第七の封印 【DVD】

監督 : イングマール・ベルイマン(『鏡の中にある如く』『ある結婚の風景』『ファニーとアレクサンデル』) 
出演 : マックス・フォン・シドーほか 
  • キングレコード
3.56
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988003828981

感想・レビュー・書評

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  • 1957年スウェーデン映画。監督はイングマール・ベルイマン。
    主演は騎士役のマックス・フォン・シドーに、その従者ヨンス役のグンナール・ビョルンストランド。そして、死神役にベント・エケロート。あと、旅芸人の妻役のビビ・アンデショーンが美人で良かった。(笑)

    舞台は中世ヨーロッパ。十字軍遠征からの帰路の二人。騎士とその従者である。ある朝、騎士は海岸で死神に出会ってしまう。死神は騎士を連れに来たのだ。しかし、騎士は死神がチェス好きであることを知っていて、ある提案をする。もし、チェスに勝ったら死を免れさせて欲しいと。死神は同意する。そして旅の合い間合い間にチェスを続けながら、さまざまな災厄とともに、騎士と従者の旅が続く・・・。

    疫病が蔓延し、『ヨハネの黙示録』の「第七の封印」の物語のような世界の終わりが取り沙汰されるような重苦しい雰囲気の中、死神が突如目の前に現れるという奇天烈でブラックユーモア気味な話を根底に据えながら、実は、慈悲を全く示そうとしない神をあげつらうかのような悲惨で目を覆いたくなる社会の状況を、濃厚に幻想的な美しさで描いた作品である。
    騎士と従者が旅の先々で出会うシーンはどれも達観であり狂気であり死である。しかし、騎士は死神に抗おうとし、従者ヨンスは熟練の機転と剛腕にて事態を打開しようとする。だが、これら試練には結局のところ打ち克つことはできず虚しさだけが残ってしまう。
    死神の策謀が跋扈する世の中で果たして救いはあるのか?
    このような重苦しい題材で、安直な救いはないのであるが、なぜか魅入ってしまうのは監督の力量のなせる技であるだろう。テンポよく、また緩急をつけて進むサイドストーリーの数々。光と影のコントラストや重厚なBGM。そして、詩的な映像美。このどれもが密接に融合され、ひとつの壮大な寓意として観客の前に示されている。
    ラストはやはり救いはないのだが、マリアとイエスを目撃した旅芸人やなぜか朗らかそうにみえる救われなかった彼らの描写は、地にも天にも実は救いがあると言いたかったのではないだろうか。
    イングマール・ベルイマン監督自身も気に入っていたという彼の代表作。

    • lacuoさん
      この難しい映画を、こんなに明晰に理論化しながら見れるって、すごいですね。

      第七の封印は、オレも昔、見たんだけど、ぜんぜんストーリーを、...
      この難しい映画を、こんなに明晰に理論化しながら見れるって、すごいですね。

      第七の封印は、オレも昔、見たんだけど、ぜんぜんストーリーを、憶えていないんですよ。

      ベルイマンが選んだ神学的な?テーマと、オレ自身が今生きている世界の生活感が、あまりにも違い過ぎて、脳に入って来なかったんだと思います。
      2017/08/23
    • mkt99さん
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      この映画は難しい作品でしたよね。(^_^;
      割と...
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      この映画は難しい作品でしたよね。(^_^;
      割とえぐいシーンも多かったように思いますし、緊張感をもって観ていたような気がします。
      割とヨーロッパ人ならわかる感じなんでしょうかね?
      2017/08/27
  • 見る前の想像と違って喜劇的な部分もあって、そのあたりはなかなかとっつきづらかった。でも「死」という概念を悲劇的なのと同時に喜劇だったり希望として捉えようしているあたりの感覚は好き。命のやり取りが死神とのチェスということも喜劇的な部分を強調しているのかも。

  • うわー、めちゃめちゃ面白い。なんだこれ。イングマール・ベルイマン初めて観たけどこんなに面白いのか。
    「第七の封印」というのはたぶん黙示録からとったのだろうけど、タイトルの通り終末感がハンパない。ペスト、魔女狩り、十字軍、死神……と暗黒の中世を舞台にして、そこに生と死、神の沈黙への問いが描かれる。
    これは他のベルイマン作品も観ないと。
    4

  •  神と死神。どちらがより残酷か?
     答えは神。神は男に女を創ったが、死神は男女共に死を等しく与えるから。
     死神とチェスをするモチーフを一躍流行させたという映画。『ラスト・アクション・ヒーロー』ではジャック・スレイターを追う死神が這い出た映画として登場した。

     あらすじ。
     騎士アントニウス・ブロックは旅の途中で死神と出会う。死神は騎士に向けて死を告げるが、騎士は「チェスが終わるまで待ってくれ」と言う。死神はチェスの申し出を受け、騎士が勝ったら見逃すという賭けにまで乗る。多忙な死神との時間をかけた、文字通りの死闘が始まった瞬間であった。
     一方、座長、旅芸人とその妻、子どもの一団が芸をして渡り歩いていた。旅芸人は夢見がちな人間で、聖母マリアとその子が歩いているのを見たと妻に言っては呆れられていた。騎士はヨンスという従者を従えていたが、ヨンスは追剥に堕した神学者ラヴァルから少女を救うが、命の恩人という理由で少女を強引に旅に引き入れる。旅芸人たちが披露する劇を眺める騎士たち。だが座長は観客の野次に不機嫌になり、舞台裏に引っ込んでしまう。そこで偶々会った鍛冶屋の妻と不倫し、駆け落ちをしてしまう。酒場では鍛冶屋が妻の行方を捜すが、何一つ情報が得られない。偶々居合わせた旅芸人と共に全く無関係なラヴァルと共に八つ当たりしていると、ヨンスに見つかりラヴァルは顔を切られる。騎士は旅芸人と夫婦と子を、ヨンスはラヴァルをそれぞれ旅に向かえ、旅を続ける。途中で偶々座長と鍛冶屋の妻を見つけ、悶着の末鍛冶屋の妻は鍛冶屋の下に戻るが、鍛冶屋の憤りを怖れた座長は三文芝居で死んだふりをし難を逃れる。だがやり過ごした座長に待っていたのは、死神からの無慈悲な死の宣告だった。騎士と死神のチェスが続く中、旅芸人は一人騎士をチェスをする死神の姿を認める。恐怖に駆られた旅芸人は、騎士がチェスに夢中な間に、妻と子と共に旅の一行から逃げ出す。チェスは騎士の敗北で終わった。
     騎士の一行は騎士の館に辿り着き、騎士の妻の出迎えを受ける。食事を摂りながら妻の朗読する新約聖書「ヨハネの黙示録」の一節を聞いていると、死神が全員の前に現れる。一夜明け、目覚めた旅芸人は死神に連れられる六つの影を認める。大鎌と砂時計を持った死神が、皆と手を取り踊りながら歩む姿だった。

     キャラクターとストーリーは大して面白くなかった。だが中盤から急に女叩きが始まってからそこそこ面白くなった。鍛冶屋の嫁が不貞の咎をやり過ごした手段が、弁護士に対して傷害事件を起こしたボクサーの小番一騎容疑者の妻のやり口と全く同じで驚いた。この映画の公開は1957年。五十年以上も前から小汚い不倫女のやり口は変わっていないというのか……。弁護士がマジックに使える仕込みナイフを使って死んだふりをしていれば助かったかも知れない。
     世界観と映像は死神とチェスに集約される。劇中で使われているチェスセットが欲しくなった。大きくてごつく、とても洗練されたデザインとは言えないのだが、その荒々しさが良い。
     テーマは死を描いている。死を恐れ死神に命乞いをながら死に瀕する人を助けない騎士のエゴイズムを描いているとも言えるが、五十年以上経った今では珍しいテーマとは言えない。チェスで有名らしいが、チェスのシーンもそこまで多くは無い。
     台詞は女叩き以降のヨンスの台詞が良かった。何があったのか、悟りきった台詞が多い。
     総合的に見てつまらない映画だった。嫌いとまでは言わないが、文学的な雰囲気の割には主人公に葛藤がある訳でもない。無論、どんでん返しもなく、中盤に至るまでは非常に退屈である。最後の死神に連れられた六人が計七名で七人の天使のラッパ吹きを表現しているのかも知れないが、序盤の退屈さに見合うだけのインパクトはない。

    キャラクター:☆
    ストーリー :☆
    世界観   :☆☆☆☆
    テーマ   :☆☆
    映像    :☆☆☆☆
    台詞    :☆☆☆☆

  • 観念的、寓話的で台詞まわしも時代設定と同じ頃の宗教劇のよう。死神の格好もそのまま演劇に出てきそうだ。
    座長の役回りや白々しい芝居はそのまま喜劇舞台を観ているようだし、映画らしい派手なシーンが無いためか、上質な演劇を一本観た気分。
    いつどこの宗教でも神は無口で無関心。饒舌で気さくなのは死神ばかりだ。

  • ベルイマン2作目鑑賞。
    映画好きを自認しながらなんとなくこれまで避けてきたベルイマン作品。
    しかし、ある程度の年齢になるまで鑑賞を控えていてよかったと思う。
    こんな難解な映画、若い頃だと絶対に退屈で観ていられなかった(笑)
    この年にして初めて見始めたが、なんだかわからないままも、グイグイ見せられてしまうのだから、さすが巨匠。
    キリスト教の思想は、大学の教養課程で勉強した程度の知識しかないので、正直、完璧な理解はしがたい。
    西洋人における神、それ自体想像の範囲でしかないのだが、人間の内的にある神への信仰は、あくまでも内的なもので、実際における神は不在でしかなく、それが故、人間は生において苦しむ。
    まして、この映画の登場人物達は、蔓延する死病への感染に常にさらされており、死というものを目前にする恐怖に震えながら、生を営まなければならない。
    常に身の回りをうろうろする死神に、主人公の騎士がチェスの試合を挑むのが痛快だ。
    しかし、その騎士にしても死神を打ち破ることはできないし、まして生と死の意味、神の存在の如何を知りうることもできないのだ。
    その絶望の中、死神に召されていく彼らのひとりである少女の、死神に向ける歓喜のまなざしが、そして「やっと終わるのね」というつぶやきが印象的だった。

  • これも昨日のピアノレッスンに続き「ラスト15分が良い映画」に選びたい。
    当時の歴史の知識やら文化的背景をもう少し知ってから観ると違うんだろうな。

    死は大体隣り合わせになっているが、そこから自力で生きる意味を見つけ出そうとする人もいれば、運命に振り回されるだけの人、ただ恐れるだけの人、幸運にもその運命から逃れられる人など向き合い方は多々ある。おそらく一つ共通しているのは、神は助けにはやってこないということか。

  • この映画を傑作!と言う人は、世間の評価に大変に影響を受けやすく、古典好きで権威主義的な人間では?という疑惑がぬぐえない私・・・
    そういう人って古臭いものばっかり絶賛しがちなので、逆に、公開前で世間の評価が出ていない映画の感想こそ彼らに聞いてみたいと思ってしまう。

    --------------
    2016/3/9 鑑賞

    ラックに入れる時に、Amazonのコメント欄をチラ見したのですが、「傑作!」の文字が踊りまくっていたような…

    マジすか!
    私には難解でまったく理解不能でした。
    不思議と退屈ではなかったけれど、おもしろかったかと聞かれたら、「わたくしの頭ではおもしろい映画なのかどうかすら分かりませんでした」としか言えません。

    きっと「第七の封印」の本来の意味を知らないと話にならないのだわ、と思って、映画を見た後でWikiなどで「ヨハネの黙示録」の項目を読んだけれど、特に理解の助けにもならず。

    先に知識を入れてから見ると、意味深く感じるシーンがあったのかもしれませんね。
    ま、そもそもヨハネの黙示録じたいが暗号のようで意味不明なのですが・・・

    余談ですが、「死神」と交渉する、というイメージから、アンデルセンの「ある母親の物語」を思い出しました。
    子供のころ読んで、トラウマになりそうなくらい怖かったお話。
    母親が死神に交渉してと子供を取り戻そうとする物語で、この物語でも「死神からは誰も逃れられない」という暗黙の了解みたいなものが念押しされていました。
    アンデルセンはデンマークで、ベルイマンはスウェーデンなので、実際はなんの関係もないかもしれませんが、あの物語の死神のイメージとこの映画の死神のイメージはものすごく似ているように思う。
    感情では動かされず、予測不能でいつの間にか近くにいる黒い影。とうてい太刀打ちできないもののはずだけれど、それでも人間が本気を出せば、ほんの少しなら出し抜くことができる。いや、でも、結局は…という、そんな死神像。

    宗教に造詣の深い方、北欧あたりの文化に詳しい方にぜひ感想(解説?)をお聞きしたいです。あるいは、普通のスウェーデン人の感想も聞いてみたいかな。

  • 時間があれば

  • 死神が圧倒的に格好いい。

  • 途中からが難解だった。

  • 3.0

  • 可もなく不可もなく。

    神の不在。
    死に飲み込まれるものもいれば、希望を繋ぐものもいる。

    そんな当たり前を描いた作品。
    意外にコミカルで退屈しないよ。

  • 騎士たち一行が死神と相対する最後のシーンで、従者ヨンスが村から連れてきた飯炊き女が印象的でした。
    実のところ途中その存在を忘れてたのですが、彼女の死神を見て「終わるのね」と言った時の、狂信的で熱のこもった歓喜と安堵の表情に、なんというか映画全体に感じる深い絶望のようなものを代表しているような、そんな気がしました。

  • 何だかよくわからないが、とにかく凄い作品だ。
    と思った。
    私は途中見ていてしんどかったが、ラストは愉快に思えました。

  • ベイルマンのこの名作をやっと観ることが出来た。難解な作品といわれてるけど楽しく観れたし、一気に観れた。ラストが恐ろしかった。

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