ホドロフスキーのDUNE [DVD]

監督 : フランク・パヴィッチ 
出演 : アレハンドロ・ホドロフスキー  ミシェル・セドゥー  H.R.ギーガー  クリス・フォス  ニコラス・ウィンディング・レフン 
  • TCエンタテインメント
4.13
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4562474163705

感想・レビュー・書評

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  • 「2001年宇宙の旅」(1968)後、「スター・ウォーズ」(1977)の前、
    こんなプリプロダクションが準備されていた。
    (もちろんデヴィッド・リンチ「デューン/砂の惑星」(1984)はずっと後。)
    図鑑よりも分厚い枕級の非売品ストーリーボードを傍らに、ホドロフスキー語る語る。
    関連人物のインタビューも差し挟みつつ、メビウスの絵コンテをアニメで動かしたり、設定画を挿入したりする合間に、スペイン語とスペイン訛りの英語で、ホド語る語る。
    80を越えてなお、エネルギッシュでエモーショナルでチャーミング。
    これがめっぽう面白い。
    若き日の「人たらし」を容易に想像できる。

    「七人の侍」や「ドラクエ」に匹敵する仲間集めの面白さ。
    印象深いのがサルバドール・ダリ。
    タロットのハングドマンのカードに一緒に映画を作りたいと書き込んで渡したら呼ばれ、「砂漠で時計を見つけたかね?」と。咄嗟に「見つけなかった。しかしたくさんなくした」「よし、やろう」なにこのハイレベルな頓智問答。
    メビウス、H・R・ギーガー、ダン・オバノン、ピンク・フロイド、ミック・ジャガー、オーソン・ウェルズ、とゴージャス極まりないメンバーを集めていく。
    しかもスタッフではない、「魂の戦士」としてだ。
    さてプリプロダクションを持って出資を巡りながら、
    「1時間半なんて無理。12時間、いや20時間だ!」
    ……そりゃポシャるわ。笑

    むしろ頓挫したからこそ、未完だからこそ、作られなかったからこそ、放たれ続ける煌めき。
    リンチの映画に対し、最初は見たくないと駄々をこねていたら息子から「それでも魂の戦士か」と焚きつけられ、見ている最中ひどさに嬉しくなってしまったんだぁー! という笑顔。チャーミング。
    その前後だったと思うが、「アイ ワズ レイピング ハーバート!……ウィズ ラヴ」というのも、このホド爺にしか言えまい。

    「夢と狂気の王国」を連想。
    原作レ*プ姿勢のもまた。
    宮﨑駿は確か「アニメーションというのは、よってたかって作るものなんです」と言っていたが、仲間集めという点では通じている。
    いや、押井守の「さらば愛する日本よ」を連想すべきか。
    人物として似ているんじゃないかと思ったのは、稲川淳二、水木しげる。

    「東京ポッド許可局」でマキタスポーツが、俳優には「星目」が、芸人には「石目」が多いと言っていたが、ホドはまさしく「星目」をキラッキラさせながら、

    「人生で何かが近づいてきたら“イエス”と受け入れる。
    離れていっても“イエス”だ。
    『DUNE』の中止も“イエス”だ。
    失敗が何だ? だからどうした?
    『DUNE』はこの世界では夢だ。
    でも夢は世界を変える」

    と語る語る。
    好きにならずにいられようか。

    「人生は祭りだ。共に生きよう」フェリーニ「8 1/2」

    なんと本作のおかげで、当時のプロデューサーのミシェル・セドゥー(レア・セドゥの親戚!)と40年ぶりに和解し、結果「リアリティのダンス」ができたのだ、と。
    その後の「エンドレス・ポエトリー」「ホドロフスキーのサイコマジック」といった3作を導き出したきっかけでもあるのだ。

    ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ティモシー・シャラメ主演のリメイクを10月に控えた今、ということ関係なく、大いに元気になった。

  • JODOROWSKY'S DUNE
    2013年 アメリカ 90分
    監督:フランク・パヴィッチ
    出演:アレハンドロ・ホドロフスキー/ミシェル・セドゥー/H・R・ギーガー
    http://www.uplink.co.jp/dune/

    「完成しなかった映画のドキュメンタリー」ということで、テリー・ギリアムの『ロスト・イン・ラマンチャ』を思い出しましたが、あちらも天才肌の監督の創作の過程、イマジネーションの洪水を感じられるだけで面白かったけど、こちらもとにかく創造のパワーに溢れていて素晴らしい!!

    フランク・ハーバートのSF小説『DUNE』の映画化を夢見るホドロフスキーが、とにかくパワフルに、次々と目をつけたクリエイターやアーティストと接触をとり口説きおとして意気投合していく経過だけでも痛快。それぞれのクリエイターの天才っぷりも凄まじい。この企画が頓挫したあと、H・R・ギーガーを筆頭にエイリアンや他のSF映画で活躍することになるのも納得だし、救いでもある。

    画家のダリに役者として銀河帝国皇帝役をオファーするというのもぶっとんでますね(笑)しかも高額ギャラ寄越せとかゴネまくるのに(笑)ダリなんて生前から成功してたんだからむしろ映画の製作費出してくれてもいいくらいだと思うんだけど。ミック・ジャガーにもミュージシャンとしてではなく役者としてオファー。こちらはダリと違って拍子抜けするほど簡単に「いいよ」(笑)
    そして音楽はピンクフロイドとマグマ。すごすぎる。

    企画が持ち上がったのが1975年。キャストもスタッフも今ではすでにお亡くなりになっている方多数ですが、できるかぎりホドロフスキーの原案に忠実に、誰かこれで映画化実現してくれないかなあ。ホドロフスキー自身も、自分が監督じゃなくてもいいしアニメでもいい、って言ってたし。もちろん、ご本人が監督してくれるのが一番ですけどね。是非とも300歳まで生きて実現させてほしい。とりあえずハルコンネン男爵役は、今ならマツコ・デラックスが妥当かと思います(笑)

    結局企画が頓挫したあと、1984年にデヴィッド・リンチがカイル・マクラクラン主演で「デューン/砂の惑星」として映画化(ツイン・ピークスよりは前でしたね、エレファントマンがヒットしたおかげか。しかし大コケだった印象ですが)、この件に関するホドロフスキーのコメントがお茶目で面白すぎました。デヴィッド・リンチのことは好きだったみたいで才能を評価していたがゆえに、自分以外の誰かが映画化した作品を見るのがつらくて最初は泣きそうだったのに、映画を見ているうちにだんだん楽しくなってきたというホドロフスキー、その理由は「これは失敗作だ!!」(笑)わかるなあ、その気持ち。

    映画は原作にはないオリジナルの結末をむかえますが、そのラストシーンが完成しなかった映画と渾然一体となる終わり方が感動的でした。映画の主人公であり英雄であるポールは志半ばで殺されてしまうけれど、彼の遺志は大勢の人々に受け継がれる。同じように、ホドロフスキーのDUNEは映画界に多くの種を蒔き、後にそれがさまざまな形で実った。完成することはなかったけれど、無駄じゃなかったんだなあ(感涙)

    映画に限らず創作・創造に対するホドロフスキーの真摯でパワフルな姿勢に触れるだけでも、見る価値はあると思う。クリエイターでもなんでもない凡人の自分が見ても何かしら鼓舞されるものがありました。
    (2014/12/23)

  • 原題:Jodorowsky's DUNE
    レンタルで鑑賞。

  • 近年は、こうした幻の遺産ドキュメンタリーものが随分多いような気がしていて、言葉・編集巧みにそれがいかに価値が高いものであるかを演出しており、本作ももちろんそうしたものなんですけど、相手がホドロフスキーであるだけに、もしかしたらこれこそは…と思わせる雰囲気はあるっちゃあるかも。しかし、スターウォーズも相当な制約のもと作成されており(かつしたたかなビジネスセンス)、当時の1500万ドルはさすがにIfというには無謀すぎる気がしますね。本気の絵空事をギリギリまで進めた、他に例がなさげな実録!です。

  • 若かりし宇宙海賊船長ホドロフスキーくんが「僕の最強のDUNE」に目を輝かせ、「僕の魂の戦士たち」を引き入れていく夢の冒険活劇を見るようだった。

  • ホドロフスキーの話が面白過ぎる。
    デビッド・リンチ版のデューンはほんとに駄作だったけど、ホドロフスキー版は傑作だったんだろうな。

  • アレハンドロ・ホドロフスキー監督。
    情熱の塊の人だなぁと。

    子供の頃から主だった映画館で上映されるのはハリウッド映画。
    それが映画だと思って親しんできたので
    彼の作品を見たときのカルチャーショックたるや。

    エル・トポ、ホーリーマウンテン・・・。

    うわっ、なんだこれ・・・。
    見て良いの・・・?

    年を経て改めて鑑賞すると伝わる部分があって
    味わえるようになるから不思議だ。

    彼が作ろうとしたあの「DUNE」
    それが頓挫した顛末が語られる。
    ダリ、ミックジャガー、ギーガー・・・
    実現していたら確かにスゴイ映画になったろうなぁ・・・。

    もし出来ていたらスターウォーズを凌駕したのではと語られる。
    確かに企画段階でのアイデア等々は凄い。
    だけどそれまでの監督の作風をみると
    「物凄いフラッシュゴードン」になっていたのではとも。

  • ダリにギーガーにピンクフロイドにマグマにオーソン・ウェルズに…思った以上に凄すぎの構想。確実にもう見られないのが本当に本当に悔やまれる。

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