笹の舟で海をわたる [Kindle]

  • 27人登録
  • 3.38評価
    • (0)
    • (4)
    • (3)
    • (1)
    • (0)
  • 4レビュー
著者 : 角田光代
  • 毎日新聞社 (2014年9月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (278ページ)

笹の舟で海をわたるの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • とても読み応えがあっておもしろかったし、すごく引き込まれて読んだのだけれども、なんだかずっと暗い気持ちになっていた。。。
    ストーリーは、戦争中、疎開先で出会った女の子ふたりが大人になって再会してその後義理の姉妹になり、っていう、昭和を生きた女性の話、大河小説みたいな感じで。
    主人公の佐織が、ちょうどわたしの母親くらい、今七十代後半くらいの年代で、その世代が生きてきた時代がよくわかって、昭和に起きたあれこれはもちろんわたしも懐かしいような気持ちで読んだ。
    でも、疎開先でのいじめの話も暗い気分になったし、まあ、長い年月の話だからだんだん人が死んでいくのは当然なんだけれども……。主人公の親、義理の親が死んでいき、主人公も子どもたちが巣立ち、夫が死に、って、なんだか人生っていうのは、だれがなにをしてどう生きても、結局はひとりになって病気になって死ぬんだな、って思って気が沈んでしまったみたいで……。

    佐織は、自分でいろいろなことを選ばず決断せず、流されるままに人まかせに生きてきて、人生無意味だった、みたいなことを感じるんだけど、でも、じゃあ、どうすればよかったの?、普通に生きてきただけなのにそれじゃいけないの?とかわたしは思ってしまい……。

    彼女の夫が言っていた、「何者かになれる人間なんてほとんどいない、何者かになれなくてもいいじゃないか」っていうような言葉が心に残った。

    ラストは、でも、佐織がそういう自分の生き方を少し納得する、といった感じがして、ちょっとほっとした。

  • この話は戦時中疎開先が一緒だった女性二人がメインキャラです。
    一人は保守的なタイプ。親に勧められるままお見合いをし、デートを何度かしているお見合い相手に「自分と結婚することを考えているのか?」すら聞くことができないタイプ。
    今時そんな人はいないでしょうが、当時はめずらしくなかったのだとは思います。
    もう一人は先進的なタイプ。ふらふらしている夫にお店を持たせたりしながらも、料理研究家として自分のキャリアをばりばり築いていきます。
    この二人の違いは、自分の人生を意志をもって選択してきたかどうか、なんですねー。
    女性にそんな選択肢があるとは思わなかったという世代が戦前まであったというのも信じがたいですけど。

    私の母親はもろ後者なのですが、時々この母親ではない家に生まれていたらどうだったんだろう?と考えます。
    というのは、父方の兄弟に農家がいたのですが、子供が生まれなかった。
    だから後(土地?)を継がせるために、私を養子にもらえないかと聞かれたそうなのです。
    母親が「で、どうするの?とパパに聞いたら、養子にだすわけないだろうと言われて終わった」ということだったのですが、そもそも私はあの先進的だった母親ですら、父親にその質問をした(ということは決定権が父親にあった)ということが信じられなーい、と思ったんですよね。
    それで、時々、私がその家に養女として育てられていたら、そこでお婿さんをもらって、家を守る的人生を生きたのだろうか?と想像したりするわけです。
    アメリカになんてずえーったいいないだろうな、と。
    私は母親が語学含め好きなことをずっと追求して生涯学習をしてたから、海外に興味をもったわけですし。
    だから、人格とか生き方というのは、親にずいぶん影響されるのだろうとは思います。
    反面教師で、ということもあるでしょうけど。

  • 少女時代の1年ほどを疎開先で過ごし、戦後から高度成長期を経て昭和が終わり、そんな時代を主婦として過ごしてきた女性が主人公。
    ある日突然、疎開先で一緒だったという女性が現れ主人公の人生に深く関わることになる。結婚しても子どもを得るが子育てが自分の思うように行かず、それを彼女のせいだと考えてみたり、自分が自分としての人生を生きられていないように感じるのも彼女のせいだと思ったり。
    視野が狭く新しいことを受け入れることができないのはこの時代の女性に多いのだろうと思う。
    そして、側から見れば何不自由なく生活できているのに何か悶々として日々を過ごしてしまうのは世間を知らないあまりにも知らないからなのだと思う。
    こういう主婦、多いんじゃないかなぁ。

  • 実際の人間関係にも、人の生気を奪う人っているよね~と思いながら読み進めていった。風美子がいつ復讐の刃を向けるのかと少し怖がりながら、少し期待しながら読んだが、何もなかったのが驚いた。そういう意味でも風美子はただ人の生気を吸い取るだけの女だったようだ。

全4件中 1 - 4件を表示

角田光代の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

笹の舟で海をわたるはこんな電子書籍です

外部サイトの商品情報・レビュー

笹の舟で海をわたるの文庫

笹の舟で海をわたるのオンデマンド (ペーパーバック)

笹の舟で海をわたるの単行本

ツイートする