物語 数学の歴史 正しさへの挑戦 中公新書 [Kindle]

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  • 中央公論新社
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感想・レビュー・書評

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  • 超面白かった。
    数学の歴史についての本は日本語の本だけでもおびただしい数書かれているだろうけど、
    本書は冒頭から心をつかんでくる。

    足し算、引き算、かけ算、割り算、いわゆる四則計算のなかで、「割り算」こそが数学を芽吹かせたという指摘にまず興奮した。

    ここから、人間の「分けること」についての冒険が始まる。さらには、ひとつの流れは「計算すること」へ、もうひとつの流れは「見ること」(すなわち幾何学)へと分かれていく。

    両者が、長い時を経てらせん状にからみあい、やがてひとつになるというストーリー。
    だから本書にはたくさん数学者が登場するが、主人公のひとりはリーマンである。

    非ユークリッド幾何学を経て、グロタンティークによって「トポス」なる空間概念が創出されるわけだが、これが驚きのもので、なんと「点」という概念すら自明のものではなくなるというのだ。

    たしかに、考えてみれば、ユークリッド幾何学においてもどうして「点」が出発点であるのかを疑ってみることはできる。点なんてなくても世界は認識できる。この指摘は最後の最後で衝撃的だった。

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著者プロフィール

かとう・ふみはる 1968年、宮城県生まれ。東京工業大学理学院数学系教授。97年、京都大学大学院理学研究科数学数理解析専攻博士後期課程修了。九州大学大学院助手、京都大学大学院准教授などを経て、2016年より現職。著書に『ガロア 天才数学者の生涯』(角川ソフィア文庫)『物語 数学の歴史―正しさへの挑戦』『数学する精神―正しさの創造、美しさの発見』(以上、中公新書)『数学の想像力―正しさの深層に何があるのか』(筑摩選書)、『宇宙と宇宙をつなぐ数学―IUT理論の衝撃』(KADOKAWA)、
『天に向かって続く数』( 共著、日本評論社)など。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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