- Amazon.co.jp ・電子書籍 (399ページ)
感想・レビュー・書評
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普通のマネジメント本に飽きたらおすすめの一冊。スマート・クリエイティブと呼ばれる優れた人たちが集結して偉業を成し遂げるための『場』の作り方にフォーカスした一冊。
〇みんなが勘違いしているグーグルのオフィス
・研究施設や学習施設、スポーツ環境ばかりに目が言っていて、「社員を窮屈な場所に押し込める」哲学を知らない
・グーグルの仕事場は狭い。腕を振り回すと当たるくらいに狭い。それがクリエイティビティの培養皿になる
・オフィスデザインは従業員を孤立させたり、地位を誇示させる場所ではない。エネルギーや交流を最大化することを目的にするべき
・お互いが手を伸ばせば相手の肩に触れられる環境はコミュニケ―ションやアイデアの交流が起きやすい。偶然の交流を増やすように設計するべき
〇組織の基本構成
・ベゾスのピザ2枚のルール
・影響力のある人材をベースに組織をつくれ
・影響力のある人間に責任と権限をあたえ、しぬほど仕事を任せろ
・「抗脆弱性」を持つ組織をつくれ
┗ リスクを最低限に抑えたり失敗を防ぐことよりも、リスクをとり、避けられない失敗に耐えられるだけの強靭な組織をつくる事が大事
┗ 失敗や外的ショックに耐えられるだけでなく、それを糧にさらに強くなるようなシステム
〇スマートクリエイティブな人材(優秀な人材)
・スマートクリエイティブは、自律的に行動し、仲間と協力でき、課題設定ができて、解決していける人
・戦略でもっとも大事なのは人選びである。断じて人のうえに事業計画はたたない
・つまり「採用」こそトップに必要なこと
・つまり「面接」のスキルがないトップはくそ。常に地上から動機付けや人心掌握できる術を学べ
〇ライバルに追随するな
・ライバルを見ているとイノベーティブは生まれない
┗ 劣化になりがち
・勝ったとしても多少の変化と勝ちをもたらすだけ。ライバルを考えてばかりいると、価値から思考が反れるから
・ライバルを無視するわけではない、もちどん良く見るべき。ただ追随は避けるべき詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
筆者が定義する、“スマートクリエイティブ” なる優秀な人材。 経営・マネジメント側から見た、スマートクリエイティブへの向き合い方。 一方で自らもスマートクリエイティブたること。 学び続ける『ラーニング・モンスター』であれ。 “制約こそがクリエイティブを引き出す。”←ここは誤解なく学び取りたい。
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2022年の読後感としては、いろいろ懐かしいなという。
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大企業病を発症しないためのカルチャー、人材の重要性を説く内容。
すべての企業にこの思想を浸透させて、徹底させることは難しいとは思うが、優秀な人材を惹き付けるために必要なことと、世の中に変化を起こすイノベーティブな製品を生み出せる理由が理解できた。現実を擦り合わせた実践に落とし込めるかを検討したい。 -
グーグルのリーダーを務めた著者。
「スマート・クリエイティブ」と呼ばれる、自らの専門分野に関するふかいちしきを持ち、それを知性、ビジネス感覚やさまざまなクリエィティブな資質と組み合わせる人物。そういった社員がプロダクトを生み出している。
彼らがアウトプットを生み出せるような環境を整えるのが会社としての役割。マネジメントとではなく適度な放任主義。上司のマイクロマネジメントは逆効果。至極当たり前である。
とはいうものの普通の会社はそんなスーパーマンばかりではない。グーグルの雰囲気を知ることはできるが、この仕組みを他の組織に適用してもあまり効果は期待できないだろう。 -
Googleの会長による著書。
翻訳もわかりやすく非常に読みやすい。
有名なGoogleの取り組みを、
導入された背景だったり意図だったりを丁寧にたどりながら解説されている。
そもそもGoogleの取り組みというS級の事例を取り扱っているので、それだけで読む価値があるのだが、さらに翻訳の質もこれだけ高いのは、質の高さ×理解しさすさで★5以外ありえない。
名著でも翻訳がクソすぎて読む気をなくす、ということがよくあるため、そういう意味でも本書は非常によかった。
少し前のGoogleの取り組みだが、今の日本では導入したら、超最先端。日本の企業でこれらの取り組みが普通になるのは30年後だろう。
さらには単純に仕組みだけを真似てもうまくいかないと思った。前提としてスマートクリエイティブと本書で言われているように、超優秀層がいることが前提になっている。
その人たちが自由に考えたり、アウトプットを出せたりする環境を整えるという話だが、日本で中途半端な人材しかいない企業において導入すれば逆に混乱する。
そういう企業は、識学とかを導入して管理していくのが良いと思った。つまり、前提が違うのであればソリューションも大きく変わってくる。 -
エリック・シュミット著、ジョナサン・ローゼンバーグ著、アラン・イーグル著、ラリー・ペイジ序文、土方奈美訳『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』(日本経済新聞出版、2014年)はGoogleの成功体験を明らかにする書籍。Googleが20世紀的な管理主義と真逆の方法で成功したことが分かる。
GoogleはGAFAの一角である。ITエンジニアが関心を持つ書籍であるが、IT以外のビジネスパーソンも読みやすい内容になっている。たとえばJavaについて「飲み物や島ではなく、プログラミング言語のほう」というITエンジニアには言わずもがなの説明をしている(25頁)。
Googleは日本企業の役職者の身分意識とは最初から無縁であった。「グーグルはオフィススペースの広さで『偉さ』を測るような職場ではない」(19頁)。Googleはエンジニア重視であるが、日本の所謂技術者とは異なる。「経営にも詳しく、発想力も豊かだ」(27頁)。新しいタイプの労働者を「スマート・クリエイティブ」と称する(42頁)。これは20世紀的な知識労働者とは異なる。組織や職務構造に束縛されない。
本書は20世紀的な働き方に対して新しさを提示するが、Withコロナのニューノーマル時代には古いところもある。イノベーションを生み出す場としてオフィスを重視している点である(79頁)。今やテレワークででオフィス半減を発表すると株価が上昇する時代である。昭和の対面コミュニケーション至上主義と同じく、楽しいオフィスに固執しているように感じられる。
表面的な顧客の意向を尊重することが顧客志向ではない。「大切なのは顧客の要望に応えることより、顧客が思いつかないような、あるいは解決できないと思っていた問題へのソリューションを提供すること」(132頁)。これはHenry Fordの「もし顧客に彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう」(If I had asked people what they wanted, they would have said faster horses.)につなる。
オープンであることは価値がある。「誰かが不当な優遇を受けているのではないかという疑念を解消することは成長の追い風となる」(157頁)。これが日本の昭和の村社会と決定的に異なる点である。
本書はGoogleの採用の基準の記述もある。「重大な人格的欠陥を示すものでないかぎり、私たちはネット上のコメントや写真をもとに否定的評価を下すことはない。すでに述べたとおり、グーグルが求めているのは情熱のある人で、情熱がある人はネットでかなり活発に活動する傾向がある」(206頁)。昭和的な日本企業とは大きく異なる。