ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版] (中公新書) [Kindle]

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  • かつてルワンダ中央銀行総裁として活躍した日本人がいた。
    旧植民地から脱却を目指すアフリカの人々、通貨改革(切り下げ)、同時に税制改革による税収増と財政均衡、現地資本育成のための経済規制改革などの基礎を作り、6年後に現地人へと引き継ぐまでの記録。
    その後、同国は発展を続けるが2000年代に入り、民族紛争に発展してしまった。

    白人支配の虚構、民族資本による国内富の蓄積を進めて発展を進めた。気骨あり。

  • これはセリフの劇として映画化するべきだと思う。なんか、タンカきる感じで。そして、西欧の植民地支配が世界にどれだけの禍根を残したのかと思うと気が遠くなる。

  • 今読んでもたしかにぜんぜん色褪せていない……。

  • 日本銀行に20年以上奉職した著者の服部氏が、国際通貨基金に出向し、最貧国と言っても良いほど赤字に苦しんでいたルワンダの中央銀行総裁を6年間果たした実話。
    服部氏は実際には中央銀行総裁職に留まらず経済再生に関わる施策立案にも携わる、名実共のルワンダの経済発展に寄与した人物。
    明確かつわかりやすい筆致、何より表面に捉われず真に必要としている要素が何かを当時の知識層である外国人専門家ではなくルワンダ人に当たり自ら分析し、世界でも有数の日本銀行の銀行家として言葉通り誠実に職務に取り組んだその姿勢にこそ感銘を受けた。
    そして最初の数ヶ月の任期を延長を重ねて計6年果たしルワンダの成長の礎をつみ上げた著者に尊敬の念を抱く。
    その後の悲惨な武力闘争についても変わらず独自の分析に基づく大国に翻弄される諸国、その中でも信念を持ち人道斯くあるべしを体現したフランスの対比も今の世の中には意味のある増補だと感じる。
    一読を勧めたい。

  • 是非、全国民に読んでもらいたい。

    異世界転生ものだと思って読めば、意外にすらすら読める。
    「朝起きたら、発展途上国の中央銀行の総裁になっていた件。~日銀で得た知識で、国にはびこる寄生企業を駆逐して、国を発展させた~」みたいな感じ。
    勧善懲悪もので、読んでいて気分も爽快である。

    そして、この国が日本であったら、と想像してほしい。
    国民が賢くないと、他国から搾取されるだけの国になってしまう。
    今、日本は平和ボケの真っ盛りで、この本のルワンダのように他国から静かに侵略されている。

    国民が賢くなければ国を守ることはできない。
    国を守れない国民は、他国から搾取されるだけの奴隷になる。

    危機感を持って本書を読んでほしい。

  • 6年間のすごい仕事がまさに「日記」で丁寧に書かれている。著者はフランス語と英語で途上国の中央銀行総裁として様々な課題に取り組み、経験と知識と真面目な態度で素晴らしい成果をもたらした。大統領はじめとするルワンダ人の信頼、部下や関係者への厳しい目、ユーモア。会計の知識がない私はほとんど理解できないまま読んだと思うが、バス公社のエピソードなどはわかりやすかった。目に見えてルワンダ人の生活が良くなり、事業は黒字化し、日産は20台程度の小さな商売なのに技術者や修理などルワンダのために協力した。蔵相の更迭に関する記述も著者らしく、冷静に前任蔵相の優秀さを描写しながら更迭に至るまで、後任の問題点を挙げる。税金の補助で寮生活を送るエリート学生には「卒業後、官界に入れば課長職(俸給11700フラン)が保証されているのに反抗することが民主主義だとは」と手厳しく批判する。銀行業のスペシャリストであっても、ルワンダのミクロ経済のことは知る由もなく外国人商人やルワンダ商人の話を丁寧に聞き、素人のように素朴な納得を得ていく。職員の能力が低い赴任当初は自分で帳簿をチェックする。IMFの超エリートもこんなに実直に仕事をするんだと初心に帰らされる。著者は家族を呼び寄せたが、写真を見ると子どもたちは小学生〜中学生といったところ。ベルギー人向け外国学校で最初は苦労したが、だんだん成績上位になったとのこと。山崎豊子は不毛地帯で海外赴任するサラリーマンの家族を不幸に書いたが、著者も幼少期から海外で育って世界で活躍する人となった。大変であることは間違いないが、海外で学ぶことは意義のあることだと思う。
    特筆すべきは数十年後のルワンダ内戦で著者が中央公論に寄稿した文章。先進国は無責任な武器供与をやめろと書いている。今のウクライナ戦争に大いに教訓になるのではないか。

  • ルワンダの中央銀行に赴任した日本人の手記。
    銀行に関係のない人でも、マネジメントに関心のある人は必読。

    しばらく前に話題になって買っていたが、積読状態であった。タイトル的に重い話かと想像したが、意外とどんどん読み進めていくことができた。

  • こりゃ面白かった!1960年代のルワンダ中央銀行に赴任しルワンダを再建された方のお話。この著者である服部さんがルワンダという国づくりをしたと言っても過言ではない。自分では絶対に体験できないことを追体験できる本、これぞ本の醍醐味だなーと改めて感じました。

  • ルワンダ中央銀行の総裁として、ルワンダの経済再建を題材としたドキュメンタリーを書いた本。自分としては初めて読むタイプの本だった。

    最もよかったのは、金融、経済という視点で1つの国をどのように捉えて、どのようにことを進めていくかということを著者の間近から眺め見ることができた点だった。国の中央銀行が何をしているとか、外貨準備、預金準備とはどういう意味を持つのかとか、輸入、輸出とは国にとって国民にとってどういう意味を持つのか、作用するのか、ということを断片的にも知れたことがとてもよかった。

  • 他国に派遣される技術者が、全て著者のような人だったらな…と、自戒を込めて考えさせられた本。

    「ルワンダの事はルワンダ人に聞く」という姿勢を最後まで貫いていた氏の姿に、敬服させられっぱなしである。

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