出世の首 ヴァーチャル短篇集 (角川文庫) [Kindle]

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  • 「空想の起源と進化」から既に最高。デジャブを発端として先祖と現在の状況の同期から広義での発想の進化を表現する。一つのドラマの流れで2つの世界を交互に描写して見せる演出がまるでフェリーニ。筒井作品のこの手法大好物。簡潔見事。オチもいい。落ちない余韻というか。「出世の首」も同様な手法ながらも意図が違ってて面白い。「テレビ譫妄症」アイデアを形にする上手さが楽しい。展開というより文章の流れを楽しむ感じ。主人公の視点と客観的な妻の視点が交互に切り替わる部分、主人公がチャンネルを切り替えて場面が変わる流れは面白い。
    「雨乞い小町」歴史改変SFきた!星右京なる人物が出てきてワロタ。ドラえもんにありそうな設定ながら子供じゃわからないディテールを入れてて面白い。 「夜の政治と経済」これも面白い。予知夢の能力を逆手に取った展開とオチがシンプルながらも絶妙で読み応えある。「ジャップ鳥」秀逸ー!ストーリー展開自体が示唆的で面白いのにオチが二段構えで捻られてて素晴らしい。人種の性質をカテゴライズする問題性と客観的自虐の合せ技。
    「となり組文芸」「大いなる助走」のプロトタイプ的な同人ゴタゴタ物。ミニマムな世界の中だけでドタバタドラマを描いている。オチが「そこで終わるんかーい!」っつー、尻すぼみとも唐突とも違う、筒井康隆独特のエンディングが笑える。「桃太郎輪廻」ドアホウな傑作きたー!笑 童話がごちゃまぜにアレンジされてるのはよくあるネタだろうけど、この人間の性悪的な本性丸出しのエログロっぷりはさすが。『好き勝手やって行き着くとこまで行くと虚無になる』とか『人生の目的とは』とか短編「マイホーム」に通じる部分もありめちゃくちゃ面白かった!ラストで題名の意味が浮き出てくるのも素晴らしい笑。「馬は土曜に蒼ざめる」題名がちゃんと内容に生きている上何やらカッコいい。設定が突飛なのはさすがとは言えオチがまた素晴らしく、全くいやらしくないのは特権レベルだと思う。「傍観者」猫かな?と思ったらなるほどだった。 「廃塾令」パロディネタはさすが真骨頂だなと。小話みたいに毎回オチがついてるところにリズムが生まれてセンスある。 「団欒の危機」途中みんなノリノリでむしろ楽しそうじゃん成功じゃんとなってたら段々と本性丸出しな醜い雰囲気になっててさすが笑

  • アイロニカル、ブラックユーモアたっぷりな短編集。
    クスっと笑える作品が多く短編集なので飽きない。

  • これも全てが傑作。中でも「廃塾令」が作品が書かれた当時の数倍も子供の塾通いが激化している現代の視点から読むと、小説が正に現実化したようなもので面白い。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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