トム・アット・ザ・ファーム [DVD]

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監督 : グザヴィエ・ドラン 
出演 : グザヴィエ・ドラン  ピエール=イヴ・カルディナル  リズ・ロワ  エヴリーヌ・ブロシュ  マニュエル・タドロス 
  • TCエンタテインメント (2015年5月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4562474164054

トム・アット・ザ・ファーム [DVD]の感想・レビュー・書評

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  • 暴力による支配と服従という典型的な共依存関係を、片手に足りる登場人物と閉じた世界の枠の中で、これほど複雑かつ、奥行きをもって描いた作品もなかなかないと思います。

    同性愛者のトムは、事故で亡くなった恋人ギヨームの葬儀に参列するため、ギヨームの実家があるケベック州のとある農場に行く。
    そこにいたのは、ギヨームの母アガットと、兄のフランシス。
    実は、ギヨームは、同性愛者であることを母に隠し、サラという女性の恋人がいると嘘をついていた。
    葬儀に現れないサラを罵るアガット。
    事実を知るフランシスは、トムに暴力をふるうことで、ギヨームの恋人であった事実を隠して友人として振る舞い、母に実体のない「サラ」の話をするように命令する。
    心身ともに傷だらけとなったトムは、それに従う。
    いつしかトムは、ギヨームの面影を持つフランシスに惹かれてゆくけど…。

    あくまでも私の個人的な解釈ですが、この作品が、共依存的な人間関係を描いた地の作品と一味違うところは、以下の二つに集約されると思います。

    まず一つ目は、共依存の関係が、喪失感を共有する当事者たちの無意識の合意による遊戯性や演技性によって始まり、高まった結果、潜んでいた官能性と快感によって、いつしか絡め取られていく狂気じみた様を破綻なく描いている点。
    これによって、小さな舞台空間ながら、スリリングさが加わっています。
    (真の支配者にして一番の狂人は、フランシスでもトムでもなく、実は、アガットでは…と邪推してみたりして。実は毒親では?って面も垣間見えるし…)

    二つ目は、必ずしも共依存ではないかもしれませんが、複数の依存的関係を同時進行で描き、絡ませることに成功している点。

    暴力を振るうフランシスと振るわれるトムの関係はもちろんのこと。
    アガットと、母を置いて農場から逃げることはできないフランシスの親子関係。
    架空の「サラ」に託してギヨームへの気持ちと思い出を語るトムと、サラの関係。
    せめてギヨームのよき友人として恋人の家族に認められたいトムと、そのよき友人から息子の話を聞きたいアガット。
    様々な依存にあふれており、人間関係の複雑さ、危うさを痛感させます。

    物語の最後は、依存のスパイラルから抜け出せたのか抜け出せないのかわからない曖昧なもので、それがまた、奥深さ、そして、闇を感じさせ、強い印象を残しています。

    100分程度の中に、一度の鑑賞では理解できないぐらいに様々な要素が複雑なパズルピースのようにはめ込まれた作品です。
    連続で見るには重いしつらいので、また時間を置いてもう一度見てみたいですね。

  • TOM A LA FERME
    2013年 カナダ+フランス 102分
    監督:グザヴィエ・ドラン
    出演:グザヴィエ・ドラン/ピエール=イヴ・カルディナル/リズ・ロワ/エヴリーヌ・ブロシュ
    http://www.uplink.co.jp/tom/

    事故死した同僚=同性愛の恋人ギョームの葬儀のために、その実家の田舎の農場を訪問したトム。そこで待ち受けていたのは、理不尽に暴力的な兄のフランシス(でもイケメン)と、一見ほがらかな主婦に見えて実はかなり病んでいるっぽい母親。町の人々はフランシスを避けており、ただでさえ閉塞した田舎で家族は孤立している。弟が同性愛者であったことを知らない母親のために嘘をつくことを強要するフランシスの暴力に逆らえず言いなりになるうちに、次第にトムはこのイビツな親子の狂気に巻き込まれ、フランシスと共依存のような関係に陥っていく・・・。

    とにかくこの兄の暴力性が異常。最初は良い人っぽいのにだんだん本性を現す…的な段階さえなく、いきなり凶悪。なにをどう歪むとこんな人間が出来上がるのか。しかし初対面のトムにはいきなり暴力をふるうくせに、食卓で母親に打たれても無抵抗、トムを脅す理由もおもに主張は「母を悲しませないため」で、最初のうちはただのマザコンかと思いきや、どうやら死んだ弟のほうを母親が溺愛していたらしきこと、弟は16歳で都会へ出てしまい、自分だけがこの母と田舎に残された閉塞感、劣等感、などが徐々に見え始め、タンゴの場面ではついに自分を呪縛する母の死を望む言葉を口にする。なんかこのアンビバレンツ、寺山修司みたいだなと勝手に思う(笑)田園に死す。

    一方トムは、逃げ出すチャンスは何度かあったにも関わらず、自らすすんでフランシスに支配されたがっているように見える。ギョームの事故死の詳細がわからないので、なぜ彼がそこまで自己懲罰欲求に駆られているのかよくわからないのだけれど、同性愛者であることそのものへの後ろめたさもあったのだろうか。そして兄弟だから当然死んだ恋人に似ているその兄に、惹かれる気持ちもあったのだろうけれど。偽物の恋人サラを呼び寄せたときは一緒に逃げるつもりかと思いきや、すっかり洗脳されてたことが逆にわかるあたりの狂気は怖かった。

    サラから聞かされたギョームの裏切り、そして弟をめぐって兄が過去に起こした事件を知ったトムは、ようやく正気に戻って逃げる決心をする。兄弟の関係はいくらでも深読みできるけれど、もしかしてフランシスが「くそビッチ」と呼びたかったのは、トムではなく弟に対してだったのかもしれない。

    余談ですが序盤からえんえんと続くトウモロコシ畑の光景に、ふとフォークナーの「サンクチュアリ」を思い出しました。あれもそういえば、虐げるものと虐げられるものが次第に倒錯した共依存関係に陥っていく側面があったかと思う。フライヤーなどに使われている印象的な写真の、トムの頬が裂けているかのように見えるのが気になっていたのだけれど、トウモロコシ畑でついたあの傷が実は象徴していたであろう、フランシスが起こした凄惨な過去の事件は、小学生時代に口裂け女に怯えた昭和の人間にはトラウマをえぐられる気持ちでした(苦笑)

    音楽がちょっとうるさかったのだけれど(曲が悪いのではなく、ずーーーーっと不穏な曲が流れ続けていて、不穏ですよサスペンスですよと煽ってくるので、そこは沈黙のほうが緊張感でるんじゃない?と何度も思った)、エンドロールのルーファス・ウェインライト「Going To A Town」はとても良かったです。エンドロールの間も物語は続いていて、都会へ戻ってきたトムが感じているであろう、むしろ非現実感、が、とてもよく表れていました。

    あ、最後になりましたしたが、グザヴィエ・ドランはとても美しかったです。現代風に軽くイケメン、という感じではなく、古き良き美少年というか「美形」って感じで。これで監督の才能もあるんだから大したもんだなあ。

  • 有名な監督と知らずに、彼の美しさに惹かれて視聴。嘘のない心情や状況を語らせるようなセリフは殆どなく、演出や場面の描写に委ねている部分が多くて引き込まれました。まさに映画的。他の作品も観たい。

  • 『キネカ大森名画座2本立て』にて観賞。

    同性愛を親にカミングアウトできるか。
    主人公トムは亡くなった恋人の実家に彼の葬儀のために訪ねたが、恋人は母親にサラという彼女がいると伝えていた。
    恋人だった男の、自分が知らない姿を知る。
    恋人のDV兄からは暴力を受けつつも、兄に亡き恋人の面影を見出して次第に惹かれていく。

    いつでも逃げられる状況なのに理由をつけて逃げ出さないトムはストックホルム症候群のようで、完全に自分を見失っている。

    恋人の死=自分の一部を失う→恋人の実家農家へ=失った自分の一部を探す→失った部分にDV兄が漬け込む→DV兄から逃げる=自分の一部を取り戻す
    という構図でだいたいあってると思う。

  • 2017.3.19

    「たかが世界の終わり」に繋がっていく感じが分かる。

  • 予告で気になったのか?覚えてないが、チェックリストに入れてたのでレンタルで視聴。

    恋人を亡くして彼の実家へ葬儀の為訪れたトムが、兄に脅され従うのが理解できなかった。
    暴力ふるわれてもその後優しくされたり、恋人の兄という事で似ている面影を追ってしまったのか?
    急に従順になっていて驚いた。

    恋人と偽っていた女性を呼び出した時も、兄を毛嫌いしていたのに、最後には一緒に酔っ払ってヤられた?匂わせていたけど、描写はない。

    トムが目を冷ますのも急だし、スコップ持っていくのも良く分からなかった。
    心の細かい描写がなくて理解しにくい。

  • サスペンス。主人公が恋人の兄から殴られていながら逃げ出さず、田舎の家に囚われていく様子にはゾクゾクした。金髪眼鏡のドランが良い。

  • ドランはオシャレでポップさを除外した作品も撮ることが出来るのか…とうっとりしてしまった。本格的サスペンス。
    ところどころが程よく謎で、というよりも結構わけわからなかったり、多くを語らない作品。最後のエンディングテーマがかなりの意味深。アメリカにはうんざりだ。って。
    もう一度観たくなると思う、近いうちに。かなりの中毒性ある、ドランの映画はすべてそうだけどこれもそう。

  • 誰が狂っているのか、だんだんとわからなくなる。逆に言うと、多かれ少なかれ、みんな狂っている。

  • 冒頭から漂う不穏な空気が、嫌な予感を誘う。狂気は伝染するのか、それともこの田舎の町の空気感がそれを呼び覚ますのか。

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