日経サイエンス2014年10月号

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  • 日本経済新聞出版社 (2014年8月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・雑誌
  • / ISBN・EAN: 4910071151043

日経サイエンス2014年10月号の感想・レビュー・書評

  • 「ハコスコ」の藤井直敬氏の記事。VR→AR→SR(代替現実)。
    特集「ESP:広がる知覚」は、ネットワーク接続されたセンサーをウェアラブルにすることによる、ターミネーターの視界。
    RNA医薬は効く理由がほぼ直接的にわかるのでこれから広がるだろうが、それでも予期せぬ薬害は避けられないだろう。
    サンゴは世界的に消滅している。二度と手に入らぬかもしれない資源だが、一方で将来的には養殖できそうな気配も。
    リバース薬理学、「ネウロ」でネタになっていたような。
    「自由意思」は無いとする最近の研究、それを知ることで倫理感が低下するという研究。多分、どちらの結果も日本人には欧米人ほどのインパクトはないと思う。
    下水を飲み水にするのは、昆虫を食べるのと同じように避けて通れない道だろう。

  • <バーチャル「どこでもドア」が出来る日も遠くはない、かもしれない >

    日経系列のScientific American日本版、10月号。

    特集は「広がる知覚」。
    1つめの記事は「センサー網が実現するESP」(*ESPは"Extra Sensory Perception"、超感覚的知覚)(MITメディアラボ)。超能力といえば超能力なのだが、本記事に紹介される研究ではIT技術と環境センサーを駆使する。私たちが外界を認識するとき、どの感覚を使っているかを分析し、それに近い条件を再現する。高地であったり、砂漠であったり、野原であったり、あるいは街であったり、オフィスであったり、目的の場所の温度・湿度・光度・風・音・あるいは何らかの化学物質を感知する。被験者の周囲をそうした場所の条件に近づけることで、まるでその場所にいるかのように感じさせることは理論的には可能であると思われる。いわば、バーチャル「どこでもドア」である。センサーの機能次第では、災害救助や農地管理などといった実用への応用も可能だし、もっと日常的に、どこかの店が現在混んでいるか確認したり、一人暮らしでホームシックに罹ったらちょっと家に帰る、などということも可能ということになる。プライバシーの問題など、クリアすべき点は多そうだが、出来るかどうかでいうと、技術的にはあと少し、というところまで来ているようだ。
    2つめの記事は「代替現実で時間をワープ」(理研・脳科学総合研究センター)。ヘッドセットをつけて過去の映像や架空の映像を見せる。巧みに現実を混ぜ込むことで、両者の区別がつかないようにして、「現在」でない映像にあたかも自分が入り込んだような感覚を覚えさせることが可能であるという。こうした場合、ヘッドセットで流す映像は、必ずしも高画質である必要はないというのも興味深い。夢を見ているときの感覚に近いのかもしれない。

    医薬のトピックは2つ。
    「RNA医薬」と「リバース薬理学」。
    「RNA医薬」の方は、エボラやC型肝炎などのウイルスへの応用が期待されている。ウイルスは手強い相手である。ウイルスが作るタンパク質を攻撃するのではなく、それより前の段階でウイルスの働きを抑えようとするのがRNA医薬だ。エボラの場合は、ウイルス複製に必要なタンパク質の作製を阻害する、siRNAと呼ばれる低分子のRNAが有力視されている(テクミラ・ファーマスーティカル(カナダ))。ますますの広がりが懸念される中、有力な薬剤の出現が望まれる。
    「リバース薬理学」は、伝統的な治療から効果がある治療薬を見つけ出そうとするもの。従来の創薬は、有力候補の精製された化学物質を実験室で試し、動物、ヒトと徐々に試していく手法をとる。リバース薬理学では逆に、伝統的な薬草などから本当に役立つ成分を突き止めようとするものだ。少なくともヒトに対してある程度安全性は確認されているし、こうした薬草等は少なくとも発展途上国の人々にとって手が届かぬほど高価でもない。従来型の創薬で新薬がなかなかでないことを思うと、試してみる価値はある手法かもしれない。

    このほか、サンゴ礁保全の話題や、下水を飲み水にする試みなど。
    涼しくなってきた秋の夜長に、科学とのひとときもまた楽しい。


    *今月号はSTAP関連記事はなし。検証実験の中間報告(8/27)が今号発売後であったため、来月号にはこれに関する記事が出るのではないかと思われる。理研は9月4日付で、Nature2報に関する本調査を開始すると発表した。これに関する言及もあるものと思われる。

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