- Amazon.co.jp ・電子書籍 (125ページ)
感想・レビュー・書評
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JOKERとあいちトリエンナーレの騒動を体験したあとに読んだのは象徴的だった。
“芸術というのは、人間の最も醜いもの、最も虚しいもの、最も悲しいもの、そういったマイナスのものをプラスに変換する行為”
映画や読書の感想で「刺さった」という表現がある。なにかが刺されば痛みを伴う。ひとは痛みを嫌悪する。科学的には痛みは身体的に危険な状況のウォーニング。嫌悪すべき痛みは「知恵」をもたらす。そう考えれば、「芸術」とは心地よくさせるデパートのショーケースではなく、「ひとを痛みで進歩させるもの」と言える。
JOKERをハリウッドテンプレで作ればサイコ・スリラーになったろう。あの映画はぼくにとって抜けない刺でありおそらく一生ついて回る問いになった。
その問いを言葉で説明しようとするとどれも上滑りで置いた言葉になってしまう。この問いはシェアする内容ではなく自分ひとりが孤独に抱え込む闇だ。それは自分の大きな荷物かと思っていたけど、本書を読んで孤独に問えることって幸せなことなのかもと思った。
テレビでも映画でも政治の世界でも「断言する人間」って苦手だ。彼彼女らが断言するのは相手に考えさせたくないから。相手の考える時間を空虚な言葉で埋めて消し去りたいから。
孤独とは自分に問える時間があること。そして同時にその結果に自分で責任を取ることと言える。
おそらく現代のコミュニケーションに欠けているのは共感力ではなく、孤独感、言い換えれば距離感なのかもしれない。自ら完結せずしてひとの事を思いやることは出来ない。
本の感想とは違うかたちになったけど、自分の考え方の一助になった内容だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
孤独は悪いといった価値観がリアルやテレビやネットで当たり前の価値観として浸透している。しかし、孤独の時間があるから想像できるし、思考も整理される。だから孤独の時間は決して無駄ではないし、人間にとって必ず必要。孤独を悪いと思い込む方がよっぽど良くない。自分は1人の時間で読書をしたり思考する時間が好きである。この時間があるからこそ知識が増えるし、自分の中で大事にしたいことに気づけたりする。孤独は悪いものでないし、これからも世間の価値観に流されずに自分はどうなのか?考えれる人でありたい。
◎ページ
59.60.63.64.65.66.75.78.80.86.106.108 -
生きる上で「孤独」という感覚は避けられないもの、心の底に多かれ少なかれ、ずっと維持されるイメージでいた。人は所詮1人、というか、わかり合うということの幻想というか。
それよりも、この本では振り子のような形で孤独の有無を表現していて、その点が意外だった。
あまり重厚な内容ではないが、数時間でさらっと読めて良かった。 -
孤独を恐れて自分を見失ってはいけないということですね。小さい頃は人に合わせる、人と競うということを徹底的にやらされるので、そこから外れた人間は孤独を感じるのでしょうけど、実際はそれは孤独ではない。
そう考えると、最近のメンタルとか引きこもりとか自殺の問題って、幼少時の教育の問題のような気がしてきました。もっと自由に人と触れ合って、自分に素直な子供を育てなければいけないということですね。 -
孤独、寂しさ、自由