トム・アット・ザ・ファーム [DVD]

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監督 : グザヴィエ・ドラン 
出演 : グザヴィエ・ドラン  ピエール=イヴ・カルディナル  リズ・ロワ  エヴリーヌ・ブロシュ  マニュエル・タドロス 
  • TCエンタテインメント (2015年5月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4562474164054

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トム・アット・ザ・ファーム [DVD]の感想・レビュー・書評

  • TOM A LA FERME
    2013年 カナダ+フランス 102分
    監督:グザヴィエ・ドラン
    出演:グザヴィエ・ドラン/ピエール=イヴ・カルディナル/リズ・ロワ/エヴリーヌ・ブロシュ
    http://www.uplink.co.jp/tom/

    事故死した同僚=同性愛の恋人ギョームの葬儀のために、その実家の田舎の農場を訪問したトム。そこで待ち受けていたのは、理不尽に暴力的な兄のフランシス(でもイケメン)と、一見ほがらかな主婦に見えて実はかなり病んでいるっぽい母親。町の人々はフランシスを避けており、ただでさえ閉塞した田舎で家族は孤立している。弟が同性愛者であったことを知らない母親のために嘘をつくことを強要するフランシスの暴力に逆らえず言いなりになるうちに、次第にトムはこのイビツな親子の狂気に巻き込まれ、フランシスと共依存のような関係に陥っていく・・・。

    とにかくこの兄の暴力性が異常。最初は良い人っぽいのにだんだん本性を現す…的な段階さえなく、いきなり凶悪。なにをどう歪むとこんな人間が出来上がるのか。しかし初対面のトムにはいきなり暴力をふるうくせに、食卓で母親に打たれても無抵抗、トムを脅す理由もおもに主張は「母を悲しませないため」で、最初のうちはただのマザコンかと思いきや、どうやら死んだ弟のほうを母親が溺愛していたらしきこと、弟は16歳で都会へ出てしまい、自分だけがこの母と田舎に残された閉塞感、劣等感、などが徐々に見え始め、タンゴの場面ではついに自分を呪縛する母の死を望む言葉を口にする。なんかこのアンビバレンツ、寺山修司みたいだなと勝手に思う(笑)田園に死す。

    一方トムは、逃げ出すチャンスは何度かあったにも関わらず、自らすすんでフランシスに支配されたがっているように見える。ギョームの事故死の詳細がわからないので、なぜ彼がそこまで自己懲罰欲求に駆られているのかよくわからないのだけれど、同性愛者であることそのものへの後ろめたさもあったのだろうか。そして兄弟だから当然死んだ恋人に似ているその兄に、惹かれる気持ちもあったのだろうけれど。偽物の恋人サラを呼び寄せたときは一緒に逃げるつもりかと思いきや、すっかり洗脳されてたことが逆にわかるあたりの狂気は怖かった。

    サラから聞かされたギョームの裏切り、そして弟をめぐって兄が過去に起こした事件を知ったトムは、ようやく正気に戻って逃げる決心をする。兄弟の関係はいくらでも深読みできるけれど、もしかしてフランシスが「くそビッチ」と呼びたかったのは、トムではなく弟に対してだったのかもしれない。

    余談ですが序盤からえんえんと続くトウモロコシ畑の光景に、ふとフォークナーの「サンクチュアリ」を思い出しました。あれもそういえば、虐げるものと虐げられるものが次第に倒錯した共依存関係に陥っていく側面があったかと思う。フライヤーなどに使われている印象的な写真の、トムの頬が裂けているかのように見えるのが気になっていたのだけれど、トウモロコシ畑でついたあの傷が実は象徴していたであろう、フランシスが起こした凄惨な過去の事件は、小学生時代に口裂け女に怯えた昭和の人間にはトラウマをえぐられる気持ちでした(苦笑)

    音楽がちょっとうるさかったのだけれど(曲が悪いのではなく、ずーーーーっと不穏な曲が流れ続けていて、不穏ですよサスペンスですよと煽ってくるので、そこは沈黙のほうが緊張感でるんじゃない?と何度も思った)、エンドロールのルーファス・ウェインライト「Going To A Town」はとても良かったです。エンドロールの間も物語は続いていて、都会へ戻ってきたトムが感じているであろう、むしろ非現実感、が、とてもよく表れていました。

    あ、最後になりましたしたが、グザヴィエ・ドランはとても美しかったです。現代風に軽くイケメン、という感じではな... 続きを読む

  • 『キネカ大森名画座2本立て』にて観賞。

    同性愛を親にカミングアウトできるか。
    主人公トムは亡くなった恋人の実家に彼の葬儀のために訪ねたが、恋人は母親にサラという彼女がいると伝えていた。
    恋人だった男の、自分が知らない姿を知る。
    恋人のDV兄からは暴力を受けつつも、兄に亡き恋人の面影を見出して次第に惹かれていく。

    いつでも逃げられる状況なのに理由をつけて逃げ出さないトムはストックホルム症候群のようで、完全に自分を見失っている。

    恋人の死=自分の一部を失う→恋人の実家農家へ=失った自分の一部を探す→失った部分にDV兄が漬け込む→DV兄から逃げる=自分の一部を取り戻す
    という構図でだいたいあってると思う。

  • 2017.3.19

    「たかが世界の終わり」に繋がっていく感じが分かる。

  • 予告で気になったのか?覚えてないが、チェックリストに入れてたのでレンタルで視聴。

    恋人を亡くして彼の実家へ葬儀の為訪れたトムが、兄に脅され従うのが理解できなかった。
    暴力ふるわれてもその後優しくされたり、恋人の兄という事で似ている面影を追ってしまったのか?
    急に従順になっていて驚いた。

    恋人と偽っていた女性を呼び出した時も、兄を毛嫌いしていたのに、最後には一緒に酔っ払ってヤられた?匂わせていたけど、描写はない。

    トムが目を冷ますのも急だし、スコップ持っていくのも良く分からなかった。
    心の細かい描写がなくて理解しにくい。

  • サスペンス。主人公が恋人の兄から殴られていながら逃げ出さず、田舎の家に囚われていく様子にはゾクゾクした。金髪眼鏡のドランが良い。

  • ドランはオシャレでポップさを除外した作品も撮ることが出来るのか…とうっとりしてしまった。本格的サスペンス。
    ところどころが程よく謎で、というよりも結構わけわからなかったり、多くを語らない作品。最後のエンディングテーマがかなりの意味深。アメリカにはうんざりだ。って。
    もう一度観たくなると思う、近いうちに。かなりの中毒性ある、ドランの映画はすべてそうだけどこれもそう。

  • 誰が狂っているのか、だんだんとわからなくなる。逆に言うと、多かれ少なかれ、みんな狂っている。

  • 冒頭から漂う不穏な空気が、嫌な予感を誘う。狂気は伝染するのか、それともこの田舎の町の空気感がそれを呼び覚ますのか。

  • カナダの田舎で起こる主人公と、死んだ恋人の家族との間で起こるサスペンス?でいいのかな これは。 しかしサスペンス要素というと死んだ主人公の恋人ギヨームの兄、フランシスの怪物的なキャラクターでのみで保ってるような気がせんでもない。

    ただ、田舎独特の閉鎖的な空気、息子と同性愛関係だった事を告げられず葛藤する姿なんかが見事に絡み合って終始息苦しい空気が漂ってハラハラはしてしまう。

    愛した人を失って孤独に苛まれるトムと怒りと暴力の権化のようなフランシスだけど、その実フランシスのほうが空虚の塊のような男なんだろう。自分の世界というものに固執しすぎて沢山のものを恐れてる。その反動があの暴力なのだろうな。空虚の塊のような男だから言っていることも一貫性も現実味も感じられない。

    インタビューでも言っていたけど、孤独をしったばかりのトムが常に孤独を抱えているフランシスに惹かれるのは納得できることで。でもその孤独を内包しすぎて壊れた男にはやっぱりついていけるわけがない…。複雑な関係性でわかりにくいようでいて見事にストックホルム症候群に陥っていくさまはちょっとゾッとする。

  • 主人公がとってもイケメンでな…ゲイっぽくてな…キュンとします…
    ホモファビアの兄ちゃんに脅されたり車のタイヤ取られちゃったりして、農場に閉じ込められるんだけど、監禁もの!って訳じゃないけどそこが一番ゾッとする。ボッコボコにされるんだけどゲイらしく兄ちゃんに惹かれる主人公と、田舎で農場やって年老いた母親の面倒みるのにうんざりしてて、主人公を虐げまくるのに依存してる兄ちゃんの関係性が、萌えたり、こわっ!意味わからん!ってなったり、忙しい映画だった。

  • これは予備知識無しで観たので最初よく話が分からなかった(主人公が同性愛者だと気付いてやっと関係性が理解できた)
    抑圧とか暴力とか共依存とか不穏な空気が終始流れているけれどこれは私のイメージするサイコサスペンスとはちょっと違うような・・・ラブサスペンスとも違うし、変にカテゴライズしない方が良さそう。
    でも、フランシスの暴力や内に秘めた家族への歪んだ感情、しだいに彼を受け入れていくトムの狂気、真実を知りたくないが故に色んなことに気付かないふりをしている(本人には自覚がないかもしれないけれど)母親等、最後まで目が離せなかったのは確かです。

  • これも、だいぶ前に鑑賞済みだが備忘録に加えたく。

    グザヴィエ・ドラン監督の本格サスペンスとの事。

    確かにサスペンス調でドキドキ感を煽る画を要所に入れてはくれているが、サスペンスやサイコ物とは完全に言い切れない中途半端感はある(笑)

    亡くなった友人の葬儀に参列するためにやってきたいわく付きの主人公トム(=監督)と懐疑的な故人の兄フランシスの奇妙な関係がサスペンスだと。いう事かな。

    主人公が置かれたのは田舎の農場という、辺り一面田畑や草原という閉鎖的な場所でごく限られた人しかいない密室的トリック。

    フランシスの孤独と情緒不安定な様に次第に興味を持ち
    距離が近ずいていくトムの危うい均衡がミソだと。
    酷い仕打ちも耐えるトムもややアブノーマル気味だが、二人が常識では計れない魅力で引き合っているのかしら?と。どちらかといえばトムがフランシスを翻弄していると。

    最後は逃げおうせて、、命からがらね?って事で。
    やはり同性愛は外せないよねって事で。

  • 主演のグザヴィエ・ドランの服装がかっこいい。終盤の、紫のチェックシャツにレザーのダブルのライダースの合わせはかっこよかった。

  • 冒頭、トムが農場に着くシーンでいきなりかかる不穏な音楽に「な、何が起きるの?」と思ったら、まさに予感的中。もうそこから先は暴力と恐怖、そして倒錯した愛情が支配する世界。農家のお母さんは絶対に真相に気づいているはずなのにそれには触れないで、自分の世界に入り込んでいる。トムはトムで、最初は恐怖だったものにいつの間にか取り込まれてしまって、ほとんどカルト教団の洗脳状態になってしまう。いやはや、こんな恐ろしい映画を作らないでほしいです。

  • 緊張と恐怖に締め付けられつつも、惹きつけられて目が離せない。『私はロランス』で鮮烈な印象をあたえたグザヴィエ・ドランが監督・脚本・主演も兼ねて、恐ろしいほどの才能を見せつける。
     首都モントリオールからケータイの電波も入らない田舎町の農場をトムが訪れるところから物語は始まる。事故死――恐らくは自殺――した友人ギヨーム――実は恋人――の葬儀のために彼の実家を訪れ、事実は隠しながらも母親アガッタと親密な時間をすごして、すぐに立ち去るはずだった。しかし恋人の兄フランシスが登場した瞬間から、トムは彼の暴力的支配の磁場に引き込まれ、服従していく。
    最初は単純にマッチョなゲイ・ヘイターであるかに見えるフランシスが、自身の中の欲望を抑圧するがゆえの暴力的なホモフォビアを露わにしていくのと並行して、フランシスの暴力に恐怖をおぼえ、抵抗を試みつつも、抗いがたくその力に引きずられていくトムの様子こそが、なによりも恐ろしい。ついに読みあげられることのなかった弔辞をめぐる会話、ギヨームの「恋人」サラのでっちあげられた独白、母親の前であからさまに語られる性的な記憶、そして濃密な感情が交わされるフランシスとトムのタンゴと、アガッタの沈黙。ひとつひとつのシーンで交わされる視線と感情と力があまりに濃密で息が詰まりそうだ。死んだギヨームとトムがどのような関係性をつくっていたのか、フランシスや母親とギヨームの間にどんな生活があったのか、映画の中では一度も明確に語られないながら、残された人々の間で交わされるやりとりの中から、沈黙と嘘で維持されていた関係がうかびあがってくる。自分を無価値だと感じていたトムの服従への欲望を、フランシスは的確につかんでいたのだ。
    これを「ゲイ映画」と呼ぶのは正しくない。支配と被支配の関係の中にある恐怖に満ちていながら人を惹きつけずにおかない圧倒的な力は、普遍的に潜在しているのだから。ひとつひとつのシーンが考え抜かれていて、繊細な手つきで腸を引きずり出すようなドランの才能には感服せざるを得ない。これから先、どんな世界を見せてくれるのだろう。

  • ドランってスゲェなーと痛感させられた。まだ26歳だなんて信じたくない。(28歳の男)

  • グサヴィエドランの顔が整いすぎてうつくしかった…
    DV彼氏に洗脳されて共依存になってくけど最後目覚めて逃げ出せたのよかった(要約)
    よかったけどあれなにきっかけだったのか

    序盤から勝手にひとの家入ってるトムとか、ふつうに考えたら全世界共通でだめだよね・・・?
    クスリとかもそうだけど、なんかそういう違和感とか不法事がそのままさらりとふつうのことのように描かれていたのがホラーに感じた要素のひとつかも

    逃げればいいのに、逃げればいいのに今逃げられるよ!ってところでも逃げなくなっていて、あれは騙されている振りをしてるんではなくて自ら望んでそこにいるんだという、環境でひとはどうにもでも変わるのだな、変わるのか、飴と鞭こわい、調教だし洗脳だよ、といろんな感情がぐるぐるした
    同性愛についての物語だったんだけど、エンドロールまで来てやっと描きたかったものの一辺が理解できた気がした

    ドラン作品はわたしはロランスしか観てなくて、あれは恋物語だったから結構そういう作風なのかと思わされて、
    見事にまあトムアット〜は真逆というか別角度のラブだな!ひとびとの隠したいこと、隠し事を撮るのが上手だと思った、もどかしさとか、隠したいわけじゃないのに、みたいな気持ち
    しかしラブストーリーとはおもってなかったけどこんなにサスペンスだともおもってなかった笑
    ああーでも濃密で楽しかった!

    これ撮ったとき25歳ってもう才能がスパークしすぎだろ・・・新作も楽しみにしてます

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