人を殺してみたかった 17歳の体験殺人!衝撃のルポルタージュ (双葉文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • このタイトルが偽りなく事件の加害者の少年の本心であることに衝撃を受けるが、本当の衝撃は、そこに異常性が感じられないところにあった。猟奇的な殺人者ではなく、淡々と「ふつうの人生」の路途中に「殺人を経験したかった」というのが少年の心理だったということが、おそらく「ふつうの人」には到底共感できないと思う。

    前半はどこまで本当なのかわからない事件の全容を小説風に書き記す。この時点でうさんくさい本だったかな、と思ってしまったけど、後半には少年の心理から事件のキーワードとなるアスペルガー症候群との関連を明確にしていく(が答えは出てこない)。

    この事件の難しくまた興味深いところは、少年の行動は絶対に許されることではないにも関わらず、少年自身の心は目的的で完全な責めを与えるには理屈が不足していること。「精神病で判断できないから減刑?」「アスペは精神病?」「なぜ人を殺してはいけないのか?」

    「死」ではなく法と倫理と精神と心理と様々な思惑が絡みあった「殺人」について、考えさせられる事件だと思う。あと、当時と比べてネットではすっかりネタとなってしまった「アスペ(ルガー症候群)」についても、もう少し正しい知識は得たいと思った。

  • 2000年、愛知県で17歳の少年が起こした殺人事件に、世間は震撼した。「人を殺してみたかった」――そう少年が供述したからだ。なぜ彼はその境地に至ったのか、事件を防ぐことはできなかったのか。取材から浮かび上がる少年の姿とは。
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    犯人は、自分の1歳上だった。当時田舎の高校生だった自分には、遠い世界のこととしか感じられなかった。このルポを読んでも、やはり遠いなぁというかんじ。彼の心理を理解なんてできない。筆者も認めていることだけれど、この本には結論がない(に等しい)。彼がなぜこんな事件を起こしてしまったのか、筆者も理解ができなかったからだ。そういう意味で、不完全燃焼に感じる部分もあるのだけれど、第三者から見た事実なんてそんなものだし、そこを正直に書き上げていることに信頼感を覚える。

    「精神鑑定」がものすごく属人的なものだというのは知らなかった。

  • 少年法の壁があるのはしょうがないが、二次情報が中心で肝心の事件そのものの情報がぼんやり感じた。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。「沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち」「沖縄ひとモノガタリ」「誰も書かなかった玉城デニーの青春」など多数。

「2023年 『居場所をください 沖縄・kukuluの学校に行けない子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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