そこのみにて光輝く 通常版DVD

監督 : 呉美保 
出演 : 綾野剛  池脇千鶴  菅田将暉  高橋和也  火野正平  伊佐山ひろ子  田村泰二郎 
  • TCエンタテインメント
3.65
  • (59)
  • (126)
  • (109)
  • (25)
  • (4)
本棚登録 : 698
感想 : 154
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4571390739628

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 綾野剛、菅田将暉、池脇千鶴という豪華出演陣による本作品。
    先ほど録画していた「MIU404」を観ていて、その後今日も何か映画を観るかー、とAmazonプライムのウォッチリストを徘徊。「MIU404」で共演している二人を見たくなって鑑賞。

    人懐っこくて短気、その日暮らしの生活を送る拓児を菅田将暉、
    過去から抜け出せない、苦しみを抱える達夫を綾野剛、
    家族の生活のために身体を犠牲にする拓児の姉、千夏を池脇千鶴が、それぞれ好演!

    閉塞した田舎町で、欲望と憎悪と暴力性が、人々の心の中を渦巻いている。
    そのエネルギーは、発出の場所を探している。
    何もない田舎町、それらはさまよい、出口を失い、屈折し、いつしか人間に向かう。

    中盤から、拓児のその人懐っこさは牙をむく。彼は、勝手に向けてきた人懐っこさを、なすりつけてくる。
    達夫の過去も明らかになり、千夏が抱えている家族の秘密も明かされる。
    3人それぞれが、現状に折り合いをつけられずにもがき苦しんでいる。
    みんな、そうじゃない自分を思い描き、あの頃の、そうじゃなかった自分に思いを馳せる。
    けれどもう、後戻りできないし、先へ進むには現状に立ちふさがる壁が高すぎて進めない。結局、今の苦しみからは逃れられない。
    ここに、屈折したエネルギーの力が加わる。

    「そこのみにて光輝く」
    三者にある、「そこ」とは。

    悪いセックスはほどほどに、良いセックスはこれでもかというくらい堪能させてくれる。
    そんな心遣いを感じました。

    • 魚雷屋阿須倫さん
      原作は故佐藤泰志氏ですよね
      原作は故佐藤泰志氏ですよね
      2020/08/11
    • naonaonao16gさん
      魚雷屋の読書録さん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます。

      そうですね。原作についての知識がほとんどなかったので調べてみ...
      魚雷屋の読書録さん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます。

      そうですね。原作についての知識がほとんどなかったので調べてみたのですが、佐藤泰志さん、お若くして亡くなられたのですね…
      本作品のみならず「きみの鳥はうたえる」「オーバー・フェンス」はいずれも映画が気になっていた作品で、今回魚雷屋の読書録さんのコメントがなければ佐藤泰志さんだと気がつかなった作品かもしれません。ありがとうございました。
      どの作品も明るくはない空気が漂う作品であることと、佐藤泰志さんが若くして亡くなられたことを、どうしても重ねて考えてしまう自分がいます。

      長々とすみませんでしたm(__)m
      2020/08/13
  • 私には‘辛い’想いのみ残った作品でした。

    共に‘訳あり’の境遇に有る男女が惹かれあって行く様を描いた作品でしたが、評価の高い作品を観る以前の胸弾んだ想像とは異なってしまった鑑賞後の印象でした。

    池脇千鶴さんがお気に入りだった私には彼女のあの姿は観たくなかった。そんな姿を含めリアル感溢れる青春の姿を見事な演技陣が見せてくれた作品で高評価は理解できますが本当に辛かった作品でした。

  • オーバーフェンスを観た時みたいに、閉塞感のある作品を観たくて。

    この綾野剛の風体、よすぎる。
    元から駄目なんじゃなくて、キッカケがあって傷ついてこうなってる感じが。
    池脇千鶴は言わずもがな。この菅田将暉は暑苦しさが無くてとても好き。

    朝日を浴びた千夏の顔と、朝日を背負った達夫の姿に言葉が出ない。

  • 登場人物の殆どが心に傷や闇を抱えながら生きています。観ていて救いようのない気分に陥ります。それでも、何かにすがろうとする登場人物たちに感情移入をします。キャストの方々の熱演、素晴らしいです。私的には、池脇千鶴さん。いい役者さんだと思いました。

  • 2014 日本
    監督:呉美保
    原作:佐藤泰志『そこのみにて光り輝く』
    出演:綾野剛/池脇千鶴/菅田将暉/高橋和也
    http://hikarikagayaku.jp/

    文芸坐で綾野剛二本立て。こっちの綾野剛はカッコ良かった!(>「白ゆき姫殺人事件」)

    1980年代の函館。あるトラウマのため仕事もせずぶらぶら過ごしている達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で知り合った人懐こい若者・拓児(菅田将暉)の家で、その姉の千夏(池脇千鶴)と出逢い惹かれあってゆく。しかし脳梗塞で倒れた父親(性欲だけ旺盛)をかかえた彼らの生活は貧しく悲惨。実は刑務所帰りで保護観察中の拓児、彼を雇っている中島(高橋和也)は家庭がありながら千夏を愛人にしており、さらに千夏は体を売って生活費を稼いでいる。

    描かれている世界は一見救いがないのだけれど、はすっぱな口をききながらも悲しみをたたえた千夏と、不器用ながら誠実に彼女を愛そうとする達夫の姿は、普通にラブストーリーとしても美しく、激しめのラブシーンなんかも女性が見ても不快感がない。とくに恋愛映画と銘打っているわけでもないこのテの映画にしてはちゃんとキュンとできることに感心したんですが、そっか、監督が女性だからかもしれませんね。

    個人的にとても好きだったのは菅田くん演じる拓児。人を刺して捕まった過去があるとはいえ、とにかく明るく素直でアホ可愛い。後半になるほど、姉の彼氏というのもあるだろうけれど達夫とは疑似兄弟のようになっていって、喧嘩してたかと思えば二人で仲良く自転車二人乗りしてるさまとか、かなり微笑ましく可愛らしくいっそ萌えだった。それだけに終盤の展開、彼らの心情が胸に沁みました。中島を刺して逃げたところで行く場所は達夫の部屋しかなく、泣きじゃくる拓児を達夫が抱きしめるシーンで思わずもらい泣き。

    池脇千鶴は、結構むちむち体型なんですが、それが逆にリアリティがあって良かったですね。たとえば似た系列の映画で最近のだと「さよなら渓谷」の真木よう子とか、ナイスバデーすぎて不幸に現実感がなかったりしたので。悪人顔のわりに他作品では良い人役の多い高橋和也は、今回はほんとに憎たらしい悪役でした。私が拓児でも刺してる(こら)。

    役者陣の熱演と、女性監督ならではの繊細な視点で、男性監督が撮ったらもっと陰惨で救いがなくなってそうな題材が美しく昇華されていたように思います。良作でした。

  • 僕自身も今、やり場のない感情をどこにやればいいのかわからなくなっている。
    状況も大きさもカタチも全然違うけど、やっぱりこの映画に自分を重ねてしまう。
    僕自身のほうは、とても小さいことだけど、日々に希望を見出せずにいる。
    もちろん不幸なわけじゃないんだけど、なんとなく冴えない毎日を送っている。
    無作為に過ぎる日々は、ボディブローのように少しずつ少しずつ効いてって、いつのまにか立ち直れなくなる。
    でも、まだ少しだけ、希望の光が残ってる。
    この映画がボディブローのように僕の人生の希望になっていってほしいと思っている。
    こういう映画を部屋を暗くしてみると、なんか落ち着く。

  • 最後まで観ても特に救いはなく、重く息のしづらい現状を引きずってそれでも生きて歩く人々の話。希望は見えなくても、僅かな光が当たる場所を求めて彷徨うのが良い。
    菅田将暉の演技はやはりどこにいても遜色なく馴染む才能があると思う。
    そこのみにて光り輝く、最後に出る映画のタイトルに余韻を感じる映画だった。

  • 一度そこに落ちてしまったら、もう這い上がることは難しいのだろうか。それじゃああんまりだから、あのラストに光を差し、二人を結ばせたのかもしれない。二人だからと簡単に乗り越えられる世界ではないにしろ、少なくともあの兄弟は、彼の存在に少しは救われたのではないだろうか。転がり落ちる原因の一つに彼の存在があったとしても。
    ただ、幸せになりたかった。普通の生活を送りたかった。ただそれだけなのに、どうしてそこから這い出ることもできないのか。見終わった後、自分の境遇がどれだけ幸せなことなのかと、偽善的なことを考えてしまった。
    映画の登場人物たちが、この後真っ当に幸せに生きていける保証なんてないし、きっとその道は簡単なものではない。それでも、彼らはあの朝日を目指して、生きていくのではないんだろうか。

  • 2018.5.3
    夜中に仕事を片付けながらGyaOにて。

    池脇千鶴いいなぁ。完璧な役。疲れたエロさ、体型もぱんぱんに張っているのにどこか弛んでいて、そこから生活感や虚無感が滲み出ててる。素人ものavでたまに感じる、うすら寒い寂しさみたいなものすら肉体から漂ってくるよね。

    昔の青山真治の北九州ものみたいな、絶望がヌルヌルとまとわりつく感じ。嫌いじゃない。
    不幸もまた映画となれば娯楽になるわ。

  • 登場人物が抱える問題がそれぞれ重くてずっと暗かった。その中でも希望は必ずある事を教えてくれた。菅田将暉の演技が特に好きだった。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×