認知科学への招待 [Kindle]

著者 :
  • サイゾー
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感想・レビュー・書評

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  •  認知科学。この学問を外観するための本である。多数の著作がある。テレビ等でも登場し鋭い発言を連発している。この著者を理解するためにも学んでおくとよい。
     認知科学。世の中にはあまり認知が無いかもしれない。とはいえ、2000年から始まったと言われている第3次AIブーム。コロナ禍を経てビジネスの「場」のオンライン化が進んだ。ここで登場した「1on1ミーティング」(ヤフー株式会社の登録商標)文脈でもよく参照されるコーチング。UX/UIを中心にビジネス自体を再考するという流れ。
     これらの全く異なる分野の大元になっているものと言えば重要度はわかるのではなかろうか。
     本書の最後に提示されている「超情報場仮説」がある。現在のAIは特定の分野であれば人の能力のそれを大きく上回る。しかし、フレーム問題と言われるものに対しては無力である。幼稚園児や小学校の低学年の児童なら余裕でできることができていない。
     物理学では二重スリット実験というものがある。これは未来が過去を書き換えると呼ばれている。また、私たちが現実だと思っているものは、私たちを超える存在が行っているコンピュータ・シミュレーションだとする説がある。
     個人的には「超情報場仮説」が私たち人類に理解される日がいつか来ると思う。そしてその際に上記の問題がも解けてしまう。そんなワクワクを感じてしまう。この本は非常に面白い。

  • 人間の心を含めた知能がどのように働いているかを探る学問「認知科学」の歴史や著者が関わった研究について述べられている。
    私が認知科学自体に馴染みがないため、初見で感想を述べることが難しい。ハイライト部分のみ記載する。



    【ハイライト部分】
    ・シャンクは、人間が文章には書いていない内容までかなり正確に類推することができるのは、「人間にはある標準的な状況で組織化された知識が備わっている」からだと考えました。
    ・この「人間は人間の知能を記述できるか」というテーマには、細かく分けると二つの要素が含まれていることがわかります。  一つはまず「人間の知能を構成する情報を、人間が解明できるか」ということ。もう一つは「それが解明できたとして、その内容を人間が記述することができるか」ということです。
    ・さらに、「人間は何か失敗をしたとき、仮説を立てて説明しようとし、それがインデックスとなって記憶になる」という考え方に基づいて、「Explanation Patterns(エクスプラネーション・パターンズ)」という概念が生まれてきました。
    ・神経細胞が伝える情報は、基本的にはその細胞が興奮(活性化)しているか、していない(沈静化している)かです。
    ・「ゲシュタルト」とは「全体性を持ったまとまり」のことで、「全体は必ずしも部分の総和では表せない」とする考え方のことです。
    ・「必要のないことは考えなくていい」と指示を出しても、何が必要で何が必要でないかをひたすら考えるという作業が始まってしまうわけです。
    ・関連性のないものを集めて関連性を見出す作業というのは、抽象度の階段を上がらないとできません。この抽象度の階段を上がるという作業は、今のところ、人間にしかできないことのようです。
    ・「フレーム問題」で大事なことは「人間には内省的意識がある」ということだと思います。人間は「今、私は部屋の掃除をしている」と認識する能力がありますが、ロボットにはありません。

  • 内容が著者の研究に寄っているのでだいぶ古い。
    昔の研究はこんな感じだったのかと、古典的な流れを知るのには良い。

  • フレーム、スクリプトなどの概念はあくまでまだ仮説の段階にすぎず、科学的というよりは哲学的な内容に感じました。
    そのためそういう考え方もあるかー程度だったのが正直な感想です。
    認知科学は機械学習をベースに発展しており、機械学習は深層学習によりブレイクスルーが起きたので、深層学習誕生後の最新の見解が気になります。

  • 入門にしては難しい。

  •  認知科学という学問分野の解説。人間が言葉や物事をどのように把握しているか、あるいはコンピュータが人間と同様に認知することができるようにするためにはどのような論理が必要か、そういったことを研究しているようだ。

     その分野はかなり興味深いと思うが、この本はむしろ著者の自叙伝のような面が強い。しかも最後の方では少々オカルトじみた「超情報場仮説」なるものが登場する。著者は本気のようだが、少なくとも現時点ではとても広く受け入れられる理論ではないと思われる。

     ちょっとどう受け止めていいかわからない本だった。

  • たまごが先かにわとりが先か。
    全体が先か部分が先か。
    ゆるやかに連携している。同時。

  • 途中まで認知科学の歴史や研究者等の詳細が述べられており、参考になったが、後半の持論や仮説が飛躍し過ぎてピンとこなかった。

  • 難しかった。特に前半は。後半は興味を持てたので、面白く読めた。

  • 脳科学者である著者。認知科学の道に進んだ経緯から、認知科学の歴史や現状、そして未来についてまとめた入門書。
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    <認知科学に興味を持った人向け>
    人工知能と人間との違いは興味深かった。人を人たらしめるものは何か、という問いは、哲学にも通じるものがあると思う。

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著者プロフィール

認知科学者(計算言語学・認知心理学・機能脳科学・離散数理科学・分析哲学)。
カーネギーメロン大学博士( Ph.D)、同 CyLab フェロー、ジョージメイソン大学C4I&サイバー研究所研究教授、公益社団法人日本ジャーナリスト協会代表理事、日本外交政策学会会長、コグニティブリサーチラボ株式会社CEO 兼基礎研究所長。マサチューセッツ大学を経て上智大学外国語学部英語学科卒業後、三菱地所へ入社、財務担当者としてロックフェラーセンター買収等を経験、三菱地所在籍のままフルブライト全額給付特待生としてイェール大学大学院計算機科学博士課程に留学、人工知能の父と呼ばれるロジャー・シャンクに学ぶ。同認知科学研究所、同人工知能研究所を経て、コンピュータ科学と人工知能の世界最高峰カーネギーメロン大学大学院博士課程に転入。計算機科学部機械翻訳研究所(現 Language Technologies Institute)等に在籍し、人工知能、自然言語処理、ニューラルネットワーク等を研究、全米で4人目、日本人として初の計算言語学の博士号を取得。帰国後、徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、同ピッツバーグ研究所取締役、通商産業省情報処理振興審議会専門委員、早稲田大学研究院客員教授などを歴任。また、晩年のルー・タイスの右腕として活動、ルー・タイスの指示により米国認知科学の研究成果を盛り込んだ最新の能力開発プログラム「 TPIE」、「 PX2」、「 TICE」コーチングなどの開発を担当。その後、全世界での普及にルー・タイスと共に活動。現在もルー・タイスの遺言によりコーチング普及及び後継者として全世界で活動中。一般財団法人サヴォイア王家諸騎士団日本代表、聖マウリツィオ・ラザロ騎士団大十字騎士。近年では、サヴォイア王家によるジュニアナイト養成コーチングプログラムも開発。日本でも完全無償のボランティアプログラムとして「PX2」と並行して普及活動中。

「2023年 『新・夢が勝手にかなう手帳 2023年度版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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