数学の言葉で世界を見たら 父から娘に贈る数学 (幻冬舎単行本) [Kindle]

著者 :
  • 幻冬舎
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感想・レビュー・書評

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  • 完璧に理解できたとはいいがたいけれど楽しく読んだ。
    「父から娘に贈る数学」という副題がついている。
    けどこの娘というのは高校生くらいを想定しているのかな!?
    微積分、対数、行列、三角関数など、「中学生の娘」だとするとちょっと難しいかもしれない。

    特に「ベイズの定理」のくだりが興味深かった。確率を用いれば、主観はおいといて、事実をここまでしぼり込んでいけるのかと、その手腕の鮮やかさに感動。たとえば、原発重大事故が再び起きる確率、とか。

  • そんなに簡単ではない話を分かりやすく語っていると思った。
    Webにある補遺も素晴らしい。

  • 理解できてるような気分になっても、ほとんどわかってないのだということがよくわかる本だった。再びの大栗本である。インテリジェンスってこういう本をきちんと理解できることを言うのだろう。自分はインテリじゃないな。アリストテレス、ピタゴラス、エラトステネス、デカルトなんてよく知った名前もたくさん出てくるし、ティッシュのネピアと同じ語源のネイピア数、二次方程式の判別式とか、ギリ微積分までは、「というわけで~である。」といわれてもねえと、思いつつも、わかったふりをして読んだけれど、ガロアの「群」になるとまったくチンプンカンプンとなってしまった。
    大学2年の教養部講義で、数学をとって、担当教員に、社会人になって加減乗除以外に数学なんて使わないでしょ、何のために大学で教えるのか?と質問し、研究室に呼ばれ、なんて言われたか忘れたけれど、社会人になって、微積分なんてほぼ使わなかった。それでも、やはり、数学のこうした入門書的なものは楽しい。大栗氏のような知性も、いづれは死ぬんだと思うと切ない。

  • p.2021/9/10

  • 久々に数学の読み物を読んでみたくなり、タイトルとページ数だけで買ったのだが非常に面白く1週間程度で読み切ってしまった。

    サブタイトルの「父から娘に贈る数学」の娘はおそらく日本で言うところの高校生以上を想定していると思う。後半の微積分や高次方程式は、さすがに中学生では理解が難しいかもしれない。

    導入部分のベイズの定理による条件付き確率と乳がん検診・原発事故確率は、正しく書かれた数学に関する書籍ではかなり読みやすい。実際の数学の現実への応用について、理解を深めやすいと思う。
    一方で後半に行くに従って難しさを増していくので、途中までは追えたが途中からは理解ができなかった、となる可能性はありそうなので、序盤が理解できるのがやっとだと後半は挫折するかも。

    個人的には最終章で群論やガロア群などの抽象代数学まで踏み込んで書かれていることが非常に面白かった。

    高校数学がある程度理解できていれば読めるとは思うので、数学に触れたいという人は読んでみると良いと思う。真面目にやりたい場合は、途中式の計算や省略されている証明をやってみる、また著者の補遺のサイトを読んで理解を深めるのも良いと思う。

  • これ、素晴らしい本です。自分が読んでももちろん面白い。10代のお子さんをお持ちであれば、彼らが数学の才能があるかどうかをある程度見極められる、という意味においても面白い。兎に角、素晴らしい。この本が、数学者ではなく、物理学者によって書かれたということに驚かされる、という意味においても面白い。

  •  カリフォルニア工科大学ウォルター・バーク理論物理学研究所所長という肩書の著者がお父さんとして娘に語りかけるという体裁の数学コラム。あとがきによると著者の娘さんは実在していて、ニューイングランドの寄宿学校に合格したそうです。

    第1話 不確実な情報から判断する
    第2話 基本原理に立ち戻ってみる
    第3話 大きな数だって怖くない
    第4話 素数はふしぎ
    第5話 無限世界と不完全性定理
    第6話 宇宙のかたちを測る
    第7話 微積は積分から
    第8話 本当にあった「空想の数」
    第9話 「難しさ」「美しさ」を測る

     この手の数学コラム/エッセイは過去に『数学幻視考』や『数学の悦楽と罠』を読んだが、いずれも話が込み入ってくると式や論理をフォローしきれなくなるのが悔しいところ。ただそれでも十分に知的好奇心を刺激される。大栗博司氏の著作は『重力とは何か』や『強い力と弱い力』等があり、これらを読んだ時はかなりワクワクした。今回はそこまでではなかったものの、完全に置いていかれることもなく、楽しく読み進めることができた。

     自分が数学の世界にハマることはできなかったけれど、きっと今も誰かが新しい数学世界を切り拓いているに違いない。そう考えるだけでも、なんだか嬉しくなるものだ。

  • タイトルの印象よりかなり難易度が高いように感じた。特に自分のような高校レベルの数学に挫折した経験がある人にはどうにも読みづらいかもしれない。実際、自分も最初にこの本を読み始めた時は途中で挫折した。

    しかしこの本とは別の数学に関する本をいくつか読んだあとで読み直してみたところ、数学の面白さを解くこの本を少しは理解できるようになっていた。数学はとにかく奥深く、そして哲学と同じぐらい太古から連綿と今につながる学問である。未だなおその影響力は衰えることがなく、自然科学の発展に寄与している。数字を恐れることなく、その深遠なる世界のほんの表面を楽しめる本。

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著者プロフィール

カリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授/ウォルター・バーク理論物理学研究所所長
東京大学カブリIPMU主任研究員
米国アスペン物理学センター所長

「2018年 『素粒子論のランドスケープ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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