海を感じる時 [DVD]

監督 : 安藤尋 
出演 : 市川由衣  池松壮亮 
  • キングレコード
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  • / ISBN・EAN: 4988003830670

感想・レビュー・書評

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  • 2014年 日本 120分
    監督:安藤尋
    原作:中沢けい『海を感じる時』
    出演:市川由衣/池松壮亮
    http://www.phantom-film.jp/library/site/umiokanjirutoki/

    高校の新聞部で出会った恵美子(市川由衣)と洋(池松壮亮)は、ある放課後、偶然二人きりになり、洋は恵美子にキスがしてみたいと言い出す。好きではないが、女性の体に興味があっただけという洋に、しかし恵美子は以前から想いを寄せており、二人は体だけの関係を続けることになるが…。

    原作は既読(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/4061963155)昭和53年(1978年)著者18才のデビュー作だったわけですが、正直、なぜこれを2014年になって映画化しようとなったのか、疑問でしかない。失礼な想像だけど、ぶっちゃけ女優としてあまりぱっとしなかった市川由衣を脱がせて話題作り、これで本格女優(脱いだら本格というのがそもそも意味不明だけど)として売り出そうという大前提が先にあり、そのため相応しい作品を探して、純文学なら安っぽくならないから良いだろうとチョイスされた感じしかしなかった。

    冒頭から、よくわからない動物園デートの帰り、狭いアパートで全裸の二人、ぼそぼそ喋るセリフはいくらボリュームあげても聞き取れず。平凡なアングルの退屈なベッドシーン、めまぐるしく入れ替わる、高校時代の回想と、社会人となり東京に出てきた洋を追いかけてきた恵美子の現在。

    学校でキスされた高校生の恵美子は、喫茶店に洋を呼び出し「キスされる前からずっと好きだった」ことを伝える。その場面で喫茶店に流れているBGMは、のちに石川ひとみもカバーした三木聖子「まちぶせ」おりしもサビで「好きだ~ったのよ、あなた、胸の奥でず~っと~♪」という歌詞。ベタすぎて失笑。なんだこの安っぽい演出。

    原作の細部までは覚えていないけれど、こんなに回想と現在が交互になるような展開ではなかったと思うし、映画のほうは、続編というわけではないが同じ設定の「水平線上にて」も一緒くたになっていたような気がする。とにかく序盤は、二人以外の人間がほぼ登場せず、常に狭い部屋でセックスしては、男に冷たくされ、それでもまたやりにくる女、の繰り返し。

    原作は正直、物語として面白いとか共感するとかじゃなくて、とにかく著者の感受性、繊細な表現力など、文学だからこそ成立する魅力があったと思う。あれを映像に移し替えるのは至難の業。たとえば、原作で最も私が鮮烈に感じた一節に、自分が妊娠したかも、と不安になっている恵美子がバスの中で生理になる場面がある。

    「スカートの中で、すっと小さな蛇が逃げだした。岩の割れ目から今を待っていたように、鋭く体をくねらせ、出てきた。(中略)小さな赤い蛇が水晶のような目で、静かに見つめている。」

    これは文章だからこそ成立する表現だと思う。映画は、この場面を、とてつもなく安っぽくしてしまっていた。洋につきまとい「子供ができたかも」「あなた、お父さんよ」「生みたい」「あなたに似た男の子がいい」と言いつのる恵美子に、洋は「(中絶のための)お金は出す」と冷たく言い放ち、二人は並んでバスに乗る。異変を感じた恵美子は制服のスカートの中に手をつっこみ、戻した手にはべっとりと赤い血。なんか、そういうことじゃないんだよなあ、と思ってしまう。

    原作だと、毒親感、母と娘の葛藤が強烈だったが、映画ではお母さんは40分過ぎたあたりでやっと出てくる。このお母さん(中村久美)の演技が上手すぎて、妙なことに、原作では大嫌いだったこのお母さんに、映画では私は同情してしまった。そりゃ娘があんな子に育ったら、説教もするよねっていう。おそらく原作では完全に恵美子の視点に同化して読んだけれど、映画は「見る」ことによって客観性が生まれてしまい、恵美子の気持ちで一緒に生きることができなくなってしまった。主観ではなく他人の目で恵美子を眺めて「バカな女の子だなあ」と軽蔑の目で見てしまった。

    雨に濡れた市川由衣は、高校生ではなく疲れた主婦にしか見えないし、母親に叱られても寝転がってボリボリとスナック菓子を食べ続ける姿に、なんてふてぶてしくて汚らしい女だろう、と、母親目線で腹を立ててしまう。

    お母さんだけでなく、タイトルにもなっている重要なモチーフである「海」も途中でとってつけたように登場してくる。恵美子が生まれ育った場所として、彼女の根底に常に海があるように最初から海の存在は強調するべきだったんじゃなかろうか。お母さんとの海のシーンは良かったけれど、全体的に母と娘のテーマが付けたし程度にされていたのは残念。

    最悪の改変として、洋の姉、という謎の映画オリキャラが登場してくる。その姉に恵美子の乳首の色について話した洋、姉は「乳首が黒いのは遊んでる証拠、あんたの他にも男がいるんじゃない」と言ったという、その話を恵美子にする洋、激怒する恵美子。後日、当の姉が恵美子に謝りに来る「私も昔言われてショックだったから」「遊びだと思ってたら洋が本気のようなので謝りにきたの」だそうだ。なんだこのエピソード。

    しかしこれをきっかけに、どうやら恵美子は洋に幻滅したらしい。急にゆきずりの男と寝てみたりして、しかも男はなぜか彼女の手を縛り目隠し。恵美子は誰もいない銭湯で全裸でお湯を浴び続ける。さんざんいろんなベッドシーンがあったのに、まだ脱がせたいのか。こうまでして女優の裸を映し続けなくてはならないのか?

    後日洋と食事している恵美子、急に「あたち、ご飯なんて食べたくないでちゅ」と赤ちゃん言葉で話しだし、さらに別の男と寝たことをわざわざ洋に言う。嫉妬させる作戦?案の定洋は、最初は好きじゃなくて体目当てだったけど今は本気だなどと嫉妬まるだしで彼女に暴力をふるい、四つん這いにさせて後ろから○○○。

    なんかもうねえ、時代設定こそ原作に忠実に昭和にしてあるけど、文学的言葉遣いは映画では浮きまくってるし、「すじがき」だけを追うと安っぽい少女マンガと一緒なんですよ。スマホに出てくるバナー広告みたいなやつ。現代に置き換えたら、ツンデレ彼氏に体を貢ぎ続ける女の子の過激めの恋愛マンガにしかならないわけで。彼女が他の男と寝たと聞かされて、ようやくツンデレ男も「俺もお前のことを好きになっちゃったんだよ!」と叫ぶ。なんだこの安っぽい展開。

    ラストは下着姿で晴れた海に立つ恵美子。これで「海を感じ」てることを表現してるんだ、へー。最初に書いたように、女優さんを脱がせて箔をつけるために作られた映画としか思えず、しかし結果的に市川由衣はこの映画のあと特に演技派としてブレイクすることもなかったので(失礼)つまり脱ぎ損、というわけです。今はご結婚されて幸せそうだし、こんな映画はもはや黒歴史だろうなあ…。

  • 昔の作品かと思ったら、以外と最近の映画だった。
    ストーリーは、最後まで見てもよくわからなかった…

    後で調べたら原作は古くて、10代の女の子が書いたものらしい。
    それにしては生々しい内容だな。

  • すいません、市川由衣が5点でした(笑)

  • 雰囲気は良かった。

  • 池松壮亮の冷たいところと池松壮亮が怒るところだけなら星5つなんですが、そもそも池松壮亮見たさに見たので現場からは以上です。

  • 作中で使われている小物、例えば炊飯ジャーの形状、朝日ジャーナルを読む高校生。電気ポットが見当たらず、フローリングのないアパートなど、70年代前半の世相を背景に持っている作であることを見て取ることは困難ではない。◇そういう時代背景の中で、一種のストーカー体質に彩られる女の狂気と、それを受け止める度量のない男の身勝手さ、気持ち悪いほどの倫理性を押し付けんとする母親の(21世紀日本から見ると)歪な様に、当時の時代における革新さと昭和の古層とも言うべき心性を抉り出している。◇そういう意味では、ヤンキー的なコギャル風の市川由衣嬢が、昭和的倫理感から醒めた逸脱を図らんとする主人公に相応しいかどうかは、なかなか難しい問いになりそう。頑張ってはいたけどね。

  • 市川由衣が折角脱いでいるのに内容が薄っぺらいまま終わってしまった

  • 市川由衣かわいいね
    スタイルいいね
    がんばったね

    最低な男とつまらない恋をしてしまったね

    でも気付いたから
    これからは賢く生きていくのでしょう

    男はいつ気付くのか?
    気付かないのもある意味幸せ

    つまらん男は顔良くてもだめ

  • 話題作何でしょうか。市川由衣が脱ぎました。由衣ちゃんの裸が見たいが為に借りましたが、ただそれだけの映画でした。

    この子を初めて見たのは彼女が高校生の時で高校生役をやってました。「カワイイ子だ。伸びるかも。」と思いました。特に意識する事もなく応援もしてません。名前を見掛ければみて見ようと思う程度くらいでした。

    映画の主演、最近、ご結婚もされて観てみようと思いました。


    ガッカリしました。さらに彼女が主演でなければガッカリ度はさらに増したでしょう。いや、観る事もなかったと思います。

  • 映画として酷いかな。市川由衣のヌード。それだけでいい。

  •  池松君のボソボソセリフが聞き取りづらい。
     池松君が他の男に嫉妬して襲うシーンについては、お互いの気持ちの行き違いや、性欲の違いとかそういう問題以前に、恋愛における上下関係の存在を考えさせられる。

  • やっぱりわたしにはこういう感じの作品が合わないのかもしれない、
    内容は理解できるけどそこから何を感じ取ればいいのかがむずかしい

  •  女の子の体に興味があっただけという男と、その男を一方的に好きだと言い寄る女。
     
     これはなかなかに気持ちの悪い話。現在では男も女を好くようになるのだが、それが返ってこの映画を気持ち悪くしてるのがいい。
     市川由衣はバッチリの適役だった。惜しむらくはちゃんと脱いでない濡れ場が後半に続いたことか。こういう映画は濡れ場は全部のシーンとことんな方がいい。

  • 【海を感じる時】予告編
    https://www.youtube.com/watch?v=gNMxEdNys9s

  • 存在を求められて、
    愛されたかっただけの少女の、
    盲目的な希求性と、
    乾ききった愛情への飢え。

    これは母子関係の物語。

  • 充たされたいのはこころ。

  • とりあえず字幕がほしい。何言ってんのかよく分かんなかった。

    男がクズにならないように自制してるのに、「クズになろ・・・?ね?」って自分の魅力最大限に押し出して誘ってくる女が怖すぎるお話。

    "良い人"でいようと思わない人にとってはとても魅力的な女の子ですね・・・。

    "良い人"でいたい人にとっては恐怖でしかないけど。

    ただそれでも本気の「好き」って気持ちは相手が同じ思いを抱いていないくらいで消えるもんじゃないってことですかね・・・。

    でもやっぱり充たされたい。

    見れば見る程男が良い人に見えてくる映画。

  • ただのエロだ~~

  • 市川由衣のヌードが観られること以外は嫌いな映画
    まー文学作品たるストーリーではあるんだけどね

    俳優さんのネチャネチャしゃべる感じが大嫌い
    母親が娘に怒り狂うやり方が大嫌い

    市川由衣のヌー(以下略

  • 市川由衣がんばっているけど、カメラの動きも人物の動きもあまりに単調で、わたしにはちょっとしんどかった。きっと内容的には良い感じのこと言えてるんだろうけど(文学界を騒がせた原作が元らしいので)映画にするなら見るに堪えるものを作ってほしかったなあ。

  • いまひとつわかりにくい映画だった。

  • 原作者が女性ということもあり、女性が共感できやすい作品ではないかと思う。出てくる人が一様にどこか冷たく、誰かが笑っているシーンが少ない。
    「傷つけ合う」という形で描かれる愛の深さを感じた。
    ヒロシは、最低な男のように見えるが、正直で辛い心を持っているのだなと思った。

  • うぅー、共感できず最後まで見きれませんでした。

  • 安アパート、煙草とマッチ、日本酒、朝日ジャーナル、三島由紀夫等、昭和のアイテムがちりばめられた中での、若い男女の性と愛の葛藤が展開する。
    ほとんど同時代を生きた者としては、女性も男性もその感情と欲望の発露に共感できたり、自分に重ね合わせることができるだろう。
    しかし、今の若者にとっては、鬱屈して、テンポはスロー、ちょっと古臭いといった感情で終わってしまうかも知れない。
    男性の性が今も昔も身勝手であるのは不変のようだ。

  • 全体として じめっぽくくらい 作品ですね。
    中沢けいの持つ雰囲気かも。
    私小説的 私小説。

    市川由衣の お母さんが アクセントになっている。
    性に対する 理解がないのが 制約になる。

    池松壮亮って つかみ所がなく
    不思議な 青年である。
    自分の意志が 鮮明であるが、
    ふらついている。
    『まっとうな オンナになってほしい』なんて言うが、

    とにかく、市川由衣は、積極的な 女を 演じる。
    すくいどころがない。それでもとめつづける。
    高校生 という 年齢で そこまで追いつめるのかな。

  • 池松くんの演技が見たいがためにレンタル
    面白いとかつまらないとか
    そういった感情も特に生まれない淡々とした映画

    あえて言うなら
    好き、というタイミングが相手と合致する難しさってあるよねくらいかな

  • 映画を見ました。市川由衣ちゃんの身体がとても綺麗。覚悟を決めて挑んでるのは痛いほど伝わった。なのに、映画のつくりは雑じゃないすか。話が全然伝わってこなくて長く感じた。もったいない。
    (@テアトル新宿)

  • タイトルとか僕的にすごく好きな感じなんですけれども、内容がちょっと…原作小説もあるみたいですけれども、そちらは読んでいないので何とも言えず。

    初め、AVか何かだと思ってしまいました…それほどに主人公の二人がヤリまくっていて、「これはどう観たらいいんだ?…そうだ、市川由衣ちゃんのビーチクに集中したらいいんだ!^^」と解釈しましてですね、観ていたんですけれども、どうやら僕の観方が当たっていたような…そんな印象の映画でしたね。 ←え?? 社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    なんかタイトルにもあるような繊細な感じを期待していたんですけれどもね。どうにもその…後背位? のシーンなんかはあれですね、正直失笑モノでして…これはウケを狙っているんだろうか? と真剣に悩んじゃいましたよ…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、これは主演の彼女のためのアイドル映画ですねー、という印象のままさようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 荒井晴彦としかいいようのないATG的映画。
    市川由衣の強度が弱すぎて感情移入不能。ただし、房総半島で勤務した経験から言えば、これは現実的な物語のような気はする。「性を通じて成長して行く女の話」とかなんとか書いてあるけど、自分が惚れた男のダメダメさを前にした葛藤がなさ過ぎて萎える。

  • 新聞部の部室で授業をさぼっていた恵美子は先輩の洋からキスを迫られる。
    恵美子は洋から「女の体に興味があっただけ」と言われるが、それでも洋を求めていく。
    やがて恵美子は洋を追って上京し、花屋で働き始める。

    こういう役はもうとにかく池松壮亮君なんだよなぁ。
    愛の渦といい、神の月といい。
    他の役者さんから羨ましがられたりしないのだろうか(^ω^;)

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