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感想・レビュー・書評
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絲山秋子氏のばかもの文庫本あとがきにて赤染氏が書かれていた内容が素晴らしく
作品を読んでみたいと思い手にとる。
物語序盤から非常に引き込まれて、期待値上がる。アンネの日記は若い頃読んでいたが、細かくは忘れてしまっていた。
正直今作に関しては、よくわからなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何かっていうと、赤染晶子さんばかり読んでいます。
デビュー作「初子さん」は優に30回以上、「うつつ・うつら」も20回は読みました。
私の愛読書と言っていいでしょう。
赤染さんの魅力は、何と言ってもその独特のユーモア。
どこまで意識して書いているのか。
それとも、赤染さん自身がいわゆる「天然」なのか。
いつかチャンスがあれば訊いてみたい。
そう思っていました。
ただ、赤染さんは2017年に急性肺炎のため死去しました。
42歳の若さでした。
本当に惜しい。
本作は、赤染さんの芥川賞受賞作。
これを読むのは、2度目です。
「アンネの日記」に材を取った純文学作品。
というと、未読の方は、悲劇の人間ドラマや不条理を訴える告発の書をイメージするかもしれません。
えーとですね。
あらすじを説明すると、ある外国語大学が舞台。
そこでは、主人公をはじめとする乙女たちが、スピーチコンテストの題材である「アンネの日記」の暗記に懸命に取り組んでいます。
そこにある噂が流れます。
噂を密告したのはだれなのか。
それをアンネの日記に重ねながら問うという筋書き。
常人には思いつかないですね。
乙女たちの間や乙女たちと教授との間で交わされる芝居がかった高踏的な会話が特におもしろく、夢中になります。
ただ、個人的には、「初子さん」が好きかな。 -
新聞の読書欄で取り上げられていた作品。外国語大学でドイツ語の教授と女学生との間に黒い噂が流れ、講義題材のアンネの日記と絡まりながら、夢想とも現実ともつかまい次元の中で物語が進行してゆく。アンネの日記を読んでいればもう少し深く掘り下げて理解できたのかも。
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私もアンネのロマンチックな乙女の部分しか見ていなかったので、新しい観点に衝撃を受けた。確かにそうだ。彼女は決してロマンチックなバラではない。過酷な隠れ家生活において否定される自己と戦った。失われたアイデンティティを確立しようともがいた。自己が自己であるがために苦しみ自己の中で他者を認めるが、それでも自己として生きることを辞めなかった。
深紅のベルベットみたいな高貴さとシャープな文体でテンポ良く展開していった。芥川賞受賞と聞き納得。こんなハイカラな女子大生いたら面白い。スピーチに注力する姿に感銘を受けた。 -
いつ面白くなるのかなと思いながら読み終えました。
結局、よくわからなかった。 -
電子書籍ではなく、図書館で借りて。
女子大生たち。スピーチコンテンスト。風変わりなドイツ人教授。アンネの日記。
・・・少ないモチーフで、重みはあるのにどこか憎めない感じの可笑しみがあって、一晩で読めてしまうページ数なのにこれだけ読み応えある小説、すごい。
もっと作品を残してほしかった。読んでない著作、読みます。 -
「アンネの日記」が
物語の中心に据えられている。
物語の舞台は京都の外国語大学で、
その大半は女子生徒。
風変わりなドイツ人教授の担当する
スピーチコンテストの課題は、
「アンネの日記」該当部分の暗誦だ。
アンネが抱えていた苦しみや悩み、
聡明さや真っ直ぐさ強さが語られる。
「アンネの日記」から浮かび上がるアンネは、
可哀想で同情すべき存在ではない。
10代の時に読んだ際、思ったのは、
10代でこんなにしっかりと自分の考えを持ち、
自分の言葉で述べることができる子がいるのか、
という驚きだった。
自分との差に愕然とさせられた。
物語の女子生徒たちもアンネと同じように、
苦境に陥っても歯を食いしばる。
”乙女”の世界の物語でもある。
作中、女子生徒は乙女と記される。
外語大学の乙女は授業の予習に必死で、
授業中に携帯をいじったり化粧を直したりしない。
女子大の乙女と異なると描かれる。
スピーチコンテストと
風変わりなドイツ人教授をめぐり、
そんな乙女たちの独特なヒエラルキー、
独特な世界が描かれる。
そのふたつが物語に大きな広がりを生みだす。 -
私も言葉に出会うのを待ってる
密告はマイナスなイメージの言葉かもしれないけど、その事実、その存在が確かにあるよって認めることでもあるよね