生命のからくり (講談社現代新書) [Kindle]

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著者 : 中屋敷均
  • 講談社 (2014年6月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍

生命のからくり (講談社現代新書)の感想・レビュー・書評

  • 宇宙の始まりとか生命の始まりとかが、最近やたら気になる。同じ著者の「ウィルスは生きている」が面白かったので、この本も購入した。著者の中屋敷均さんの専門は染色体外因子。ウィルスがこれに当たり、生命と非生命の間の研究をされているようだ。本の中でも生命と非生命の境界が説明されている。これが滅法面白い。

    本書のテーマは複雑で興味深い。生命はもともとは単なる化合物。それが進化を遂げて人類が誕生した。生命は自己を複製し、子孫を残すが、同時に環境に適応するよう自己を変革しなければならない。
    「すなわち 「生命 」には今を維持しようとする力と 、それを変えようとする力という 、二つの矛盾した力が内包されており 、そのいずれもが 「生命 」を成り立たせる上で 、必須なのである 。しかも 、この両方は相矛盾するベクトルを持っており 、どちらか一方に偏ってしまっては 「生命 」が成り立たない 。いったい 、この 「究極の矛盾 」を生物はどうやって解決しているのだろうか ?」
    これはやっかいな問題だ。自己複製(DNAにおける情報の保存)ができなければ子孫は絶えるし、自己変革(情報の変革)ができなければ環境への適応ができない。どの場合であっても、その生命体は滅亡する。
    著者は子孫DNAが2種類あるという不均衡進化論、ゲノム倍数化を紹介し、「情報の変革 」と「情報の保存 」の逆方向のベクトルをどういう戦略で解決したのかを説明する。

    進化は突然変異によって起こったと、学校で習った。突然変異が事故だとすると、突然変異から進化という道筋には子どもながら違和感を感じた。
    著者は情報の変革は小さなゆらぎ(エラー)から起きると考察する。
    「つまり生命は 、エラ ーによって生じる日常的な小さな効率の悪さには目をつむり 、いつの日かエラ ーが有効に働く環境を待つ 、あるいは劇的に有用な 「エラ ー 」が現れる 「幸運 」を待つという戦略をとったのだろう 」。
    この当たりの考察は推理小説なみの楽しさがある。

    面白い本には違いないが、やはり一種の学術書であり、集中しないと読めない。また「ウィルスは生きている」と同様、注釈が分かりにくい。それでも、生命を考えるのなら最高の良書と思う。★4つ。

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