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感想・レビュー・書評
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第二次大戦前に陸軍ではどのような政戦略が主流となっていったかを解き明かすため、永田鉄山を中心とした一夕会の遠望と策謀を取り上げる。
1巻の主題は満州への姿勢である。陸軍は永田鉄山の予想する消耗戦と石原莞爾の予言する世界最終戦争での資源確保のために満州の支配を目論み、策謀により満州事変を起こす。当時の陸軍主流派である長州系の宇垣派と内閣は英米との協調を好み、撤兵を命令するが、一夕会が実権を握る関東軍は命令を無視してなし崩しに戦線を拡大していく。
「日本のいちばん長い日」でも見受けられたが、「天皇主権」(つまり統帥権)を建前に作られた制度を利用することで、陸軍は内閣に対して優越的地位を築いていく。これは現代の日本社会にもみられる、お飾りの大将と実権を握る中堅参謀の構図ではなかろうか。責任者と実質の権力者が乖離をすると、信賞必罰が機能しなくなりついには暴走する危険をはらむ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
少壮エリート軍人層による組織内での下克上、その結果としての満州事変から政党政治の終焉までを描く。
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