[決定版] 世界の[宗教と戦争]講座 (徳間文庫) [Kindle]

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  • [決定版] 世界の[宗教と戦争]講座 (徳間文庫)という本は、井沢元彦さんが世界の六大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、神道、儒教)の教義や歴史をわかりやすく解説し、それらがどのように人間の生き方や紛争に影響を与えてきたかを論じたものです。本書は2001年に刊行された『世界の「宗教と戦争」講座』を加筆修正したもので、2011年に出版されました。

    私はこの本を読んで、宗教に関する知識や理解が深まったと感じました。特に興味深かったのは、以下の三つの点です。

    - 日本人の宗教観が他国と異なること。日本人は神を信じる心があっても、神の言うことを絶対的に守る必要はないと考える傾向があるということです。これは「和」の精神や「水に流す」という価値観に表れています。しかし、これらは外国人から見ると非常識や無責任に見えることもあるということです。日本人は自分たちの宗教的アイデンティティーを見直す必要があると思いました。
    - ユダヤ民族の選民思想が根強いこと。ユダヤ民族は神から特別に選ばれた民族であると信じており、その証拠にイスラエルの土地を与えられたと考えています。これは旧約聖書に基づく信仰ですが、それゆえに他の民族や宗教と対立することも多いということです。ユダヤ民族は自分たちの歴史や文化を大切にする一方で、他者への寛容さや共生の意識も持つべきだと思いました。
    - ホロコーストが戦争犯罪ではないこと。ホロコーストとはナチス・ドイツが行ったユダヤ人大量虐殺のことですが、これは戦時下ではなく平時に始まった政策であり、ドイツ国民の支持を得て行われたことです。これは戦場で起きた狂気ではなく、無神論的な共産主義やナチズムが生み出した悪であるということです。ドイツが時効を認めないのもそのためです。ホロコーストは人類史上最大の悲劇であり、二度と繰り返してはならないことだと思いました。

    以上のように、本書は宗教が人間社会に及ぼす影響や問題点を多角的に分析しており、読者に深い洞察を与えてくれます。ただし、本書は2001年から10年以上経ってから改訂されたものであり、その間に世界情勢や宗教情勢は大きく変化しています。例えば、アメリカ同時多発テロ事件やイラク戦争、アラブの春やシリア内戦、ISILの台頭やパリ同時多発テロ事件など、宗教と紛争に関する重要な出来事が多く起きています。これらの出来事については本書では触れられていません。また、本書では扱われていない宗教もあります。例えば、ヒンドゥー教や仏教の一派であるチベット仏教などです。これらの宗教も世界に影響を与えていると思います。したがって、本書はあくまで入門書として読むべきであり、最新の情報や他の視点も参考にする必要があると思いました。

  • 宗教をばくっと把握したくてアマゾンのセールで購入。各宗教がどういった価値観を持っているか、平易な言葉で解説されている。意識的にせよ無意識的にせよ、我々の価値観引いては行動理由に深く影響していること、この理解なくしてグローバルな理解は程遠いことを学べた。神道、儒教についても、他の章と同様の紹介をして欲しかった。

  • 宗教入門本。何か宗教に入りたい人向けという意味ではなく、有名な宗教ってどんな感じなの、というような人に向いている内容。宗教に疎いせいで海外の人の言動を理解できなかったり、トラブルになってしまうことがあるのは望ましく無い。だから学んでおくべきというスタンス。

    個人的に面白かったのは仏教が日本に入ってきていかに変質したかという話。もともと仏教の世界観では人が死ぬと転生するので幽霊はありえないのだが、なぜか日本ではお盆に死んだ人が戻ってくるという。転生していても呼び戻されるのだろうか。

    これに限らず宗教では矛盾する教えか度々あるが、なぜか信者の中では矛盾せず成り立っているのが不思議。まあそんなことを気にしないから信者となるのだろうが。

著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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