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感想・レビュー・書評
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比べても仕方ないけれど、館モノ、親子、という設定で思い出すのはやはりキングのシャイニング。ただの狂気ではなく、館やこの世のものではない存在からの干渉で父親が狂っていくのがなんともホラー。映画もジャック・ニコルソンが良い味を出している。
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キューブリックの映画化が気に入らなくて原作のキングが撮り直したというのも頷ける。
ホールの時計が鳴るたびに静まり返る客達や、犯人のわからない恐怖、エドガー・アラン・ポーの『赤き死の仮面』の文章が本文にもたびたび引用される様子からも、実は目を逸らしているところに恐怖はあるということがテーマの一つになっているのかもしれない。
映画のテーマは業や輪廻だと思うので映画とはちょっと違った面白さがある。
キングの小説は長いけどやっぱり面白い。
あと、キングがこの小説を書くきっかけとなった「スタンリーホテル」についてはYoutubeに宿泊客の動画などがあるので観ておくとこの小説をさらに楽しめる。 -
(01)
オーバールックホテルは、コロラドの山岳地帯の美しい景観がその魅力となっているが、高所からの見渡しと同時に、見落としや見逃しが含意されている。この擬人的な建物(*02)に、家族三人はそれぞれに、奇妙な同調と乱調を示す。
例えば、ジャックの癇癪は、ホテルのボイラーと同期しているかのようである。ダニーとトニーとの感性は鋭く、ホテルのいちいちの怪異に過敏に反応してしまうし、彼らが鍵となってジャックの悪性を解き放っているかのようでもある。ウェンディには霊感は少ないようであるが、ホテルが物理的にもたらす孤立によって、ジャックへの恐怖を募らせ、ダニーと連携してジャックをホテルとともに葬ろうという気分は、ホテルへの対抗力であると同時に、ホテルやジャックをより一層刺激してしまう。
(02)
そしてオーバールックは、動物的でもある。表に設えられた迷宮のトピアリーはライオンなどの動物を象っており、すずめばちは最後まで家族に悪さをしかける。アルコールに飢えているジャックは、癇癪にしても野生の解放を求めており、アルコールへの依存は野生動物としての人間の一面を浮き彫りにする。
オーバールックの歴史には、20世紀の観光ホテルや闇興行の暗黒が刻まれている。ジャックがこの歴史にアクセスする時、ホテルの生理と精神は、ジャックに染み込んでいくように感じられる。その時、ホテルが獲物を狙うのは、ホテルが有する動物性を駆使しているというよりも、人間の近代性のためにヒューマニズムが排除してきたもののようにも思える。つまり、子ども、女性、黒人、アルコールに依存する弱者、癇癪を起こしやすい弱者といった属性は、それぞれに近代社会が理由をつけて(*03)暗がりに押し込んだ何者かでもあったように感じる。
(03)
文体も楽しい。トランスしたような台詞には、前衛的なものよりも、むしろ戯曲の伝統を感じる。地の文にも豊富な暗示が集合しており、言いかけて終わる言葉(体言)には余韻が漂う。クロケーの木槌という小物が終盤に重要な役割を果たすが、その打ち込みの強さを示すように強調される文章がある。また、後半のハローランと現地とのクロスカッティングのような章構成は、映画的な手法の取り込みとも言える。章だけではなく、文の中にもクロースアップ効果も見えているようである。 -
巨匠スティーブンキング氏の有名作品をいまさら。アルコールと癇癪で職を失ったジャックが、伝手で見つけたオーバールックホテルでの冬季管理人の職。息子ダニーのもつ「かがやき」。ジャックという人間が好きになれないし、暗く、わりと退屈に進む前半部だが、いよいよ雪が積もって外部との行き来が絶たれたころ、下巻に差し掛かる手前あたりで一気にボルテージがあがってくる。下巻へ。
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映画がすごく気になっているので、まず原作を読んでみた。ダニー視点で話が進行するところが、面白かった。
下巻がすごく気になる。 -
家族の物語。いいところで上巻が終わってしまい、もどかしくなりながら下巻を購入した。