方法序説 (岩波文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 3周読んだ。

    哲学入門としてだけではなく、生きる上でこの本はもはや登竜門ともなるレベル。20歳すぎたら一回は読んでないとヤバい、と感じるほどの哲学書。
    自己の思考を振り返り、謙虚に生きるべきこと、筋道を立て、秩序立てて物事に向き合う思考法を身に付けたい人が読む本。

    薄いので何度でも読める。何度読んでも飽きない。
    生きる中での理性や知性の歯車を自分の中に増やしたい人にオススメ。歯車が増えると人生の回る速度も変化する、つまりは20歳すぎたら読むしかない。

  • 何と言うかまだるっこしく感じた。遠まわしな言い方が散見されるのは、筆禍のある時代から言って、仕方が無い面があるとはいえ、何が言いたいのかわかりにくいところもある。全体的に冗漫で、基本的に読みやすい。薄いしあっという間に読める。西洋の文章の特徴はだらだら長くて委細を尽くすところにある。人間機械論とか心身二元論とかが確かに読み取れる。動物は機械と変わらないと見做し、人間にのみ精神、理性、言語能力があるとする。人間も精神=理性がなければただの機械と変わらないという考え。学問を数学に基礎付ける考えなどもあり、確かに近代科学と近代思想の濫觴となる思想家なのだとわかった。有名な「我思う故に我在り」の部分は一番つまらないところだった。形而上学的基礎がどうした。神の存在証明がなんだ。どうでもいいよ。第1部から第2部はすらすら読めるし、一番おもしろいところだった。特に第2部の4つの考え方の規則は現在にあってもなお思考するに当たって、強力な有効性を持っている。あと心臓の話は……「お前は何を言っているんだ?」という感じだ。

  • O君におすすめの本を効いたら「デカルトの方法序説」だという話が出て、触発されて読んでみた。

    めちゃめちゃ面白い!歴史的名著が色褪せないのは本当にまさにこのことだと思う。
    デカルトって「我思う、ゆえに我あり」の人でしょ?というくらいの知識しかなかったけど
    これを読んで認識が深まった気がする。
    (全然思っていたのと違っていた。そして色褪せていない。)

    デカルト自身も自身の原著ではなく二次創作を読んでわかった気になるなよって言ってたし、
    まさにその通り、なるべく一次情報、自分で考えたことをもとに行動していくべきだと再認識した。

    ワクワクするすごいいい本だった。

    # 心に残ったポイント、感想
    <論理の進め方4ポイント>
    1. 自分が真に自明だと考えることのみから出発すること。それ以外のことは全て疑うこと
    2. 困難な難問はなるべく小さい問題に分割さること
    3. 順序に従って解くこと。簡単な問題から進めて徐々に複雑なものの認識へ進んでいくこと
    4. 最後に全体を見直し、誤りがないか確認すること

    <幸福に生きるための 4つの格率>
    1. 法律と慣習に従うこと
    2. 自分の小王道において、できる限り確固として花壇っであり、一度決めたことは一貫して従うこと
    3. 運命より、自分に打ち克つように、世界の秩序よりも自分の欲望を変えるように務めること
    4. 世界の様々な仕事を観て、最善のものを選ぼうとすること => デカルトの場合は哲学の探求だった。

    - 知性的本質は、物体的本質と分離されること
    - 「我思う、ゆえに我あり」:自分が考えているということ自体は否定することができない。だから自分が存在するということがわかる。
    - 我思うゆえに我ありから、そこから「神の実在性」まで論を展開してる
    - デカルトでさえも、機械が人間のように考えることはできないと認識していた。(最近できるようになってきてるよ)
    - 結局自分で考えたことが最も深く理解していること、そのあとは作者の原著(作者の理解には及ばない)、二次創作などはかなり情報量が落ちてしまっているし身にならない

  • 全てが偽であると仮定しても、そう考えている自分はここに存在する。逆に、自分が考えることを辞めれば、他の全てのものが真であっても自分が存在するとは言いきれない。
    したがって、私は魂(理性)として実在しており、肉体とは区別される。というのが私の理解です。

  • ■なぜ読んだか?
    一度は読んでみたい名著。ロジカルシンキングのベースとなったということで。
    ■面白かったところ
    ・この世の全てをダイナマイトで爆破したときに、唯一残るのが確かなもの的な考えはなかなかイケてる。そのあと、明らかに矛盾する心身二元論を唱えるのは微妙
    ・明晰でロジカルな文章かと思ったが、建築物を例えに複数人で思考するより一人で考えたほうが良いと主張するなど、意外と情緒的。完全な根拠がわかるまでは当座この倫理原則に従うとか、「良識はこの世でもっとも公平に分配されているものである」と言いつつ、自分の間違いの可能性に言及したりと意外と謙虚
    ・私が不完全だと認識できるのは、完璧=神を想定しないといけないとして、神の存在を想定するなどは、詭弁だけど説得力がある。全て相対的にものを認識しているという側面は確かにある
    ■その他学んだこと
    ・確実なものをベースに、推理していく近代科学や哲学の考え方が生れていく。エポックメイキングな著作。

  • 自分の周りにある事柄について、とにかく一度考えてみよ、ということかね。1度の読解では、理解しきることは難しかった。

  • 全ての人が真理を見出すための方法を6部に分けて論じている。内容が難解なので、頭の体操的に読んでいる。

  • Descartesは近代哲学の父と言われている。
    数学でもDescartes座標定義した人間としても良く知られている。そして、高校の倫理や哲学の授業では「われ思う、ゆえにわれあり」という名言を残した人間としてもなじみがある。

    しかし、その「われ思う、ゆえにわれあり」という言葉の本質を理解している人は多くないのではないだろうか。

    本来Descartesは自然哲学者であり、彼そして哲学の本質的かつ最終的な目的は真理に到達することである。
    論理はギリシア時代に確立した三段論法を基礎としている。これは理性的であり正しく、これを演繹的に理論を構築していくことで真理に到達することができるはずである。
    しかし問題は、どこに推論の出発点、つまり原理・本質を置くかということである。
    (数学でいうと公理系にどれを選択するか、ということに等しい)

    「1+1=2」という数学的な記述であろうか、はたまた「愛は永遠」という詩的な叙述にした方がよいのか。
    この最初のステップは多くの哲学者を悩まし、そして多くの原理が提案されてきた。

    Descartesは、この最初の推論を選ぶにあたり採用したアプローチは、「あえて一切を疑うこと。全てを疑って疑いつくすこと」という方法的懐疑と呼ばれる方法である。

    以下、本文の引用:
    感覚は疑わしい。感覚は欺くことがあるからだ。したがって自分の外側にある対象が存在するかどうかには疑いの余地が残るので、確実な出発点とすることはできない。

    では自分の内側の思考はどうか。幾何学の証明は、間違いを犯しうるので疑わしい。夢もまた疑わしい。なぜなら夢は幻想だから。

    こう考えてゆくと、何ひとつ確実なことは残らないように見える。しかし、まさにそのように疑っている自分が存在すること、これを否定することは絶対にできない。

    したがってこれは、誰もが受け入れられる、かつ受け入れざるをえない哲学の出発点とすることができるはずだ。
    (引用終わり)

    これこそが、「われ思う、ゆえにわれあり」である。
    こうしてたどり着いた原理は、誰もが認めざるをえず、かつ哲学の出発点としてふさわしい。
    Descartesの最大の業績である。


    しかし、「幾何学の証明は、間違いを犯しうるので疑わしい」との一文はDescartes座標の導入者としていかがなものか笑
    そして、なぜ幾何学の証明は「間違いを犯しうるのか」よく説明されていない。
    公理系を任意に選択して、演繹的な推論によって導かれる命題は正しいと思われるのだが。
    Descartesの生きていた時代は、数学も現代のように洗練されていなかったために、その適用性に限界を感じていたのかもしれない。それを含めても偉大な名著にふさわしい一冊である。

  • 結構短い。難しい話はあまりしておらず、デカルトの言葉で、当たり前にも思えるようなことを整理して説明してくれている。哲学の本ではなく、自己啓発本みたいな、励ましの書に思えた。

  • 先に「省察」を読み、次に本書を
    読んだ感想。「省察」をビギナー
    向けに読みやすく簡略化した内容。

    本書だけでデカルト思想の全容を
    理解するというのは難しいかも
    しれないが、入門としては良書。

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著者プロフィール

デカルト

Rene Descartes 一五九六―一六五〇年。フランスの哲学者、数学者。数学的明証性を学問的認識の模範と考え、あらゆる不合理を批判検討する立場を確立した。そのことによってしばしば近代哲学の父といわれる。一六三七年公刊の『方法序説』は思想の領域における「人権宣言」とも称される。長くオランダに隠れ住んだが、終焉の地はスウェーデンであった。

「2019年 『方法序説・情念論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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