人造人間の怪 呪みちる初期傑作選I

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著者 : 呪みちる
  • 株式会社トラッシュアップ (2014年8月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 4582237829877

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人造人間の怪 呪みちる初期傑作選Iの感想・レビュー・書評

  • 6月(2017年)に職場の近くにカルト、サブカル、ホラー系をメインとする古本屋が開店した。

    店長さんがかなりのホラー漫画好きでしかも呪みちるファン!(店内には描き下ろしのイラスト原画も展示してある!)
    色々と話をしているうちに、ネット通販用のものを(彼方も商売なので、ネットでは¥2000のところを¥1700で)売ってもらえる事に。
    若干のプレミアに一瞬、躊躇したけど初版、帯付、極美なので思いきって購入!

    表紙に描かれている自転車に乗った少女が人造人間なのか?
    それとも車輪に絡まっている少女が人造人間なのか?
    いや、人造人間と言うからにはフランケンシュタインの様な怪物なのかも知れない。
    又も表紙だけで、まだ見ぬ人造人間の姿をあれこれと想像。
    取り合えず今回は最初から読んでみた。

    「侏儒リューゲル」
    ラストのオチが秀逸!
    最初の1コマ目(2P)でちゃんと伏線を張っているので唐突感がない。
    悪魔の体の一部(目、足、牙等)が拳銃(ルガー)の部品と弾丸をモチーフにしている点に注目!

    「青空の悪魔円盤」
    海水浴に行って頭の中で何かがゴソゴソと動いているような気がすると思ったら、ゴカイが入り込んでいたとか岩場で足を切り、いつまで経っても傷口が塞がらないと思ったら足の中にフジツボがびっしり繁殖していたといった海にまつわる都市伝説を題材とした物語(か?)。
    普通ならヒトデ辺りを円盤に見立てるところをウニ(ジンガサウニ)を使うという発想が非凡。
    背中にヒトデが張り付くというのは手塚治虫の短編(タイトル失念)へのオマージュ?
    因みにジンガサウニは食用になるとの事(しかも幻のウニだとか)。
    しかし この本を読んだ後ではジンガサウニを食べる機会があったとしてもちょっと食べる気が起きない。

    「夢とちがう」
    夢が現実となるホラー物からちょっとした兄妹愛の物語で終わると見せて(主人公と読者を)不安に叩き込むラストの展開は「世にも奇妙な物語」的。
    吸血鬼と思わしき男が吸血鬼のアイコンとしては有名なピーター カッシング風のものではなく「吸血鬼ノスフェトラ」のオルロック伯爵風なところに脱帽。

    「人造人間の怪」
    さあ!いよいよ自転車に乗った方なのか?車輪に絡まっている方なのか?人造人間の正体がハッキリする………と思ったら………冒頭に頭部のない青年が………これが人造人間………(しかも名前が玉男って………)
    嗚呼! 又も「火星高校~」の時と同じだ!(泣)
    まあ、表紙の絵で勝手に想像した自分が悪いのだが。(泣)
    人造人間は想像したものとは別物だったがストーリー自体は面白い、面白すぎる!
    ただ、76P~71Pの展開が唐突なのは残念。
    一応、パトカーのサイレン音とよし子のセリフで警察に追われているというのは分かるのだが………
    又その時 何故よし子が眼帯、包帯をしているのかの説明がないのも惜しい。
    意図して描いたのか、描かれたもののページ数の都合でカットされたのか?ちょっと気になる。
    それでも個人的にはこの「人造人間~」が一番好きなストーリー(作品)と言っていい。( 呪みちる作品はまだ2冊しか読んでいないが)

    そしてストーリーもさることながら、主人公である天才変態(文中より)犬神満月(ナルシスト)のキャラクターが最高に良い!(風呂場の窓から覗いている満月さんがどことなく可笑しい(76P4コマ目))
    神の領域、生命の神秘に挑むなんて崇高な精神など まるきっり無く、自分の変態性欲(笑)を満たす為だけに人造人間を造ろうなんてホント、イカれている(褒め言葉)!
    出来る事なら「天才変態 犬神満月」なんてタイトルでシリーズ連作を描いてくれないかなあ。

    「変化の神秘」
    フランケンシュタイン(人造人間)を造ろうとしている高慢な姉とそんな姉に翻弄される妹の物語。
    『ババア』の顔に被さるバイクの爆音が『ババババババ』って………思わず吹き出してしまった。
    クライマックス、二人の立場が逆転する辺りは上手い展開。
    普段は嫌々ながらも姉に従順な妹が理解出来ない事を目の前にして怯える姉に突如キレて罵倒する辺り、まさにこの姉にしてこの妹ありといったところか。
    尚、姉の方はどう見たって我らが天才変態 満月さん(笑)としか思えないのだが解説を読むと雑誌掲載は「変化の神秘」の方が先になっているのでこれは間違いなく「人造人間~」の前日譚といっていいだろう。
    でも、何故か単行本の収録は「変化の神秘」が後になっている。
    先の方が繋がりがいいと思うのだが。(ひょっとして収録ミス?)

    「狼よ目覚めよ」
    人間の奥底に眠る野獣の本能をテーマにした物語。
    大神月子、僕らの天才変態 犬神満月(笑)のネーミングから察するに、呪みちるは狼男好き?

    「怪人赤マント」
    絵の感じや世界観といい、どこか丸尾末広的雰囲気を持った作品。
    もう一本あるという赤マント作品も読んでみたい。

    「押入のウーリー」
    呪みちる版「芋虫」。
    もしくは「ジョニーは戦場へ行った」と言える物語。
    この手の作品の場合、大半は男が負傷した姿で登場するがこちらは負傷するまでを描いているのが目新しい。
    結局、ルイーズとウェスタースの二人が空想と夢で見た芋虫は未来のウェスタースの姿だったのか?

    「集合時間は午前二時」
    なんと!表紙に描かれていた少女達はここで登場。
    なるほど、自転車に乗った方がエーブさん、車輪に絡まっている方がよし子さんというのか…………って! よし子さん、車輪に絡まないし!
    う~ん、何故 本編には出てこない絵が表紙に描かれるのだろう?モヤッとする。

    それはさておき、「夢と違う」と同じくハッピーエンドと見せて不安と恐怖を残すラストだが怖さはこちらの方が上。
    でも表紙の絵同様 謎の全てが明かされないのは やはりモヤッとする。

    「時計屋敷の少女」
    愛する者の肉体の一部と自身のパーツを交換し同一の存在となろうとする心を持った自動人形(オートマタン)カナレと人間の少女えり子のある意味もう一つの「人造人間の怪」とも言える物語。

    ラストシーンは読む人によって色々な捉え方があるだろうけど、自分としてはギャグっぽく見えてしまった。(サイドカーに乗ってはしゃぐお茶くみ用の自動人形がツボ)
    勿論、ストーリーが面白いのは言うまでもない。


    先にも書いたが、呪みちるの本はこれで2冊目で にわかファンでしかないが この「人造人間の怪」ですっかり呪みちるワールド(作品)にハマってしまった。

    今まで個人的にホラー漫画というと楳図かずお御大、日野日出志、古賀新一、好美のぼる等が定番だったのだが(水木しげる大先生、つのだじろう先生は別格)これで呪みちるもその一人に加わる事となった。

    さあ!次は「ライオンの首」だ!

  • 初期の絶版本『青空の悪魔円盤』【◆】
    『押入れのウーリー』【■】から
    ピックアップされた作品+単行本初収録作選。
    嬉しい、ありがたい!
    プレミアが付いて手が出せなかった中古本を諦めて
    電書で我慢していたけれど、それが紙の本で読める悦び……。

     ◆侏儒(リューゲル)
     ◆青空の悪魔円盤
      夢とちがう
     ◆人造人間の怪
     ◆変化の神秘
     ■狼よ目覚めよ
      怪人赤マント
     ■押入れのウーリー
     ◆集合時間は午前二時
     ◆時計屋敷の少女

    ――の全10編(無印は単行本初収録)。
    今回初めて読んだ「夢とちがう」「怪人赤マント」も
    面白かった!
    いずれ出るという「初期傑作選Ⅱ」に
    「夜空に消える」(■)が入るといいなぁ。

  • 読みたいと思った時には手に入らず、知人に借りる。思ったよりも怖かったので、一話ずつ「うわっ...」と思いながら読んだ。ストーリーに奇をてらったわけでもなく、王道の恐怖漫画といった感じで、読み進むごとにどこか安心して読めた。オチがしっかりついているところに安心できたのかも。それでもやっぱり怖かったです...。

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