ディアスポラ [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • 今まで生きてきて出会った中で、もっとも素晴らしい小説。
    いまだこの本を越えるほどの、私の中の魂の一冊と呼べる本は存在しない。

    全ての常識を一度フラットにして、完全なる自由な世界において、人はなんのために生きるのか。
    存在の価値を究極まで追い求めたSF。

    SF小説における永遠の金字塔。

  • 第5長編▲肉体を捨て人格や記憶をソフトウェア化し、コンピュータ内の仮想現実都市ポリスで暮らす。ソフトウェアから生まれた孤児ヤチマの驚くべき冒険譚▼リソースに不足が無く、有り余る世界。ヤチマ誕生から結末までを描き、その間に「肉体人」「グレイズナー」「市民」など関係者の連作短編が挟まっている。生まれ方、生き方により規定なのか囚われなのか、価値ソフトの根本原理のようなものが表現され、それが人間性なのかもしれない。ヤチマは生まれ故に数学に帰結した?時間を除く五次元など理解できなかったが、驚くべき傑作(1997年)

  • ハードSFなので、うんちく設定を理解するのに時間がかかり、読了したものの?マーク多し。
    人類のほとんどが肉体を捨ててソフトウェア化しており、主人公のヤマチがソフトウェア人類として覚醒するところから始まる。
    ソフトウェア人類がロボットに転移して肉体人と交流したり、双子中性子星の衝突で地球に災厄が及ぶ際に肉体人を助けたり、ワープの実験をしたが不成功に終わったり、宇宙進出計画ディアスポラでソフトウェアも冬眠?して遠くに移民したり、他の星の住民が作ったであろう遺跡から4~5次元へ転移する暗号を解いたり、最後は1兆次元までソフトウェア人類として到達したり、 そもそもソフトウェアだからイザというときのためにコピーを残したり、コピーとオリジナルで別々の人生を送っても統合できたり、SF案件盛りすぎ!
    でも 理屈好きにはハードSFは面白い

  • SF作品の中でもひときわ尖った作品で、思わず理系の作家だよなということと、かなりすごいところまで行ってるなという感想。肉体から離れ、ポリスと呼ばれる仮想空間の中で生きている。人間、というよりも存在は、もはや理知的な概念でしかない、というところに依拠しているからこそソフトウェア化されてある種の効率的かつ完全美によって支配されている世界を描いている。ゾッとするが、それに対してソフトウェアから生まれるバグ、孤児と呼ばれるものたちがどうやって生きていくのか、そしてポリスという完成した概念社会をどのように飛び出していくのかという冒険をヤチマという孤児の視点から描いていく。デジタルだからこそ、主体を持たずに客観的に描いたからか、非常に読みにくいし、それがグッと入り込めない文体につながっているようにも思えるが、難解なのは原文もそうなんだろう。

  • 難解なSFの代表と言われる本作。まさにその通りと思います。以下、もともと理系で雑誌ニュートンやブルーバックスの類が大好き、大学は専門ではないものの基礎講座で量子力学や数学を履修していたステータスの人間の感想です。
    基本の筋は、人類のほとんどが肉体から脱しソフトウェアから生み出されるデジタルな存在となった未来を舞台に、主人公の発生から成長、冒険、そしてその最後までを描き切ったスペースオペラです。ストーリーはしっかりありますが、途中で理論的な話が長々と展開されることが数回あり(そのうち1回目は冒頭にある)、そこが難解とされている理由かと思います。それを脱線と言うのであれば、脱線部分は読み飛ばしてもらえれば、少し難しい言葉を使った面白いストーリーのSFとして普通に読めると思いますし、それでも十分本作の味わい深い芯の部分に触れられると思います。
    「脱線」部分については、自分自身は、フィクションの部分はここだろうな、と当てがつくレベルで、所々置いていかれることもありましたが、大枠はなんとかついて行きながら楽しめました。
    ストーリーは本当に壮大で、確かに難解な部分はありますが、ストーリーの筋を我慢強く追っていけばきっとセンスオブワンダーを得られるはずなので、ぜひ読んでみて欲しいです。僕自身は、ラストでたまにしか得られないレベルの深い感動を覚えました。

  • 読了。さまざまな数学の理論が、実在のものと架空のものが分け隔てなく出てきて、かつそれが小説そのものの主眼になっているという、とにかく難解だった。

  • 【ノート】
    ・hontoの早川書房セールで39%オフ。これはBookoff Onlineの中古価格より安いし、20%クーポンも使えたし、1,000円以上買うとエントリーされるキャンペーンもあったから。とは言え、もちろん、電子書籍で読んでもいいかも、と図書館からの本を読んでて思ったのが大前提。ハードSFなのでWebで調べられたら便利そうという期待もある。



    【目次】

  • でも、ぼくの夢をだめにしたものを、それが輝かしい啓示かなにかのようにうけいれられるとは思わないでくれ

  • 2015/8/7読了。
    書いてあることが半分もわからなくて、さすがに笑った。物語のスケールがあまりに壮大すぎて、これも笑った。わかる/わからないと、面白い/面白くないは別なんだな。
    イーガンでは『順列都市』で「仮想現実環境にコピーされたソフトウェア生物としての人間の意識」の描写を読んで衝撃を受けたものだが、今回の衝撃は「仮想現実環境に意識が発生する過程」の描写、すなわち冒頭のヤチマ誕生のくだり。実際の赤ん坊が自我を持った存在に成長していく様子を思い合わせると、なるほどあれを空想数学小説的に描くとこうなるか、と感じさせるところがあって面白かった。

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著者プロフィール

1961年、オーストラリア西海岸パース生まれ。SF作家。西オーストラリア大学で数学理学士号を取得。「祈りの海」でヒューゴー賞受賞。著書に、『宇宙消失』『順列都市』『万物理論』『ディアスポラ』他。「現役最高のSF作家」と評価されている。

「2016年 『TAP』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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