そこのみにて光輝く 通常版DVD

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監督 : 呉美保 
出演 : 綾野剛  池脇千鶴  菅田将暉  高橋和也  火野正平 
  • TCエンタテインメント (2014年11月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4571390739628

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そこのみにて光輝く 通常版DVDの感想・レビュー・書評

  • 約1年前に小説を読み、自分のベスト10小説に入ると思い、映画の評判を聞き及び期待値も高いという、辛口になりがちな状態で見たにもかかわらず、あぁ、いい映画だ!と感嘆詞をつけずにはおれない。

    彼女が彼女なりのやり方で一生懸命生きている場所、つまり、脱することをどこか自ら頑なに拒否しているかのような貧しく(映画ではちょっと強調され過ぎた感のある)おぞましい家族の境遇を、私は「そこのみにて」の「そこ」だと理解したのだが、ラストの海岸のシーンで、朝日が当たって彼女がほほ笑む「光り輝く」シーンが、悔しいほど腑に落ちるようにえがかれている。


    彼女の、水商売の匂いがする疲れた感じの身体にただよう色気と化粧っけのない潔い顔のコントラストがいい。

    貧乏と情のループにとらわれているかのようにみえて、どこかでしがらみに甘んじているようにみえる彼女。その袋小路から積極的に出ようとはしないが、なんとも健気に生きている彼女に、私も主人公の佐藤同様、すごく惹かれるのだ。なんていい女なんだろう。

    彼女が輝いて見えたのは、泳ぐシーンと、佐藤が山に行く決意をし彼女を家から連れ出すと告げたとき、そしてラストの、悲惨だけど新しい展開を予感させる瞬間。それ以外のときは彼女はほとんど自分の望んだのではないことをしている。

    生きるために「処理」でしかない性をこなしてきた彼女が彼と「愛をかわす」濃密なシーンはこの流れでは欠かせないし、効果的だ。

    綾野剛は演技も素晴らしかったし美男だが、私は小説から一貫して、彼女の一挙手一投足に目が釘付けである。諦念の中で精いっぱい生きてかわいくて自分がしっかりとあって男に媚びたり迎合したりしない。彼女の境遇が辛ければ辛いほど輝きが増すようだった。私は彼の目線でずっとこの物語をみていたのだと今になって思う。

    彼女は、自分を救い出させることによって彼自身を救う。そういう女。

  • 私には‘辛い’想いのみ残った作品でした。

    共に‘訳あり’の境遇に有る男女が惹かれあって行く様を描いた作品でしたが、評価の高い作品を観る以前の胸弾んだ想像とは異なってしまった鑑賞後の印象でした。

    池脇千鶴さんがお気に入りだった私には彼女のあの姿は観たくなかった。そんな姿を含めリアル感溢れる青春の姿を見事な演技陣が見せてくれた作品で高評価は理解できますが本当に辛かった作品でした。

  •  キネマ旬報で2014年の日本映画ベストテン第1位、第38回モントリオール世界映画祭でも最優秀監督賞を受賞している。
     佐藤泰志(41歳で自死)の小説の映画化であるが、函館を舞台に、原作の重い空気感を生かしながら、密度が濃く、完成度の高い作品に仕上がっている。

     呉監督は最初自分で脚本を書き始めたが長くなりすぎてうまくゆかず、高田亮に預けたという。さりげない会話の中に、ドキッとさせられるセリフが随所にあって、脚本の上手さが光る。
     「女の顔して・・・」
     「元から女ですけど・・・」

     主人公と恋人、その弟という3人の役者の演技は息が合っていて見応えがある。達夫を演ずる綾野剛は、まだ若いのに背中で演技のできる俳優だ。自分自身を外から俯瞰する眼差しを獲得しているのだろう。恋人夏子を演ずる池脇千鶴は、表情の豊かさが魅力的だ。達夫とは対照的な憎めない男拓児を、菅田将暉が見事に演じている。思ったことをすぐ口に出し、行動に移してしまう屈託のなさが達夫には好ましく映ったらしいことが伝わってくる。

     足、痣、自転車、墓、アジサイ、鼻歌、流れる血・・・。様々の暗喩に溢れる映像は、映画的な魅力で光輝いていて、奥行きがある。心に傷を負った青年達夫は底辺に追いやられた家族と出会うことで、人との繋がりを取り戻す。繋がりとは身体と身体のぶつかり合いであり、「絆」などというやわで薄っぺらなものではないということを思い知らされる。
     人は一人では生きて行けないという自覚に至る、回復と家族誕生の物語である。『そこのみにて光輝く』という題名は、どん底にある家族の中にこそ人間の本質が垣間見えることを暗示している。
     今は亡き原作者佐藤泰志は、自分の作品が30年後に光輝く映画作品となって生まれ変わったことを墓場の陰で喜んでいるに違いない。
     
     蛇足ながら、『キネマ旬報(2014年4月上旬号No1659)』に掲載されている綾野剛のインタビュー記事と四方田犬彦の批評を読むと、この映画の輝きがさらに増すことは間違いない。

  • 佐藤泰志の同盟小説を映画化した作品です。
    閉鎖感ただよう水の町で無為で無気力な日々を
    送っていた主人公の運命が社会の底辺で行き場
    を失った一組の姉弟との出会ったことによって
    少しずつ動き出していく姿を描いています。
    仕事辞め堕落した生活を送る達夫は、家族を養
    うために必死で働く千夏と出会います。二人は
    惹かれ合うが、そのことが千夏の弟や愛人など
    周囲の人間に波紋を広げ悲劇を招いてしまう。 
    綾野剛と池脇千鶴が互いを求める男女の切実な
    思いを体を張った大胆な演技で表現していまし
    た。二人の演技が見物です。

  • 2014 日本
    監督:呉美保
    原作:佐藤泰志『そこのみにて光り輝く』
    出演:綾野剛/池脇千鶴/菅田将暉/高橋和也
    http://hikarikagayaku.jp/

    文芸坐で綾野剛二本立て。こっちの綾野剛はカッコ良かった!(>「白ゆき姫殺人事件」)

    1980年代の函館。あるトラウマのため仕事もせずぶらぶら過ごしている達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で知り合った人懐こい若者・拓児(菅田将暉)の家で、その姉の千夏(池脇千鶴)と出逢い惹かれあってゆく。しかし脳梗塞で倒れた父親(性欲だけ旺盛)をかかえた彼らの生活は貧しく悲惨。実は刑務所帰りで保護観察中の拓児、彼を雇っている中島(高橋和也)は家庭がありながら千夏を愛人にしており、さらに千夏は体を売って生活費を稼いでいる。

    描かれている世界は一見救いがないのだけれど、はすっぱな口をききながらも悲しみをたたえた千夏と、不器用ながら誠実に彼女を愛そうとする達夫の姿は、普通にラブストーリーとしても美しく、激しめのラブシーンなんかも女性が見ても不快感がない。とくに恋愛映画と銘打っているわけでもないこのテの映画にしてはちゃんとキュンとできることに感心したんですが、そっか、監督が女性だからかもしれませんね。

    個人的にとても好きだったのは菅田くん演じる拓児。人を刺して捕まった過去があるとはいえ、とにかく明るく素直でアホ可愛い。後半になるほど、姉の彼氏というのもあるだろうけれど達夫とは疑似兄弟のようになっていって、喧嘩してたかと思えば二人で仲良く自転車二人乗りしてるさまとか、かなり微笑ましく可愛らしくいっそ萌えだった。それだけに終盤の展開、彼らの心情が胸に沁みました。中島を刺して逃げたところで行く場所は達夫の部屋しかなく、泣きじゃくる拓児を達夫が抱きしめるシーンで思わずもらい泣き。

    池脇千鶴は、結構むちむち体型なんですが、それが逆にリアリティがあって良かったですね。たとえば似た系列の映画で最近のだと「さよなら渓谷」の真木よう子とか、ナイスバデーすぎて不幸に現実感がなかったりしたので。悪人顔のわりに他作品では良い人役の多い高橋和也は、今回はほんとに憎たらしい悪役でした。私が拓児でも刺してる(こら)。

    役者陣の熱演と、女性監督ならではの繊細な視点で、男性監督が撮ったらもっと陰惨で救いがなくなってそうな題材が美しく昇華されていたように思います。良作でした。

  • 堕ちる道を堕ちきることによって、
    自分自身を発見し、救わなければならない

    安吾先生が言っていた堕落論を思い出した

    千夏はそこまでいった、達夫も
    光輝くシーンの美しさがそこにある

  • 最後まで観ても特に救いはなく、重く息のしづらい現状を引きずってそれでも生きて歩く人々の話。希望は見えなくても、僅かな光が当たる場所を求めて彷徨うのが良い。
    菅田将暉の演技はやはりどこにいても遜色なく馴染む才能があると思う。
    そこのみにて光り輝く、最後に出る映画のタイトルに余韻を感じる映画だった。

  • 観る前は、この表題が、厨二臭いと言うか、なんか恥ずかしいなと思ってたけど、観賞後は、その通りだと。それぐらい、文学的リアリティに溢れた説得力のある作品だった。

    巷で大人気の綾野剛。個人的に、ふーん。けど、この綾野剛の虚無感と色気は、エグかった。
    監督の配役センス、120点!
    今年、観た邦画の中では、四月物語の次に心を動かした。

  • はらわたが切り裂かれるように痛い映像だ。
    主人公の達夫は、自罰的にぼんくらな生活を送っている。
    やんちゃな拓児に出会い、貧困と介護(父のオナニー手伝いまで)に疲労する千夏と出逢う。
    体を売っている店もばれ、情夫がいることもばれ、それでも互いの傷に惹かれあい。
    生活を立て直そうとするのにこんなにも身動きがとれない。

    浜辺の朝日のシーンなど映像の美しさももちろんだが、脚本の鋭さも。
    「女の顔して」「もとから女ですけど」
    とか、
    発破の作業中に部下をひとり死なせてしまったと告白する達夫に、「だから自分みたいなのと付き合うんだね」と言ってしまう千夏とか。

    原作者は春樹と同年代、中上健次の嫉妬被害を受けたとか。
    春樹の孤独よりも佐藤泰志の孤独に共感をおぼえる。

  • 映像は綺麗。
    でも好きな話じゃない。
    人を選ぶ内容だと思う。
    『その夜の侍』と同じく苦手。
    原作は知らないけど、ちょっとストーリーを端折り気味な感じ。

  • ラストの二人。
    果たして光輝くものがあったのだろうか・・・

    評価高いけど、自分には合わない作風だった。

    池脇千鶴の裸体が艶かしい。

  • 函館のさびれた町で淀んだ毎日を過ごしていた3人の男女が出会い、ようやく新しい方向へ歩き出そうとするが・・・
    人を死なせてしまったタツオも、前科を背負って逃げられないタクジもそれぞれに辛いけど、しかしやっぱり、なぜに女はこれほどまでに辛く苦しい思いをしなければならないのだろうかと、圧倒的な存在感でチナツを演じる池脇千鶴を見ながら、深々と、底しれないほど、悲しくなる。家族を捨てていけない女が背負う重荷は、愛する男にも容易に接近ができない。
    圧しひしがれてしまいそうな話の中で救いなのは、作り手が、チナツの仕事を偏見で描いていないことだ。客観的に見たらかわいそうな状況でも、チナツ自身は自分を憐れんでいない。タツオも、彼女が仕事を辞めることを望みながらも、彼女の抱える重荷から逃げ出そうとしない。チナツが8000円で客をとっているバーにやってきたタツオが自分の弱みを話し出したときに、だから自分をおとしめるのかと切り返して追い返すシーンなど、すごくいい。呉美保監督は『オカンの嫁入り』でもストーカー被害のトラウマをきちんと描いていたけど、チナツが暴力にさらされるシーンでさえ、尊厳をもった描き方をしていて、ヘンな男性の監督に撮られなくてよかったと思ってしまうくらい。
    美しい映像が胸にささる。まるで綱渡りのような危うさの中のラストシーン、この2人が幸せになるようにと願わずにはいられない。

  • 不遇な暮らしの中の恋愛
    って似たようなテーマはたくさんある気がするんだけど、どうでしょう
    こちらもそんな作品な気がしたのだけど、どうなんでしょう。
    綾野剛さん、池脇千鶴さん、菅田将暉さん、みんな、の演技が光り輝いていた。迫真の演技は本当に素晴らしい。

  • 池脇千鶴だけで星5。不幸な役が良く似合うし、方言も全く違和感なくしゃべっていて素晴らしい。これをみていて「リップスティック」を思い出した。原作も読んでみる。

  • 実はあまり期待せず観たけれど、観始めたら止められない。皆いい役者さんでうまい!
    綾野剛も池脇千鶴も菅田将暉もすごく良いのだけど、高橋和也の嫌な役どころがとてもまた上手いのね。

  • 生きていくのが不器用な若者を描く。どの生き方も苦しい、溺れてしまいそうだと思うけれど、皆、精一杯なのだ。見ているほうも苦しいけれど、自分に自信がないとき、こんな自分でも受け入れなきゃいけないのかな、と思ったりする。

  • 菅田将暉がよかった。
    彼の出演作をそうたくさん観ているわけでもないが、何となく毎回しっかりと演じきっているイメージ(偉そうなこと言ってすみません)。
    綾野剛と池脇千鶴海に入るシーンは、あまりきれいじゃない海がリアルで生々しかった。でも、いいシーン。
    ラストまで暗くて救いもないけど、見方によっては若干の希望があるような気もする。
    あと、何気に火野正平がかっこよかった。

    原作は斜め読み。

  • どん底だからこそ差し込む光が胸をしめつけてたまりませんでした。

  • いつも思う、池脇千鶴はもっともっと評価されても良い。
    でも安売りしないでこんな静かな作品だけに出続けて欲しいとも思う。

  • 菅田将暉が好演だったと思う。
    こういう、過去のこじらせ?た女性を演じるのは池脇千鶴以外に誰がいるのだろうか。今後の邦画のキャスティングが気になります。

  • とても泥臭い作品。俳優陣が巧い。ジョゼの池脇千鶴から今作の成長ぶりというか、年月がうわーってなった。
    一生懸命に生きたってうまくいかないし、どこでどうやって歯車が狂ったかわかってても元に戻ることも前に進むことも難しすぎることあるなかで、いかに何でもないように生きられるかなのに、それができない人たちの集まりで虚しくて哀しくて切なかった。
    大事なものがあるから壊したくなって、大事なものを守るために違うものを傷つけて。そういう厭なものすべて、不器用にギュッと閉じ込めた作品でした。

  • 物語に希望があるわけではなく、ただ彼らが閉塞している状況が描かれるのだけれど、ラスト近く、海辺を叙情的に照らし出す光には、通常の娯楽作品では味わうことの出来ない快楽がある。

    希望か絶望か、幸福か不幸か、ではなく。ただただ、濃密な生が、時間が、
    空間が、そこにあるいうことを画面に刻印出来ているという事実に打ちのめされてしまう。

  • こういう重苦しい邦画っぽい映画だと思わなかった。
    監督はCMディレクターでメトロとかやってる呉さんだし。と思ってた。

    池脇千鶴ってなんでこんなに儚くてずっと少女でなんかエロいんだろう。

    社会のどうしようもない救いようのない人たちの生活が次から次と出てきて、みているこっちがきつかった。

    そのこみ、のタイトルがしみます。
    人間くさくていい映画。

  • たつおとちなつもだけど、たつおとたくじの相性のよさもすごく感じる。
    綾野剛のかっこよさわかんなかったけど、これ見たらかっこよく感じる。池脇千鶴と菅田将暉もとてもよい〜。
    明らかに「底」だけど、タイトルは「そこ」なのに意味があると信じたい。

  • ストーリーに入り込めぬまにカタルシスを迎えてしまった感あり。

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