64(ロクヨン)(下) D県警シリーズ (文春文庫) [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
3.92
  • (26)
  • (47)
  • (27)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 282
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (388ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • D県警広報官が主役の警察小説。時効が1年に迫る少女誘拐殺人事件を軸に話しが進む。記者クラブとの軋轢、刑事部と警務部の対立等々、問題山積の中、己の真を見つめながら物語は展開する。

  • 昭和64年は7日間しかなかった。その時の事件だから64。クライマーズ・ハイは記者が主人公だったので、広報官目線もとても面白かった。警察内部の争い、広報官の仕事、テレビドラマとは違ってリアリティがあって、警察を見る目が変わる。ドラマや映画にもなっているのであ是非見てみたい。

  • 衝撃の展開に満足

  • なんども話の展開を予想しながら考えていたが、何度もいい意味で裏切られてきた。
    刑事と警務。

  • ある県警の部署間での争いの最中、14年前の未解決誘拐殺人を模倣した誘拐事件が発生した。
    部署間の争いの為に発動した自作自演誘拐なのかと疑ったがその事件の裏には未解決事件に人生を狂わされた人たちの執念があった。それに読みながら恐怖を感じつつも見事に散りばめられた伏線を回収していくとは感心した。
    友情、社会、夫婦、親子の問題が織り交ぜられた警察小説で読後は非常に満足。

  • Amazonオーディブルにて。面白かった。
    途中、刑事部と警務部/マスコミと警察広報官のイザコザやらメンツやらの話は中だるみしてしまったけど、終盤、うおー、そうきたか、みたいな展開に、読後感は満足。

  • D県警の元刑事であり、現在は警務部広報室に籍を置く主人公、三上。マスコミと刑事部の仲介をするのが広報室の仕事だが、古巣の刑事部からはマスコミの犬と罵られ、マスコミからは警察の隠蔽体質を突き上げられ、上巻は読者も三上と共にひたすらフラストレーションを溜め込む展開が続く。

    そして下巻は一気に事態が動く。

    正直、多すぎる情報量に少し面食らっていた。昭和最後の年に起こった未解決の少女誘拐殺人事件・通称「64」でのD県警の失態とその隠蔽、刑事部と警務部の鍔迫り合い、三上の愛娘の失踪、三上に遺恨を持つ同期の暗躍、加熱するマスコミの警察への攻撃……これ、全部オチをつけられるの?

    タイトルこそ64だが、64の真相は解き明かされることなく終わるのではないかとすら思っていた。だからこそ、終盤に犯人が姿を現し、それまで瑣末だと思っていたエピソードの一つひとつが実は伏線だったと知ったときの、視界の霧が一気に晴れたような爽快感!

    上巻ではひたすら悩み苦しむばかりだった三上も、下巻では広報官としての本分を尽くそうと奔走する。そしてその姿が三上の煮え切らない態度に不満を抱いていた部下や、敵対していたマスコミすらも動かす。

    14年もの間犯人を探し続けた少女の父親やD県警の隠蔽を公表しようとして追われた元刑事、心密かに犯人への執念を滾らせていた捜査一課長。それぞれが自分の信念を貫く姿は本当に格好良かった。

  • 2019.8.19
    大作だった。
    特に後半の盛り上がりはすごかった!
    この人の描く仕事人は本当に格好いいなぁ。
    雨宮さんの執念に胸が熱くなりました。

  • NHKの連続ドラマを観て、この作品世界のことをもっと知りたくて購入。最近としてはめずらしいハイペースで (Kindle上下巻にて) 読みました。

    自分としては『クライマーズ・ハイ』と同じ流れですね。『クライマーズ・ハイ』は映画を最初に観て連続ドラマのほうに軍配を上げ(逆か?、尾野真千子の出てるほう)、それから原作を読みました。

    で、『64』。テレビドラマでは「(良い意味で)カットされているところ」を補うことができ、ウルトラスーパーデラックスなノベライズを読んでいる感覚(失敬)。いや、横山長編では、「ここはドラマ化するときにカットしてもいいですよ」と行間に書かれている部分があるような気がする。ドラマの文法ではカットしても良い、また謎のままでも視聴者は納得できる部分ってものがある。

    そういう意味ではドラマが気に入ったらぜひ読んでもらいたい小説であるし、この原作を好きなかたにはドラマ版ではどうなったのかをぜひ観てもらいたい。特に、ドラマスタッフが映像作品として再構築するときに何を捨て何を新たに加えたのかという作業を再確認するのは楽しい。

    結末の処理はドラマのほうが好きでした<(__)>

    ドラマ版では、視聴者に見せる架空の地図づくりというのも大変な作業だったようです。NHKのスタッフブログにそれが書かれています。ただその割に、新聞記事の映される場面をストップモーションして確かめてみたら、同じ文章のリピートで埋めつくされていたのでちょっと幻滅(笑)。画竜点睛を欠くとはこのことだ……。

    というわけで、小説『64』は企業(組織)小説としても面白く、本質的に〇〇〇〇小説(それが何かを書くとそれ自体がネタばれになるのであえて伏せます)であり、まだこれから何度も読み返してみたくなる作品です。

  • 結末は驚きの収束だが娘はどうなったのか。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

横山秀夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×