雷の季節の終わりに (角川ホラー文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 最近沼っている恒川恒太郎の長編。
    本作は夜市に次ぐ第二作というが、これまでは短編しか読んできてなかったため、長編で恒川ワールドを保てるのかと少しドキドキしていた。

    穏、我々の世界とも共通が多いけど何かと浮世離れしている世界から物語は入っていく。霧に包まれたような展開。まさに期待していた恒川さんの世界が展開されていた。

    前半と後半で色が大きく変化する。ここまでストーリーを変化させてしまうと散漫な印象を抱いてしまいそうだけど、伏線という筋でしっかり繋げている。逆に恒川さんよろしくの1歩引いたような傍観者的な文体にうねりが出ていたと思う。

    更に沼りそうだなーと思う本でした。

  • (kindle unlimited利用)
    やはり最後はバトルになる作品。ただ相手が以前より弱っているのであまりインパクトはない。後半語り手が何人か変わるので集中が途切れる。最後もなんだかなあとなってしまう結末。「穏」世界の置かれた位置も途中から変わって、こちらとの行き来が結構多くなっているのはなんだかおかしいような。

  •  長編。田舎町でののどかな暮らしを送る子どもたち、しかし子どもは知らされていない伝承や風習、そして恐ろしい雷の季節によって平穏な暮らしが脅かされていく。
     作者の描き出す文化、風俗の巧みさが素晴らしい。子どもの目線に立ってみると実際の現実世界もこのように危うく怪しい世界に見えるのではないか。そんな体験を大人になってから出来ることが楽しい。主人公は成長の過程で子どもと大人、現実と非現実、生と死など対立する(しているように見える)世界のあいまいな境界をさ迷い歩きながら視界を広げていく。作者はそうした境界の向こう側にあるものを描くのが上手く、作品世界において見えないもの、聞こえないものが感じ取れるように思えた。
     物語としては割とオーソドックスで、度肝を抜かれるような意外な展開は多くないと感じた。その分、飽きることなく物語が進行し、構成の妙もあって最後まで面白かった。

  • 良い

  • 賢也には姉がいた。しかしある時起きてみたら家に姿が見えなくなっていた。ここは穏。田舎の村のようだが、下界とは切り離されたところ。姉は雷の季節にいなくなった。雷の季節には皆が家に閉じこもっている。なぜなら、鬼衆が通るから。穏と下界と賢也と姉とがどのように結びついているのか。不思議な世界のお話。穏はこの世界とつながっているかも。

  • その昔読んだはずも履歴が残っていない、、、丁度よいからもう一度読もう、恒川さんの本は好きなので。

著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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