白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 本の後半に、週刊誌の記事やSNSの書き込みなどの資料があり、前半と併せて読み進めていくのが面白い一冊。
    前半は前半で一人の女性を知る人の話を聞くという形式なのでまた変わったところがあると思った。
    2012年にこの作品が生まれたのは驚き。
    とても新しい本だと思った。

    私もTwitterやInstagramなどを使って人と繋がっているが、誰かの言った一面だけを鵜呑みにしてしまうのは良くないなと改めて思った。
    もちろんそれは噂話でも。
    自分の言いたいことを赤星に話していくうちに思ってたことが変わっていくのも、つい強い言葉を選んで喋ってしまうのも、よくあることで恐ろしい。

    イヤミスの女王、湊かなえ先生らしいオチだった。
    思わず「うわぁ……」って声に出た。
    ミステリーとして回収されてるのに、イヤな気持ち。
    読後最悪なのに、つい戻って読み返した。
    これはハマる。

  • 浅はかな記事や、浅はかな言動、そして浅はかな行動というものが何を生み出すのか。それが書かれたような小説だった。

    物語が終わった後に、様々な資料やSNSが載せられているのが、伏線回収のような感じがしてとても面白かった。

    相手の立場に立って考えることの難しさや、人間の都合の良い記憶の改竄の恐ろしさを改めて知ることになった。人間っぽい部分をリアルに描いた良作だと思いました。

  • 変わった構成。湊かなえ作品だな、と。
    登場人物の発言や取材内容、コミュニティサイトやブログ、週刊誌や新聞記事の内容から犯人がわかっていく。
    読み始めたら一気読みできました。

  • 構成が見事。
    美人OLの殺人事件が発生。
    すべて、事件の関係者が記者の取材に答える形の
    「ひとり語り」で進行する。
    巻末に関連資料として、取材をもとにした週刊誌記事、
    記者や関係者のSNSやり取りが掲載されている。

    「ひとり語り」なので、描写は削ぎ落され、
    グイグイ読み進めることができる。

    記事やSNSが暴走することの怖さを感じるし、
    女性ならではの心の動きも浮き彫りになって
    (これは女性作家でないと書けないのでは……?)、
    単純に楽しめた。

    ある書評には「イヤミス度の高い作品」と紹介されていたが、
    それほど嫌な気持ちにもならなかった。

  • ネットって怖い

  • 全てが主観の語り口調であるが故にその数だけ真実が生まれるが事実はまた別物。「自分の記憶で作られる過去と、他人の記憶で作られる過去」 人の数だけ真実が枝分かれして発生するというのはリドリー・スコットの「最後の決闘裁判」と同じだなと感じた。その真実を取りまとめる「資料」があるのも斬新。 同様に語り口調であるが故に、恣意的な解釈や記述が往々にして起こり得るのも良い。下手な叙述トリックものにありがちな、読者を翻弄しようとして発生する、地の文にあってはならない著者の恣意的な事実曲解と違って全て疑えるのだから。

  • この本は、巻末にTwitterのようなものや週刊誌のような感じの記事を参考資料として用意し、適宜それらの資料を読みながら読み進めていくタイプのいかにも今時な感じの本でした。最初はめんどくさいなあと思いながら読んでいましたが、Twitterらしきものに書き込んでいる人物だと思われる人物が読み進めていくうちに本編の方にも出てきたりして、個人的にはかなり斬新で面白かったと思います☆

    昨日、内田樹さんという方が書いた「街場のメディア論」と言う本を題材にした読書会&内田樹さんの講演に参加してきたのですが、その時の結論として「マスコミとは、物事が良くなろうが悪くなろうがはおかまいなしに変化を求めるものだ(情報の価値が高騰するため)」「なので、マスコミに正しさを求めようとするのでは無く、今後は煩雑する情報の中から正しい情報をスクリーニングしてくれるを選択する事が重要である」という結論がありました。まさしくその事を表したのがこの本では無いかと思います。・・・ただ、例によって湊かなえさんらしく、出てくる人のほとんどが嫌な奴ばかりなのが個人的には残念だったかな^^;。そろそろそうじゃないパターンの本も書いて欲しいです☆

  • 【内容】
    化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人人への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方、匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。


    【感想】
    マスコミの情報は、普段から憶測が多く、
    週刊誌も例外では無い。
    一体何を信じたら良いのだろう。

    盛られた話が事実のように拡散していく...
    SNSがはこびる現状では、より顕著だ。

    たとえ、城野美姫が犯人でなく、
    里沙子が真犯人だったことが確証されても、
    城野美姫が負った心の傷は消えないと思う。

    どんなに仲良くでも、違う人間なんだから、
    誤解や恨み嫉みは生まれる。
    でも、大したことがないものとして、
    大抵はやり過ごせることなのに、
    それを文字にしてしまえば、凶器となり得る。

    そう思うと、SNSなんて、やるものじゃないなぁ、
    週刊誌なんか読むもんじゃないなぁと思う。

    でも、有意義な情報も得られることもある訳で...
    付き合い方が大事。


  • 美人会社員が惨殺された不可解な殺人事件を巡り、一人の女に疑惑の目が集まった。同僚、同級生、家族、故郷の人々。彼女の関係者たちがそれぞれ証言した驚くべき内容とは。「噂」が恐怖を増幅する。果たして彼女は残忍な魔女なのか、それとも―ネット炎上、週刊誌報道が過熱、口コミで走る衝撃、ヒットメーカーによる、傑作ミステリ長編。

    ***
    SNS上の出来事を描写している作品を読んで見たいと思い手に取りました。それを描写して物語を構成するというよりは、SNS上そのものの素材はキャプチャで貼って活用し、本編はまた別の形式で進める作品でした。
    物語内では、白ゆき姫とされる人の殺人事件にまつわり、複数の登場人物がインタビュー形式で語ります。各人の性格、男女の性差、立ち位置、考え方によって一つの事象をそれぞれで捉え、利害、偏見、先入観、嘘で表現が模られます。
    容疑者に感情移入することも良いですが、客観的に、善意にせよ、悪意にせよ、ある種の見苦しさを感じながら読み進めると、滑稽さに興味深く読めました。

著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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