捏造の科学者 STAP細胞事件 (文春e-book) [Kindle]

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著者 : 須田桃子
  • 文藝春秋 (2014年12月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍

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捏造の科学者 STAP細胞事件 (文春e-book)の感想・レビュー・書評

  • 新聞記者さんなので、順序立てて分かりやすく書いている。

    しかし、関係ない外部の人である記者の人に、査読コメントとか、内部の人しか知らない情報やデータが流れる状況が怖い。
    全体的に客観的に述べているように見えるけど、“関係者”の感情を含んだ意見に左右されている印象。

    ここまであれこれ取材して記事を書いてきたのだから、これで終わりにせずに今後も継続して、このような研究に関する報道をしてほしい。
    だって結局何だったのか分からずじまいな訳だし、一過性の大騒ぎで済ませたら、ねぇ。無責任だと思う。


    一通り読んで、小保方さんの「あの日」は、この本に呼応してると強く感じた。

  • 報道が落ち着いた頃にしっかりまとまったノンフィクションでじっくり読みたいと思っていたけれど、期待通り。科学的なことも比較的わかりやすく書いてくれているし、だいぶいろいろなことが整理できた。アメリカの先生もかなりうさんくさいんだね。ただ、いったいなぜこんなことを?っていう不正の本当の理由はわからないけど。

  • STAP細胞事件に対する興味として以下の三つがあると思う。
    1.事件の発端、推移、顛末
    2.なぜ・何を捏造したのか
    3.STAP細胞の真偽

    本書は1の興味に答えるものだ。※1
    内容は著者である須田桃子記者の取材日記であり、事件の全体的な流れが分かる。また同時に論文著者や理研CDB幹部へのインタビューも掲載されていることから、実際に当人たちがどう考えていたのかが分かる内容となっている。

    上記から、本書の読むべき部分は取材箇所であるはずだが、その取材が十分に行われているとは思えないことが残念だ。取材対象・内容共に満足のいくものとは到底言えない。
    理研CDBの立場を実質的に決めていた理研本体への取材はなく、また当事者たちへのインタビューではあくまで一科学者として、個人としての意見を引き出すに留まっている。
    おそらく須田記者はSTAP現象と関連する人々を最後まで疑えなかったのではないか。彼女は国内トップレベルの科学者たちからも一目おかれる優秀な科学記者のようだが、インタビューの内容に切れがないことが一目で分かる。本書の全編から、著者たちや理研を信じたいがために本質的な質問をできない彼女の思いが痛々しいほど伝わってくるのである。
    そういった意味でも本書は彼女の取材日記なのだ。

    事件の渦中にありてんやわんやの状況に置かれながらも「須田さんなら」という理由で、当事者たちが取材を了承する場面がいくつか出てくる。
    彼女はそういった特別な立場であるからこそできることがあったのではないかと思う。
    記者の倫理として越えてはならない一線であるのかは私にはわからない。
    しかし、本書で公開された彼女の当事者たちへの取材は、当人たちに配慮しすぎたものだった。彼女が本当に聞くべきだったのは、科学者として個人としてどう考えるかではなく、社会人として正しい行動を取ってくれないかと言うことだったのだと思う。

    ※1
    2を知りたければウィリアム・ブロードの『背信の科学者たち』を、3を知りたければ『日経サイエンス 2015年3月号』を読むとよい。

  • STAP細胞騒動の経緯を記した毎日新聞記者によるルポ。一連の騒動については、毎日新聞NHK、日経サイエンスの3者が当初から積極的に取材をしていた。その毎日の記者だけに、本書もとても詳細かつ臨場感のあるものに仕上がっている。
    特筆すべきは、故笹井氏、若山氏、丹羽氏といった騒動の当事者たちのメールが収められていること。事態が現在進行形で進む中で、当事者と記者とが直接やりとりした内容の一部をそのまま読むことができる。そのとき彼らがどのように考えていたのかが、きわめて生々しく描き出される。科学記者として長年関与し学者たちと信頼関係を築いてきた著者だからこそできることだろう。
    また、理研の関係者への取材も手厚く行われているのもよかった。当初から理研の対応は非常識とも言えるような不手際があったが、その原因と思われるもののが見えてくる。理研は、不正の全容を解明することではなく、STAP細胞の有無を検証することに意識を注いだ。過去の論文を検証するという“後ろ向き”な行為ではなく、STAP細胞に関する研究を進めていくという“前向きな”選択することは、サイエンティストとしては自然な発想かもしれない。しかし、それは平時においてのみ通用する話でしかない。ひとたび不正の疑惑がおこったなら、それはサイエンスの問題からフォレンジックの問題へと移行する。にもかかわらず、理研はサイエンスの問題としてしか捉えることができなかった。ここに、生粋のサイエンティスト集団である理研であるだゆえの失敗があったと言えると思う。
    騒動の主人公である小保方氏に関しては、残念ながら公式に公開された情報以上のものはない。特にこれだけのスキャンダルを生んだ小保方氏が、どう考えどう感じどう行動したのか、それはぜひ知りたいところ。ゴシップ的な興味ではなく、これからの科学の教訓として、いつか小保方氏自ら騒動を総括することは必要だと思う。

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