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感想・レビュー・書評
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嬉しい時はうれぱみん、悲しい時はかなぱみん、苦しい時はくるぱみんという脳内伝達物質が生成されるんだって。
平松洋子さんの「野蛮な読書」で出てきた本で、ずっとほしい物リストに入れていた一冊。
読み始めてみると、勝手になんとなく思っていたような物語では全然なくて、ヘヴンでもなんでもない、むしろ陰湿な地獄絵図が連綿と続く、あまりにも凄惨な学校生活の描写。
さすがのワタシも気持ちが暗くなってしまった。
ラストで激しい雨の公園で裸のコジマが笑う声が、あまりにも哀しくて、どうしようもないくらいやるせない気持ちになる。
善悪とか強弱とかいう価値観を根底から覆しにかかるという評判はさもありなん。
倫理てなんだろう、と百瀬の語る言葉を読みながら思うわけです。
なんというか、パワーのある小説だよなぁ、と。 -
乳と卵を以前読んで、好きな作家さんだと思い読んでみた。
いじめのシーンは思わず飛ばし読みしてしまう程、痛い痛しかった。
乳と卵とはまた違った作風で、この作家さんは色んな面をうまく使いこなせる方だと思った。
それにしても、痛い痛いしい場面を、隠さずそのままストレートに描ききる度胸のようなものには、たじろいでしまった。
何かとてもふつふつとした揺るぎない感情を持ってきたタイプの作家さんだと思う。 -
苦しい。
小説の中は自由だから、なるべく誰も傷付かなかったり、少しくらい傷付いたとしても、その先にもっとステキなことがあってほしい。
そういうわけで、低めの評価。
川上さんの作品は、大好きだけど、なんでこの作品を書こうと思ったのか。
きっと書いてて苦しくなっただろうに。
コジマの登場で光は差す。
ラストもほんの少しだけ光が見える。
だけど、どんなにたくさん光が注いでも傷付いた心は決して元には戻らないし、あの時たくさん苦労して良かったなんて、ならないと思う。綺麗事にも程があると思う。
くしゃくしゃになった紙は、どんなに元に戻そうと思ってもピンとした元の紙には戻らない。
残るのは、世の中に対する憎悪と歪んだ気持ち、不信感。
わかってんのかな、と思っちゃう。
私が未熟なのかもしれない。
そうでないかもしれない。
でも今は、読んでそう思った。
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主人公たちが受けるいじめの描写がかなり凄惨で、加害者への怒りが湧いてきます。
途中、いくつか伏線?とも思われる内容が出てくるのですが、わりと回答されないまま、謎を残したまま終わる展開が珍しいと思いました。
最後、加害者への報い方が良くある展開ではなく、この作者ならではの斬新さを感じました。
大人になると、子供の頃は楽しかったな、とか子供の頃に戻りたい。とか思うこともあるけど、子供には子供なりの残酷な世界があったことを、本作を読んで思い出しました。 -
読み終えたいま呆然としている。圧倒的な文学の力。僕なんかが感想を書けるものではない。とにかく読んでいるあいだ、辛く苦しくそれでいてページをめくる手が止まらなかった。自分がちゃんと読めたのかどうかも分からない。「僕」にはラストで光明が見えたのだと思う(たぶん)が、「コジマ」のその後は……。 川上未映子すごいわ。としか今は言えない。
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徹底的にシンプルなのに、読む者のリズムを知り尽くした文章と言葉選び、表現力に脱帽。
淡々とした表現と空気感の中に、著者の川上さんの心の温かみが確実に伝わってきて。
いじめのシーンではフィクションと分かっていても、腹が立つ腹が立つ。
イジメのシーン、コジマの耐えながらなぜ自分はそうするのか、何が正しいのかの言い分、僕の家庭環境、何もかも読んでいて辛すぎたけれど、読む側にめちゃくちゃ考えさせてくる(しかも多角的に!)。
さすがです。
自分とは何か、どう生きていくかの前にはどう生きてきたかがあり、何を想い行動するのが正しいと思っているのか。
相手の立場になって考えよう、というスローガンは果たして機能してゆけるものなのか。
人の数だけ物の見方はある。 -
私を私たらしめているものはなにか。差別やいじめの対象となりうるものが実は、アイデンティティのよりどころになっているということは多い。例えば、身体障害、人種、出自、性別、年齢…。もし、それを取り除くことができても、あなたはあなたか?最後に残るものはなんだ。
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なかなかエグい内容だったので聞きながらウワァって顔をしかめちゃったりもしたけどそこまでの描写ってすごいなぁ。かなりリアル何だと思う。中学生っていうのは狭い中学生だけの世界で生きているんだなぁという感想もあった。