本当に残酷な中国史 大著「資治通鑑」を読み解く (角川SSC新書) [Kindle]
- KADOKAWA (2014年9月11日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (188ページ)
感想・レビュー・書評
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日本では中国の歴史といえば司馬遷の「史記」だが、本家中国では司馬光の「資治通鑑」のほうが好まれるらしい。筆者は独学で大著である原書の資治通鑑を読み込み、その結果、中国を理解しようとする読者に対して、儒学・道学よりもこちらのほうが中国文化の本質を顕していると推薦している。
歴史の上の文化を学ぶという目的では筆者の主張に同意できる。しかし、過去の文化が、中国のように易姓革命、異民族の侵入・支配、大反乱と変動を定期的に繰り返してきた国で、現在の文化にどれほどの影響を与えているかは別途研究が必要ではないだろうか。例えば、四鏡からいかほど現在の日本の文化を説明できるかといえば疑問符が付く。
本文ではこの点について毛沢東の事績に触れて「今でも、引用されている証拠である」としているが説得力は大きくない。
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悪人~善人のレンジが広過ぎる。
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共産主義が悪いから今の中国があんな酷い国なのではない、昔からああなのだということがよく分かる本です。中国人の残酷さ(初っ端が食人の風習の話です)、官僚のド派手な蓄財、狡猾さ(恩人を平気で裏切る)を物語るエピソードを資治通鑑からピックアップして纏めてあります。正直引いちゃいます。でも彼らがああなのは余りにも中国の歴史が過酷で、そうでもしなければ生き伸びられないからだということが分かった。この本を読むと中国が世界の覇権を握るのだけは勘弁してと思う。全日本人必読の本です。特に中国進出を考えるビジネスマンや中国人研修生を受け入れる企業の経営者は必読です。広島の牡蠣業者のところであったような惨劇が起こらないようにするためにもこの本を読んだ方がいいです。ちなみに著者が言うように嫌中本ではありません。この本に載っているエピソードは全て北宋の司馬光の資治通鑑からの引用です。別に著者が都合良いように解釈してるわけでもありません。漢文の原文も載っています。著者は、中国人は善悪のスペクトルが異常に広く、とんでもない悪人もいるが、とてつもない善人もいる、と言っているが、その善人の例が殆ど挙げられていないのが残念。