- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988101181476
感想・レビュー・書評
-
「どうせ多岐川裕美は脱がないんでしょ」
前知識なしで観に行ったのでそんな不遜な考えを持っていたんだけども、多岐川裕美姉さんごめんなさい。
デビュー作でヌードシーンがあった女優というと桃井かおりもそうで、彼女が以前インタビューで「ナメられちゃいけないので度胸を見せる意図もあった」と語っていたが、たぶん多岐川裕美にも少なからずそういうところがあったのだろう。
主人公魔矢は修道女であった母親の死の真相を確かめるために自らも修道女となって修道院へ。俗世間と切り離されたセントクルス修道院では神の名のもとに残酷なリンチや背徳行為が行われていた。
あらすじからすると女のドロドロした世界が描かれているように思うかもしれないが、そこは鈴木則文監督、やっていることはドロドロしているんだけども、少女漫画的なドロドロした心情は感じず、むしろサッパリしている。
たぶん鈴木則文自身に、キリスト教にあるような性をタブーとして捉える意識があまりないからだろう。
そこがいいよね。
鞭を打たれている肌は汗ばんでいるけど、心情描写はウェットじゃない。
鈴木則文の映画に出てくる女性には肌の質感を感じるような独特の生々しさがあるけど、その中にあって多岐川裕美の硬質な美人顔が映えている。
朱に交わらない、強い意思を持った主人公像と良く合っていてナイスなキャスティングだと思う。
谷隼人とタコ八郎のチンピラコンビも女ばかりが登場する物語の中でいい息抜きになっていて愛らしい。
見どころは(多岐川裕美姉さんの登場シーンを抜きでいうと)「鈴木則文版の踏み絵」の場面。
イエス様への信仰を試すのにこんな方法があったのか、と眼から鱗が落ちた。詳細をみるコメント0件をすべて表示