切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人 「刑事犬養隼人」シリーズ (角川文庫) [Kindle]
- KADOKAWA (2014年12月25日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (324ページ)
感想・レビュー・書評
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2023.03.19
気持ち的には⭐︎もうひとつつけたい。
どんどん読み進めたくなったので。 -
犬養刑事シリーズの第1作。
他シリーズでお馴染みの古手川刑事や光崎教授なども登場し、中山七里ワールドが展開されるのが楽しい。犬養を育てた(?)毒島は残念ながら出てこない。
本作は臓器移植の問題を取り上げており、その賛否論も興味深いが、早くiPS細胞による移植が実用化されないかな~と思いながら読んでいた。 -
臓器をすべてくり抜かれた若い女性の死体が発見されテレビ局にジャックと名乗る犯人から犯行声明文が送りつけられる。
1888年に起きた切り裂きジャック事件の模倣かと思いきや、事件の様相は思わぬ方向へ…。
さらに終盤に事件が解決するかと思っていたら、どんでん返しもあって面白かった。
犬養刑事のシリーズは初めて読んだけれど、他の作品も読んでみたいです。 -
久々に小説読んだけど最後まであっという間に読み終えた!面白かった
全く犯人が分からず、世界観に引き込まれすぎてラストらへんのシーンでは心臓バクバクしてた笑
臓器移植についてちゃんと考えたことなかったがもし自分がその立場になったらとか色々考えさせられた。 -
東京都内の公園で臓器をすべてくり抜かれた若い女性の死体が発見された。
やがてテレビ局に〝ジャック〟と名乗る犯人から声明文が送りつけられる。
その直後、今度は川越で会社帰りのOLが同じ手口で殺害された。
被害者2人に接点は見当たらない。怨恨か、無差別殺人か。
捜査一課のエース犬養刑事が捜査を進めると、被害者の共通点としてある人物の名前が浮上した。
ジャックと警察の息もつかせぬ熾烈な攻防がはじまる。
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臓器をすべて取り出すとなると、胸から下腹部に1本メスを入れると思ってた。
でもこの本を読んで、それはI字切開法であって、一番効率のいい切開方法は、左右の鎖骨あたりから胸へ、その後、胸から下腹部にメスを入れるY字切開法であることを知った。
まぁ、そんなことを知っても、今後、自分が手術を執刀する側になることはないから、別にいいねんけど、知らないことを知れた。
この本は、犯人を捕まえる以前に、脳死、移植手術、ドナー、レシピエントについて書かれていて、自分の知らないことだらけ満載やった。
でも、最後はやっぱり小説であって、本当の犯人が現れた時の、男女の思い込みの違いが切なかった。 -
大好きな中山七里さんを読もう。
今度は
刑事犬養隼人シリーズを読んでいこうと決意(笑)。
大どんでん返しは無いが、
そう来たかと。
臓器移植というテーマを
切り裂きジャック事件になぞり、
今に生きる我々にも警笛を鳴らす。
この様な社会的テーマを周知し、
作品化に挑むのは中山さんならでは。 -
マラソンをしていたオトコが、深川署前の近くの公園で女性の死体を発見する。その惨殺死体は、まるごと内臓が抜き取られていた。鮮やかな手口。猟奇事件という単純なものではない。死亡推定時刻は直腸内の温度を測定して算出するのだが、直腸自体が存在しない。角膜の乾燥具合から心臓の停止時間を割り出した。
捜査1課の刑事犬養隼人は、二度離婚している。最初の結婚の時に生まれた子、沙耶香は13歳で重い腎臓病にかかっていて、助かる道は腎臓移植しかなかった。
切り裂きジャックは、19世紀のイギリスで起こった猟奇事件。娼婦ばかりを連続的に惨殺した。内臓を抉り出す手口だった。この殺人事件は未解決のままであり、嘘の情報も多く都市伝説を生み出した。そして、そのジャックを名乗るものから犯行声明がテレビ局に送られる。そして、第二の殺人が。二人の殺人の手口は同じ。犬養刑事は、埼玉県警の古手川刑事とコンビを組む。犬養は、オトコの犯人の検挙率が高い。犬養は「男の嘘はすぐわかる。眼球の動き、ちょっとした仕草、声の強弱、作話症でない限りは大抵の嘘は面に出る。しかし女は、騙される」という。古手川も、連戦練磨の強者で勘もいい。
計画的犯罪であり、劇場型殺人。犯人のプロファイルが、かなり一般的なことしか出て来ない。
犬養と古手川は、二人の被害者の共通点を見出す。それは、同じドナーから臓器移植したことだった。ふーむ。ここからの展開が、実に中山七里らしい。
つまり、脳死判定は、臓器移植推進派の利権がらみだという。高額医療、抑制剤などが関与する。そして日本人の感覚で言えば、体温が温かくまだ心臓が動いている状態なのに、なぜ臓器移植するのか?という医療判断と人間の生の価値判断の食い違いをついてくる。脳死臨調の調査でも、医師の賛成は80%にたいし、法律家は50%にとどまっている。臓器移植法が十分な論議がされず、国会で通ったことへの反感をうまく、切り裂きジャックはついてくる。世論も、臓器移植は、本当にいいのか?という論議が始まる。そして、臓器移植を受けた人たちが切り裂きジャックを怖がることに。
被害者の共通点がわかることで、事件を担当している現場経験が少ないエリートの鶴崎管理官は、テレビで切り裂きジャックに挑戦状を叩きつける。「ジャック。お前の狙いは何だ。お前の欲しいものはなんだ。もう二度とお前に犯行を起こさせない。すぐ首に縄をかけてやる」と呼びかけるのだ。そのことで、第三人目の被害者が出る。エリートの出世狙いのスタンドプレー。
そして、第四人目は、やっと確定して警察は保護するのであるが、切り裂きジャックとしての犯人は?意外な人物が犯人として捕まえられるが、さらに真犯人は違った。犯人探しよりも、臓器移植の是非を問う論議がためになった。