日経サイエンス2014年09月号

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  • 日本経済新聞出版社 (2014年7月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・雑誌
  • / ISBN・EAN: 4910071150947

日経サイエンス2014年09月号の感想・レビュー・書評

  • 語り部体質が発見されたのか。HSAMに注目。日本人でこの体質の人が表に出たらTVに引っ張りだこなんだろうな、見世物的に。

  • Scientific Americanを基盤にした一般向け科学雑誌の9月号。

    特集は「記憶の謎に迫る」。
    数十年前の出来事を詳細に思い出すことが出来るなど、驚くべき記憶を持つ人がいる。何年何月何日に何があったかを即座に答えられる人々である。「非常に優れた自伝的記憶」(HSAM)と呼ばれるこうした能力を持つ人々数十人を対象とした研究が行われつつある。著者たちが篩い分けたのは、日付に関する「超記憶」を持つ人たちであり、また別の記憶能力も存在する可能性もある。そうした記憶能力が明らかになれば、比較研究が可能になり、より深い理解につながるかもしれない。
    *比較的最近の日本の小説(新聞小説?)でこの能力を持つ男の子が出てくる話があったような気がするのだが、思い出せない・・・。
    「超記憶」がないからといって悲観することはない。続く記事は「記憶を調整する新生ニューロン」。こちらは一般成人の脳でも「新生ニューロン」が活躍して、記憶の定着に役だっているという話題である。かつては「成人脳では神経再生はない」という、身も蓋もない定説が主流となっていたが、ニューロンの再生がある証拠が見つかっており、著者らは特に海馬で見られるものに注目している。こうした新生ニューロンは、記憶がごちゃ混ぜにならないよう整理する役目を果たしていると考えられている。危険な状況とよく似てはいるが安全な状況をパターン分離していることが実験結果により示唆されている。

    遺伝子工学に関して2題。
    1つは遺伝子治療に関するもの。
    画期的と目されていた遺伝子治療は15年前に臨床応用された。だがその結果は悲劇的なもので、この治療法は一度、完全に頓挫した。免疫系が激しく反応したこと、白血病が生じたことなどが失敗の原因であった。
    その後、ベクターをより安全なものにし、ターゲットとする組織により選択性のものを選び、投与するウイルスの数を減少させるなどして慎重に臨床試験が行われている。注意深く見守る必要はあり、道のりはまだ遠そうだが、いくつかの疾患に関しては、有望なものと考えられている。
    もう1つは絶滅に瀕する植物の再生への応用。
    アメリカグリは、かつて、北米大陸の森のキーストーン種(中枢種)であった。昆虫や小型哺乳動物は幹を住処とし、クマやリスは大粒の実を食べていた。だがアジアから持ち込まれたクリ胴枯病菌という糸状菌がこの木の大多数を枯死させてしまった。アメリカグリの再生により、森林を元のようにより豊かなものにしようと考える研究者たちがいる。
    この植物の再生のために取られている手段は2つ。
    1つは交雑種を作ること。アジア原産のクリはクリ胴枯病菌に耐性がある。こうしたものとアメリカグリを掛け合わせる手法である。
    もう1つは遺伝子工学の手法。クリ胴枯病菌はシュウ酸という腐食性物質を作り出すことにより、クリを枯死させる。このシュウ酸を分解する酵素を遺伝子工学的にクリに組み入れて、耐性を獲得させようとするものである。
    後者の方がアメリカグリ自体の性質を変化させずに、短期間に行うことが可能であるという。
    遺伝子組換え植物に関しては抵抗感を持つ人が多いが、この件については容認する人も多いようだ。人間がアメリカグリの激減を招いたこと、営利目的ではないことなどがその理由として挙げられる。
    組換えアメリカグリが承認されるかどうかは管理当局の判断による。認可された場合には注意深く運用されていくのだろうが、発想が興味深い。

    国内ウォッチの最初の記事は「STAP幹細胞はどこから?」。Nature論文の撤回に当たって、共著者が発表していたマウスに関する解析結果の一部が誤りであり混乱を招いた件の背景について解説している。いささか細かい話と言ってよいだろう。詳しい解説だが、この分野の基礎知識がな... 続きを読む

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