- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988003828998
感想・レビュー・書評
-
モノクロームの映像美。夢と過去と現在が入り交じる不思議な世界観。
描いているのは老人のたった1日の出来事。たった1日に老人の人生のすべてを集約し、自分の人生への過ちに気づく様を描く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
色々後悔の多い人生だとしても、現在地から未来に掛けては、自分の意志で持って多少は切り拓ける。例え死ぬ間際でも。というメッセージを80を超えた老人の寂しい白昼夢を観て受信。
美しく一見叙情的にもうつる象徴的な映像が続く。ヒッチコックの「鳥」のヴィジュアルもこの映画に少なからず影響されたんではないかと思わずにはいられない。タルコフスキーの静謐で荘厳なファンタジーも、キューブリックのスペクタクルも、アントニオーニも、ゴダールも、リンチの妖艶さも、すべてこの監督の作品が原風景にあったんだろうか。
幻想的な映像なのに、当事者的滑稽さと冷静な傍観者の視線が役を置き換えながら、常に劇中に共存させており、観客は終始現実を強いられる事になる。そこがまた面白かった。 -
夢、白昼夢、回想が入り混じりながら老人が後悔し続ける映画。
淡々とストーリーは進んでいくが重い重い鬱々しい映画だった。 -
見て損はない
-
80歳になろうとする医学博士。勲章の授与式に行くまでの1日に起こる出来事と、思い出す昔のことを交互に描き、自分の人生を考える。
最初の夢が夢らしくシュール。思い出した事柄からすると、婚約していたいとこは自分の弟と結婚し、それがずっとひきずっている? その後妻となった人とは不仲だったようだし。一族の避暑地で、好きだった従妹がおじの誕生祝に野いちごを摘んでいると、自分の弟が現れ従妹に愛をささやく。
スウェーデン語なのか、ドイツ語とフランス語と両方が混ざったような響きが新鮮。
BSで録画を見る。 -
悪夢で目覚めた主人公は、90才を過ぎた母親を訪ね、息子夫婦と交流し、夢で弟に奪われた初恋の人に会い、裏切った妻に会い、人生を振り返らせる夢を見ます。30代のベルイマン監督ですが、“老い”を描けていて感心しました。象徴的なシーンや哲学的なセリフがあり難解な雰囲気ですが、初恋の人に似た若い女子と男たちの交流で、生き方の軌道修正ができたようです。描かれているのは老人の一日ですが、見終わって余韻の残る品格ある作品です。
-
こういう映画…なんというのかな
人生劇。名誉ドクターが50年目を祝う式典に向かう途中に出会う若者たち、夫婦、老いた母親、息子の嫁、それぞれの胸中。
途中に織り交ぜられる悪夢、でもいい夢を見ることもある、人生だものね。 -
マリアンの凛とした佇まいがとてもよかった。
最後のシーンも温かくて好きだった。 -
3.0
-
二回目、音を消し、字幕も消して観た。ぼろぼろ泣いた。タルコフスキーの『惑星ソラリス』のあの感じは、本作から来ていたのだ。
-
色々な感情や考えが浮かんできた作品。主人公の夢を見ているうちに、夢と現実、過去と現在が混ざり合うような不思議な感覚にもなったし、明確に映画であることが表現されている作品にも見えた。作品の終わりは個人的に曖昧なものに見えたけど、とてもベルイマンらしい気もした。
-
文句なし。
完璧な構成、最高の普通であった。
理性的で、動物的な感情表現に欠ける老人が、理性の、彼の人生の象徴であり、結晶である医学における業績による名誉博士号の授与式に向かう中で出会う人々から影響を受けながら、理性に支配され、理性に逃げてきた過去の人生を悔いながらも、最後には小さくも大きい変化と、それでも良いこともあった人生への肯定を見せる。
恐ろしく繊細で、それでいて誰でも共感できる、普遍的名作。 -
老医師が授与式に向かう道中で自分の過去を見つめる物語。恋人や妻に対する後悔や自責の念を夢で追体験し、若者や義娘との交流、老母の元への久し振りの訪問、不仲な夫婦との出会い等で孤独を選択してきたことを省みる。ラスト近くでは息子夫婦や家政婦に対する接し方も変わり、老いの恐怖の中にいた主人公にも安らぎが生まれたようだ。立派な肩書きがあるにもかかわらず生きながら死んでいると言われる主人公を哀れに思っていたのでラストがとても救われる。
-
ベルイマンの名作たちがHDリマスター版としてリリースされました。(「野いちご」「処女の泉」「夏の遊び」「夏の夜は三たび微笑」)これまで名画座に行くかVHS、あるいは大金払って絶版のDVDを買うしかなかったのに、どかっとまさかのリリース!!ありがとう!!
(スタッフ:♂:20代) -
初めてベイルマン監督作品を見ました。
年代は古いけれど普遍的なテーマだし、センスフルな
整っている映像で全く古さを感じませんでした。
老いた教授イーサクの名誉学位授与式に赴く日に
走馬灯のように今までの人生を振り返った話。
道徳的な意味が織り込まれていそうなモチーフだが
押し付けがましい説教ではなく
老紳士の家族への悩み、孤独、老い、死などへの思いを
その一日の出来事に上手にパッケージしてありました。
イーサクの「気づき」や「振る舞い」が見ているものへの
メッセージになっている感じでしょうか。
含蓄のあるさすがの巨匠といわれる監督の映画でした。
次は「第七の封印」を見ようと思います。 -
『処女の泉』、『第七の封印』と観て、三つのうちで一番好きかも。
自分のベルイマン作品の初体験は『秋のソナタ』で、これまた静謐かつ強烈である意味すっごくエグイというか表現しがたい母娘の姿にびっくりした覚えがありますが、この作品の義父と義娘にその片鱗を見た気がします。
息子夫婦、兄妹、母、恋人、妻、そして自分自身にもちゃんと向き合わず、仕事に打ち込んできた(逃げていた)老人…そんな人間はそこらじゅうにあふれているのだけど、それが自分だけでなく周囲の人間にどんなに残酷さを振りまくこととなっていたのか…。
別に糾弾しているわけではないのだけど、それをこれほど深く表現し、はっとさせるのはさすがだなぁと思いました。 -
不思議な味わい…。