ボトルネック(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 気に入ってしまったので、個人的に米澤穂信フェア開催中。
    米澤穂信氏は金沢大学に通われてたらしく、舞台は金沢。
    出てくる街並みや、浅野川・犀川の川沿いの道が描かれてイメージしやすく楽しい。

    東尋坊で突然、自分だけが生まれてなかった世界に迷い込んでしまう。
    自分が生まれてなかった世界にも、自分の家があり、両親や兄がいて、
    自分の世界にはいなかった1つ年上の姉(!?)がいた。
    自分の世界では死んでしまったはずの恋人や兄が生きていて、間違い探しをした結果、自分の生きている意味を知ろうとする。

    苦しくなるような話だけど、生きる意味を自問自答することのある思春期にちょっとおすすめしたいかも。

  • ボトルネック

    米澤穂信3冊目。
    パラレル青春ミステリ。

    何か大きな選択をしたときその選択に自信がないと、選ばれなかった在りえたかもしれない可能性に対して楽観的になって、今現在を肯定できなくなり不安になったり、自分を呪ったりたりしがちだ。
    現実は一つしかないので、だからこそ開き直って生きていける。
    この話では、自分が存在しない並行世界に飛んで、自分のリアルな世界よりも良い現実を経験してしまう。二つの世界の決定的な違いは、生まれなかったはずの姉が生まれ、替わりに自分が生まれていない世界。しかも、姉(サキ)が存在する影響によって、ほとんど同じ世界が少しずつ良い方向に変化している。
    自分の存在自体が、自分の周りに対してよい影響を与えていないと思ってしまう。
    これまで辛いことにも蓋をして諦めてきたことが、今後諦めることすらできないことに、そこから抜け出すには自分が大きく変化しなければならないことに気づく(死ぬことも変化の一つ)。

    ちゃんと犯人がいて謎が解かれるミステリでありながら、主人公が何もわからない状態から自分自身の変化の必要に気づくまでが細かく描かれていて、読後には繊細な気持ちになった。

    サキの服装描写が時々あったが、想像するとずいぶんダサくなってしまい、おや、となったけど、他の人はどうなんだろう。

  • 自身が"存在しなかった"世界はいったいどうなっているのか。家族は?友人は?社会は?どう変化するのか、自分が"いなくなった"世界について想像したことはあったが、そもそも"いなかった"世界は想像したことがなかった。
    自身の人生の結果を目の前に突きつけられるような衝撃がこの一冊にはあった。

    さて、自分の人生のボトルネックは何であったか。
    怖くて俺は前に進めない。

  • 後味悪い小説として紹介されることが多々あるがそこまで後味は悪く無いように感じる。しかし最後は考えさせられる終わり方。スラスラ読めて良かった。

  • いや〜よかった!
    主人公と生まれなかった姉サキとの違い
    「間違い探し」の冷酷さ
    彼女との差を見せつけられ続ける時間
    違いに気付くことすら彼女より劣る主人公
    どうしようもなさ

    それでもサキが嫌なやつじゃないし
    わたしは主人公だって好きだ
    暗い読後感になる人もいるかもしれないが
    不思議と気持ちよく読み終われた

  • 友達に勧められてる読んだ本。
    旅で訪れたことのある金沢の街の描写がたくさんあって、嬉しかった。
    先が気になり、どんどん読むスピードが上がったけど、結局結末をどのように解釈すれば良いのか自分の頭では考えきれなかった。
    自分なりの想像力が大事なのだねと感じた作品。

  • 主人公とサキの対照的な描写。主人公とノゾミの陰鬱な感じ。兄貴のいかにもな性格。

    最後のメールの一文は本当にイヤミスだなと思った。

  • 米澤穂信『ボトルネック』読了。
    面白かった。構成に無駄がなく、読ませる物語。爽やかな筆致に対してあまりに重い展開も印象的。青春の苦いところを煮詰めたような、読み手によってはほとんどホラーなほどに恐ろしく感じる作品。
    伝統的なパラレルワールドモノの特徴はしっかりとあって、「たられば」の世界で比較をして、その中で物語が展開していく様子は親しみ深い。しかし、それが馴染みのある展開に落ちずに、考えうる最悪の方向に進んでいくのが揺さぶられる。
    いろいろな解釈ができる物語で考えさせられるが、いくら考えても、僕の中には心地よい影が渦巻くだけだ。

  • 「配られたカードで勝負するしかない。」 byスヌーピーを思い出しました。

  • 2019/8/6 Amazonより405円でDL購入。
    2021/10/4〜10/6

    東尋坊へ、亡くなった恋人の弔いに来た嵯峨野リョウ。意識を失って目が覚めると、そこは、自分が存在しないはずのパラレルワールドであった。そこで、自分の世界では生まれなかったはずの姉サキと出会い、新しい世界と元の世界の間違い探しを始める。そこで気づいた真実とは?
    なかなか面白い設定であったが、最後の締め方がちょっと分かりづらかった。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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