。ルイ十六世にとっては 、改革は王政の伝統にしたがい 、王権の権威のもとに進められなければならなかった 。もしルイ十六世の思いどおりにことが進行したなら 、公正な税負担 、才能 ・実力による人材登用推進 など 、平和裏に多くの成果が上げられたことだろう」。
    実際、革命初期に生まれた三色旗は「赤と青はパリ市の紋章の色 、白はブルボン家の色だった 。つまり 、白を青と赤が左右から挟む三色旗はもともとはパリと王家との和解の象徴」だったという。
    しかし、半ば国王であるがゆえに、ルイ16世は処刑されてしまう。その時の裁判の様子を本書は詳しく記述しているが、民主制の恐ろしさも感じとることができる。

    自由と博愛を求めて始まったフランス革命だが、恐怖政治に突入する。本書は恐怖政治がなぜ始まり、なぜ終わったのか、わかりやすく、かつ面白く説明する。恐怖政治におけるギロチンの役割については、鳥肌が立つほどに納得した。

    今年は、全世界が多数決の怖さを味わった年。来週は、イタリアの国民投票、来年は独仏の選挙がある。民主制の根源を考えるきっかけになる本かもしれない。お勧めの★5つ。

  • 人類にとって、生まれながらの身分による差別は当たり前だった。貴族の子は貴族になるし、王の子は王になり、庶民の子は庶民になる。それを疑うことのない時代が長く続いた。そんな「差別」を否定し、人類は平等という考え方が定着したきっかけが、人権宣言を発した1789年のフランス革命だ。

    もちろん、フランス革命に関わった人々が最初から差別撤廃を目的にしたわけではなく、国王の地位もそのままで、とりあえず国の体制さえ変わればいいという腹づもりだった。それが、あれよあれよとエスカレート。恐怖政治と言われる壮絶なる権力闘争期間に国王ルイ16世をはじめ、多くの人のクビが発明されたばかりのギロチンではねられる。その数は1日50人を超えるという。

    こうなると、革命というより虐殺だ。さすがに、そんな国に嫌気が差した国民は軍人ナポレオンを支持する。かくして、大した家柄ではないナポレオンが皇帝となったことでフランス革命は完結する。

    本書は、フランス革命時代を説明しつつ、その中で活躍する老若男女にスポット当てた列伝。ほとんどの登場人物がギロチンで殺されることと、女性の活躍が目立つのが特徴。

    新書本のページ数では物足りないところもあり、著者の個人的主張が邪魔な気もするが、そこを割り切れば、フランス革命入門書としては十分。

  • 人物に焦点を当てたフランス革命史である。
    フランス革命の主役といえば、ロベスピエール、サン・ジュスト、マラーを始めとしたジャコバン派の若い革命家たちが思い浮かぶ。彼らへの記述があるのは勿論だが、本書は、フランス革命に女性が活躍したこと、特にジロンド派の女王と呼ばれたロラン夫人だけなく、無名の女性革命家についても言及しており、フランス革命に果たした女性の役割を初めて知ることが出来た。一方で、あのフランス革命の理想のもとでさえ、革命が成し遂げられると女性の政治参画は認めない男の身勝手さには失望を禁じ得ない。

    ギロチンにより処刑される、ルイ16世に関しては著者の感情込みで大変詳しい。ルイ16世というと、些か鈍重なイメージがあるものだが、実は開明的で、革命初期にはそれを推し進めた大変な人格者、改革派であり、そして常に人民を思いやった心優しい、ある意味理想的な君主であったことが語られる。
    ただ1点、欠点があったとすれば、王政による統治以外は想像が着かなかった点だろう。
    ルイの家族、マリー・アントワネットはもとより、心優しき妹エリザベート、そして息子ルイ・シャルルの運命には涙を禁じ得ない。
    一方で、そのような王家を打倒しなければ現代に通ずる人民主権の民主主義社会が生まれなかったのは明らかで、ルイ16世王家への限りない同情を記しながら、血が流れざるを得なかったフランス革命の意義を著者は強調しており、それは納得できることだ。

    フランス革命を終わらせたのは、ナポレオンである。ロベスピエール亡き後政治を牛耳ったパラスらによる腐敗した総統制を廃し、皇帝として君臨したナポレオンについて述べた後本書は終わる。ナポレオンがイメージとは異なり、妻ジョゼフィーヌに夢中で戦地からも毎日手紙を送っていたあたり、フランス男性、そして浮気症のフランス女性の風俗も知ることが出来、興味深い。

    尚、後書きで著者は、より興味をもった人はフランス語を学んで以下の書をとフランス語文献を挙げてくれているが、それは正直辛い...。

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