チョコレートドーナツ [DVD]

監督 : トラヴィス・ファイン 
出演 : アラン・カミング  ギャレット・ディラハント  アイザック・レイヴァ  フランシス・フィッシャー  ジェイミー・アン・オールマン 
  • ポニーキャニオン
4.22
  • (263)
  • (240)
  • (92)
  • (15)
  • (2)
本棚登録 : 1390
感想 : 230
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013103085

感想・レビュー・書評

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  • 「うちに帰れて嬉しいかい?」

    ショーダンサーのルディと弁護士のポールのゲイカップルが、母親が逮捕されて路頭に迷ったひとりのダウン症の少年マルコを保護し、家族として暮らす話。
    幸せな時間を引き裂いたのは、法と、ゲイに対する偏見の目。1979年、カルフォルニア。言葉を尽くして検事や裁判長に訴えかけてもなんの手応えも無い、そんな無力感を一緒に味わうという映画です。


    40年前の「世間」の中でマイノリティが普通に暮らすことがどれだけ難しかったか。


    「みんなと同じ」でなくても生きていきやすい世界に少しずつ成っている、と思っていますが、行きづらさを感じる人たちがたくさんいるのも知っています。
    我々はもっと多くのことを学ばなくてはいけないのですね。


    Twitterで、「出来ればもう絶対観たくないが一生に一度は観ろ。立ち直れなくなったらグッドオーメンズを観ろ。」と言われていたのに先にグッドオーメンズを観てしまいました。どうしよう。もう一回観なくちゃ。


    救いのない物語ですが、そう、現在を生きる全ての大人たちに観てほしい。
    観終わったらグッドオーメンズを観ましょう。

  • 「これはマルコの審理です。ーー過ぎた望みですか?」
    審理でのポールの言葉が切ない。


    70年代アメリカ。まだまだゲイに対する偏見、差別で拳銃を向けられることもあった時代。


    あまりにもショックが強すぎて涙がでない。ただ胸が痛い。

  • 2012年の作品。全く先入観なくストーリーも知らないで観ました。1979年のアメリカ。いい映画です。ゲイカップル・知的障害のあるダウン症の少年に対する偏見。興味本位の周りの人達。しかし、深い繋がりを持つ3人。心から幸せになってもらいたいと願います。劇中に流れる音楽もいい。全てに心震わされます。現在でも、当時に比べれば、世間の理解は深くなっているとは言え、人の心からは偏見は消えないのかもしれませんねえ。良い映画です。何故、知らなかったんでしょう。

  • 2012年公開の米映画をアマゾンプライムにて。
    日本では抱えるテーマの重さに公開がなかなか進まなかったらしいが、主演アラン・カミングの圧巻の演技に心揺さぶられる。

    70年代のジェンダーや障害に差別や偏見が強く残っていた時代、ドラッグクィーンであるショーダンサーのルディと、クラブにふらりと立ち寄った検事のポールが互いに心奪われるところから物語が始まる。

    恋に落ちる男性と男性。事の善し悪しというよりも、アラン・カミングがポールに心奪われる眼差し、逡巡、抑えきれない衝動が混在する様を卓越した演技で表現する。

    そこに、母親が薬物中毒であり、ネグレクトの下育ったダウン症の少年マルコの存在が2人の間柄に新たなドアを作る。
    男性と男性による、ダウン症の少年の養育。他人同士が家族となり、時と経験を共に重ねる。

    70年80年代のアメリカは、トム・ハンクス主演の『フィラデルフィア』でも呈されるよう、同性愛は異端で忌み嫌うものという扱いが当然であり、本作ではさらにネグレクトの障害を持った子どもを養育するという"beyond tuff"という最難関に司法の場で2人が臨んでいく。

    何が正しくて、何が間違っているのか。
    差別がいけないとか、多様性は受け入れなければという、通り一遍のお題目にとどまらず、人の心は異なる立場をなかなか受け入れられないものだなと痛感。

    そして正しさの軸は、時により、人により、場所により変わり得るし、それぞれ異なることを再確認。

    アランが演ずる時代や社会への憤り、自分が疎外されている怒り、一方でマルコに向けられる慈愛に満ちた温かな眼差し、ポールに心酔する目の表情や声のトーン、間が余すところなく表現されている。

    ルディ、ポール、マルコ、3人の男性がともに暮らし、自分たちの居場所と心地よさを共有できたシーンには涙。

    挿入歌も抜群。特に"come to me"が良かった。
    アラン・カミングはドラマ”The Good Wife”、”The Good Fight"の選挙参謀役イーライで馴染みだったけれど、演技は言うに及ばず、歌も上手。

    悲哀、怒り、喜び、慈しみ等、人間の感情の奥行きを見せてもらった。

  • 同性愛者がどれだけ偏見、社会的差別にさらされているか、不条理な社会の常識を描いている映画。

    主人公のブレない姿勢にしびれる。

    導入とか、途中まで惹きこまれるんだけど、ラストがちょっと安易なのでは。
    障碍者がストーリーの味付け演出になってしまっているように感じてしまい。

  • 開始30分もしないうちから泣き、ラストの不条理で救いのない結末に打ちのめされそうになりながらも、色々なことを考えた映画です。

    1979年のアメリカ、カリフォルニア。ゲイバーでショーダンサーをしているルディは、客として知り合った検察官で恋人のポールとともに、母親が麻薬中毒で捕まって独りになったダウン症の少年マルコを、引き取り養育し始めます。
    それまで育児放棄状態にあったマルコは、二人からの愛情や適切な教育環境を初めて手に入れたのです。
    三人は家族としてとても幸せな時間を過ごしますが、ゲイに偏見を持つ人々が、二人からマルコを奪ってしまい…。

    マルコとの生活を取り戻すための裁判で、私生活を暴かれ、差別や偏見に晒されるルディとポール。
    二人のマルコへの愛情と親としての真摯な姿をこの目で見、理解し、彼らのために拙いながらも証言をする人々。
    誰も引き受けなかった二人の依頼を引き受けた黒人弁護士のロニー。
    三人の生活を一度も見たことがないのに、社会規範と法を盾に、ゲイは悪だし当然子供の環境には不適切という前提で裁判をすすめ、二人からマルコを奪った法律家たち。

    結局、物語は、二人が、そして、二人からマルコを奪った面々も望まなかったはずの悲しい結末を迎えます。

    悲しみと怒りを自らが唄う歌に激しくぶつけるルディと、同じ悲しみと怒りを、事実を報告する静かな手紙としてマルコを奪った人々に送ったポールの対照的な姿は、陰影に富んだ映像の効果と相まって、胸に迫ります。

    ポールから手紙を受け取った法律家たちは、自分たちの偏見と振りかざした権威が招いた最悪の結末に何を思ったのか…それは描かれないままで、それがかえって、鑑賞者に色々なことを突きつけ、考えさせます。

    とても辛い映画のなのですが、LGBTの人々が直面している課題というだけでなく、幸せや家族のあり方の多様性、「押し付け」の危険性など、多くのことを問いかける見事な作品です。

    • nejidonさん
      hotaruさん、この映画は私もしっかり記憶しています。
      確か実話をもとに脚本を書いたとか聞きました。
      結末は最悪でしたが、ただ、私も確...
      hotaruさん、この映画は私もしっかり記憶しています。
      確か実話をもとに脚本を書いたとか聞きました。
      結末は最悪でしたが、ただ、私も確たる自信はないのですよね。
      偏見を持たずに、そのひとを見られるかどうかという点で。
      ひとは簡単に易きに流れ、「世間一般」になり得るのです。残念ながら。
      このような映画を観ると、そんな自分を叱り飛ばしたい気持ちになります。
      余談ですがダウン症の子って、明るくて気持ちの綺麗な子が多いです。
      病気が持つ性格、というのがあるのでしょうね。
      あ、こんなことを言うと映画を思い出して泣いてしまいそう。。
      2017/06/17
    • hotaruさん
      nejodonさん、おっしゃるとおりですね。もし同じような場面に出くわしたら、私も偏見を持つ側にまわらないという自信はありません。それを含め...
      nejodonさん、おっしゃるとおりですね。もし同じような場面に出くわしたら、私も偏見を持つ側にまわらないという自信はありません。それを含めて、自戒の意味でも、よくできた映画でした。
      私はダウン症の子と接した経験はないのですが、彼らが幸せであること、もし今後、私が接した時に、彼らを傷つけるような振舞いがないようにと今から思います。
      2017/06/18
  • 1979年、カリフォルニア。ゲイであることを隠しながら生きる弁護士のポール(ギャレット・ディラハント)と、シンガーを夢見ながらショーダンサーとして働いているルディ(アラン・カミング)が出会う。2人はすぐ惹かれ合い、恋に落ちた。
    ルディが暮らすアパートの隣に、ダウン症の子ども・マルコ(アイザック・レイヴァ)と薬物依存症の母親が住んでいた。
    ある夜、マルコの母親は大音量の音楽をかけたまま男といなくなってしまう。
    翌朝、ルディが騒音を注意しに隣に乗り込むと、小さくうずくまって母親の帰りを待つマルコがいた。
    ルディは助言を求めてポールが働く検事局に行くが、ポールは家庭局に連絡してマルコを施設に預けろと言い捨てる。
    失望したルディがアパートに戻ると、マルコの母親は薬物所持で逮捕され、マルコはお気に入りの人形アシュリーを抱いたまま、強制的に施設に連れて行かれる。
    翌日、ポールはルディに昨日の言葉を詫びる。
    2人はお互いが歩んできた人生をそれぞれ打ち明け、さらに深い結びつきを確信する。
    その帰り道、家に帰ろうと施設を抜け出したマルコが夜の街を1人で歩いていた。
    ポールとルディはいとこと関係を偽り、マルコと一緒に暮らし始める。
    マルコは初めて学校に通い、ポールはマルコの宿題を手伝い、ルディは毎朝朝食を作り、眠る前にはハッピーエンドの話を聞かせて眠らせる。
    2人はまるで本当の親子のようにマルコを愛し、大切に育てた。
    ルディは、ポールから贈られたテープレコーダーでデモテープを作り、そのテープがクラブオーナーの目にとまってシンガーの夢を掴む。
    3人で暮らし始めて約1年が経ったある日、ポールとルディがゲイのカップルであることが周囲にバレてしまう。
    関係を偽ったことが原因でマルコは家庭局に連れて行かれ、ポールは仕事を解雇される。
    今こそ法律で世界を変えるチャンスだというルディの言葉に、ポールは法を学んでいたときの情熱を取り戻す。
    そして、マルコを取り戻すための裁判に挑む……。
    実話から生まれた魂を震わす物語。
    冒頭のアラン・カミングのパフォーマンスから、アラン・カミングが演じるルディのゲイであることに誇りを持っていて、情に篤い生き方に惹き込まれます。
    ゲイであることに誇りを持ってルディを愛し始めるポールの変化、ルディとポールのマルコを守るために緊急監護権を法廷に申し立てる奮闘、ルディとポールがダウン症のマルコと暮らす困難、アラン・カミングが熱唱する「Come To Me」「I Shall Be Released」などの名パフォーマンス、マルコと暮らすためにゲイであることを隠さなければならないルディとポールの苦闘と葛藤、自分らしく生きることの困難や尊さと法や偏見を超えた本当の愛をメッセージする傑作映画です。
    ただラストは、あまりに辛い。

    • hiromida2さん
      daiyuuki24さん、(*´∀︎`*)コンニチワ~♪︎

      はじめまして☆︎(●︎´∀︎`●︎)☆︎
      とても内容詳しくレビューしていただい...
      daiyuuki24さん、(*´∀︎`*)コンニチワ~♪︎

      はじめまして☆︎(●︎´∀︎`●︎)☆︎
      とても内容詳しくレビューしていただいて、嬉しい♡
      私も大好きな映画です₍˄·͈༝·͈˄₎◞︎ෆ⃛̑̑ෆ⃛
      随分前に観たので本棚登録はしていませんが…
      レビューを拝見して、映像の頁を捲るように
      思い出して
      そうそう!1人頷きホッコリしちゃいましたよ
      (*´꒳`*)
      ありがとうございます♪
      他の映画のレビューも概要を上手く伝えてくれて*ˊᵕˋ)
      もう一度映像が蘇ってきて楽しませてもらってます。
      また本棚のレビューに感慨に耽らせてもらいます♪
      今後ともよろしくです(〃'∇︎'〃)
      2022/12/23
    • daiyuuki24さん
      hiromida2さん コメントありがとうございます。備忘録としてもレビューしているため、どうしても詳しくなってしまいますが、また読んでくだ...
      hiromida2さん コメントありがとうございます。備忘録としてもレビューしているため、どうしても詳しくなってしまいますが、また読んでくださると、ありがたいんです♪
      2022/12/23
  • ゲイバーで出会い恋に落ちたゲイのカップルと
    母親がいなくなり行き場をなくなったダウン症
    の少年と3人で暮らし始めます。
    だが法はその関係を許さず、彼らは3人での生
    活を取り戻すため長く辛い裁判に挑みます。
    同性愛や人種への差別が横行する70年代のア
    メリカで3人はともに暮らしささやかな幸せを
    共有していきます。理不尽な偏見によって引き
    離されてもなお懸命に愛する人を守ろうとする
    彼らの無償の愛や絆は本当の家族のあり方を問
    いかけていました。
    ゲイカップルと孤独な少年、ニセモノ家族が築
    いた真実の絆の物語です。
    最後は感動した映画です。

  • みた後に自分自身を見直したくなる、心が優しくなる映画です。ルディが本当に愛のある「母親」で、観ている側は『なんでなの!どうしてだめなの!お願いだから!』って訴えてしまう、そして結末を知って崩れ落ちます。なんてつらい、そしてなんて意味のある映画なんだろう。

    DVDのジャケットでなんとなくミニシアター系のオシャレ映画だとおもってました。とんでもない。

  •  1970年代のアメリカ・ブルックリンで実際にあった「障がいを持ち、母親に育児放棄された子どもと、家族のように過ごすゲイの話」(公式サイトイントロダクションより引用)をもとにした映画。

     1970年代ということから、今の時代からは想像もできない「守られるべき権利」が当然のように侵害されている。ゲイというだけで異常者という扱いであったり、仕事を失ったり。
     そしてまた、障害をもつ子供が当たり前のように、子供を保護したゲイたちから家族として愛されているということが得難いように思う。何者であっても何者でなくても愛されたいという自分の中の欲望に気づいた。
     自分でも驚くほどの涙が出た。

     1970年代、今から半世紀前の世界がこれで、現在も偏見はあるものの少なくともあの頃よりはまともになっている(と思いたい)。これから半世紀先の未来はどれだけの豊かさが生まれるのだろう。多様性はどれほど許容されるのだろう。
     いろいろと考えさせられるが、見てよかった映画。

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