ソープランドでボーイをしていました [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  震災で全ての仕事をなくし、仕方なく入った仕事が”ソープランドのボーイ”。著者が入社から退職までの日々を書き連なったのが本書である。”辛そう”くらいしかイメージのないこの仕事、実際かなりきつそうだ。上下関係の厳しさ、慢性的な人手不足での肉体的な負担、膨大な覚えることの量。夜逃げするスタッフも多い中、満足に休みも取れず、”訳ありでも採用”以外よいことがほぼない中、著者は軽いタッチで淡々と描き進めていく。まー、本当はかなり精神的にも追い込まれる仕事だったんだろう。

     スタッフ間のやり取り、日頃の仕事内容、ソープ嬢への世話、いろいろなエピソードが書かれているが、その内容、そして苦悩は実は他の業界でもありがちなことだった。いろいろあった中、退職に至るが、あっさりと入社が決まったのと同様、退職も特にトラブルなくあっさり了承される。

     人生、その気になればいつでもやり直せる。きれいごとではなくそのことを教えてくれる本書である。

  • 人にはいろんな人生模様があって、不意に方向性が変わることもある。
    この著者の方も東日本大震災を契機に、東京でソープランドに勤務した方。内容は興味深いと同時に、どの職場でもある同僚同士のイザコザも触れられている。
    読後感も何だか良かったね!

  • ノンフィクションなので、驚きもあり、楽しく一気に読めました。
    ボーイの方も「訳あり」であること。仕事内容や労働環境は、かなりきつく、一般企業でいえばかなりブラックな働き方と思いましたが、人手不足やそれなりの収入を保つためには、このような働き方になると思いました。
    訳ありで、お金が必要な方には、一種のセーフティーネットかと思いました。

  • 勘違いと不幸になった中年が出稼ぎでソープランドのボーイをする話。
    誇張もなくリアルに書かれている。
    それ故にドラマ的なこともなく、ハードな仕事内容の紹介が多い。
    最後、自己破産したとかの記述はいらないかも、反感をもつ人もいるだろうし。

  • kindleで安売りしてたので。文章が平易で、かつ、なかなか見られない世界の描写なので興味津々であっという間に読了。何かを得るという感覚は少ないが、エンタメとしては充分に楽しめる。

  • あまり馴染みのない世界のお話。たとえ馴染みがあったとしても、その裏方を知ることは余りない。その意味でほぼノンフィクションの本書は興味深い。

    東日本大震災で職を失った著者(50才)は、妻子を養うため、吉原にボーイとして、住み込みで働くことになる。もちろ 妻子には内緒だ。職場の上司には元暴走族や背中に彫り物ある方がいるなど、訳ありな人ばかりだ。その中で、高齢ながら一生懸命働く様子が描かれている。

    本書を読む前、私はソープ業界の劣悪な環境ばかり書かれているのかと思っていた。華やかな世界の裏は実はドロドロな世界だといったように。しかしそうでなかった。先輩に怒られる、1階から3階を上り下りするから足がつる、保健所検査に向けての準備をした、などなど、あくまでボーイの仕事・人間関係が書かれていた。知らない世界なだけに「そうなんだ」と初めて知ることも多々あり。

    本書はそこまでボリュームもなく、非常に読みやすい。私は2時間程で読み終わった。ほぼノンフィクションと謳っているだけに、なかなか面白かった。

  • 面白い。
    そりゃこんな感じなのかなと想像していたけれど、思った以上に過酷。他の所だとまた違う環境なんだろか。
    良い人がいればクズな人もいる。そういう意味ではどこも変わらないなー。
    「はい、かしこまりました!」は印象的。
    面白かったので、もう少しボリュームがあると嬉しかったなー。

  •  kindleのセール品を見ていたときに、タイトルから妙に惹かれました。内容紹介の文を読んでみると、主人公は50歳、妻と子を持ち、未経験の世界に飛び込んだとのことで、どんな背景がありそんなことになったのか、風俗業界とはどんな世界なのか、様々なことが気になり読んでみました。勝手なイメージながら、そういった仕事についている方というのは過去に様々な問題を抱えていたことがあり、そこでしか生きていくことができない人というイメージを持っていました。しかしこの本を読んでいるともしかしたら誰にでも起こりうることなんじゃないかとリアルな現実を感じました。しかも私も妻と子を持つ身なので、家族を支える為ならば仕事を選べない状況というのは、想像の中ではあるが十分にありえることであると思います。50歳にして一から仕事を学ぶというのは並大抵の苦労ではないと思いますが、この仕事の過酷さも端々から伝わってきて、読み応えのある内容でした。
     ただその中でも様々な感情で揺れ動く著者の人間味には魅力を感じ、さらに周りのどうしようもない先輩に苦しめられている中、著者を助けてくれる先輩の存在には、厳しい日々の中にわずかに暖かさも感じることができました。真面目にコツコツと仕事をしている著者のことを見ていて応援してくれる人がいたことも救いでした。私自身も人間関係が不器用でコツコツ仕事をしていくことしかできない性格のため、共感できることも多くありました。
     私は果たして同じ状況になったときにどういった行動を取るだろうか?その前にやはりそうはならない為に(震災はどうしようもないが)、自分に不釣合いなことには手を出しすぎず日々を丁寧に生きることかな?仕事をして家族を支えるということについて、色々と考えさせられる本でした。あ、ソープランドの裏側について知ることができたのも面白かったです。

  • 本屋で見かけて、読んでみたいと思って、欲しいものリストに入れっぱなしになっていたのだが、GWセールで安くなっていたので購入。

    風俗店の裏側って、やっぱり結構気になるよね、男としては。

    感想としては、思ったよりも健全なんだな、ってこと。もちろんオープンに出来る、出来ない、という話はあるものの、勤務内容としては取り立ててブラックなわけではない(と思う)し、明らかなヤクザが仕切ってるわけでもない。

    まあ、ヤクザが仕切ってる、ってのも旧時代の発想なのかもしれないけど。脱サラでデリヘル始める人もいるわけだし。

    もちろん、著者の働いていたのが吉原の高級店だってのもあるのかもしれないけど。一般的な総額で3万くらいで収まるような店と、本書の総額8万の店とは扱いも対応も全く違うだろうしね。

    思ったほどひどくない、とは言え、2DKに4人で暮らす生活、下っ端は風呂も洗濯も何もかも最後、プライベートもモラルもクソもない世界、僕自身は耐えられないし、そういう生活をしていると「落ちた」という感覚は強いのだろうなぁ。

    AV嬢も風俗嬢も、どちらも不思議な存在ではある。お金に困って、というケースもあるだろうけど、興味本位で、という話も増えていると聞く。AVなんかは特にそうか。そういうところで働く人は、少し独特なところがあるのかもしれない、と思った。

    前に読んだ貧困に関する本で「風俗店が女性にとってのセーフティーネットになっている」という記述があった。政府が行うセーフティーネットが機能していないが故の現象である、と。男性にとってはこういうお店で働くことが、セーフティーネットの一種なのかもしれない。

    風俗、特にソープに行ったことのある男性なら、一度は読んでみて損はしないんじゃないだろうか。

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