AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書) [Kindle]

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  • 創造性とは。AIの登場によって、創造性の定義も変わりつつある。

  •  昨日読んだ『人工知能は人間を超えるか』(松尾豊)の類書。AI――人工知能の概説書である。
     面白いのは、2つの本が同じテーマを扱い、同時期に刊行されたにもかかわらず、内容が別物になっているところ。人工知能の歴史を振り返った部分などに一部重複もあるが、紹介されるエピソードなどはほとんど重なっていないのだ。

     松尾豊の本が研究者目線であるのに対し、本書はジャーナリスティックな目線から書かれているという、アプローチの違いによるものだろう。著者の小林はKDDI総研リサーチフェロー/情報セキュリティ大学院大学准教授だが、雑誌記者、新聞記者の経験もある人だから。

     著者は私見を排し、データやエピソードを集めて「事実をして語らしむ」やり方で、中立・客観的視点からAIの「いま」と「これから」に迫っていく。膨大な事実を整理する手際が鮮やかで、じつによくまとまっている。

     本書と『人工知能は人間を超えるか』を併読することで、AIについてバランスのとれた鳥瞰図が得られるだろう。

     とくに面白かったのは、最後の第4章「人間の存在価値が問われる時代」。
     従来、「単純作業は機械のほうが得意でも、創造的な仕事は人間にしかできない」と考えられてきたが、AIの急速な進歩でその点もあやしくなってきた。
     バッハそっくりの曲を短時間で大量に作れるコンピュータ・プログラムが登場するなど、AIがある種の創造性を発揮するようになってきたのだ。この傾向が今後どんどん強まっていくとしたら、そもそも「創造性」とは何か? そして、人間の存在価値とは? ……という問題提起がなされる章で、知的興奮に富む。

  • AIが辿ってきたこれまでの経緯、これからの道筋をなんとなく想像して読み進めた。雇用を奪うのは間違いないであろうが、それはそれとして前向きでポジティブなものであろうと僕も思う。

  • 自律的兵器は、軍関係者からはFire and Forgetと呼ばれている。自律的兵器には最新鋭のAIが搭載されている。しかしこのAIははたして、どのような仕組み、あるいは原理原則に基づいてターゲットを特定し、これうぃお攻撃するのかは不明。
    自動運転車のAIはいろいろな仕事をこなさねばならないが、特に重要なのは車が自分の現在地を知るための位置確認と周囲の歩行者、障害物、あるいは脇を走る別の車など、様々な移動体の場所を把握すること。
    DARPAは2013年から災害対策ロボットの開発プロジェクトDRCをやっている。DRCの目的は原子力発電所の事故現場のような危険な場所で人に代わって普及解体作業などをこなすこと。DARPAがこうした自律的ロボットの開発を目指しているのは福島の教訓に基づいている。

  • もうひとつアマゾンでよく売れていた人工知能に関する本と併読。特に目新しい内容はなかったと記憶している。

  • インダストリー4.0によって仕事を失う労働者が出ることは避けられない

    現在、自分の業務で人を介在させない自動化が進行中です。自分自身も不要になるかもしれません。そんな中、自動化は難しい仕事とは何か、考えさせられます。業務最適化、クレームワーディング、期限管理。どれも機械で出来そうです。

    人の力が必要なのは発明創生くらいでしょうか。ただこれも、知財屋にとっては関与しているのは発明の拡充でしかなく、発明の創生そのものではないので、トリーズみたいにシステマチックに出来るのであれば、いずれ機械に取って代わられるかもしれません。

    当面は、機械に負けない仕事とは何かを考えながらの仕事になりそうです。

  • AI関連の初めの1冊としておすすめ

    3章のGoogle脅威論のところは、他書でもよくみられるのでちょっとですが、1章の現状や4章の今後などは参考になる。

  • 如何にAIに負けないかより如何にAIと協働するか

  • 機械学習、ベイズ理論等々触れながら概略を提示。内容は示唆に富んでいる。入門書として最適だと思う。

  • 「つまりシステムが消化する音声や画像などのデータ量が増すほど、それらの認識精度が天井知らずに上がっていくのです。」

    人工知能について書かれた本。コンピューターは数値計算を得意とする。機械学習により、言葉の聞き分けや写真の見分けという人間の活動を、数値計算へ置き換える。ディープラーニングにより、コンピューター自身が莫大なデータから本質を見つける。

    将来、人工知能が農作業の合間に将棋をしている人間に対して、なぜそのようなつまらないゲームをしているのかと問う逸話が挿入されている。それに対して、「そうかもしれないね。でも、君たちは、そんな頭の悪い我々が生み出したものなんだよ」と答える。これはおかしいのではないか。この逸話では、人間の知能は同じだという前提が存在してる。しかし、彼らが人工知能を作りだすほどの知能があるとは思えない。それなのに人工知能を開発したような物言いは実績の窃盗にあたるのではないか。新しい技術は一部の優秀な人々によってなされる。いずれ、人工知能を含んだ階級が生まれるだろう。ピラミッドの上位に、人間、中位に人工知能、下位に人間。もちろん、最終的にその頂点は人工知能に奪われるかもしれない。しかし、その時には、人工知能が人工知能を開発しているだろう。

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著者プロフィール

1963年群馬県生まれ。KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授。専門はITやライフ・サイエンスなど先端技術の動向調査。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院理学系研究科を修了後、雑誌記者などを経てボストン大学に留学、マスコミ論を専攻。ニューヨークで新聞社勤務、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所などで教鞭をとった後、現職。著書に『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃』『仕事の未来 「ジョブ・オートメーション」の罠と「ギグ・エコノミー」の現実』(以上、講談社現代新書)、『ブレインテックの衝撃 脳×テクノロジーの最前線』(祥伝社新書)、『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるか』(中公新書ラクレ)など多数。

「2022年 『ゼロからわかる量子コンピュータ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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