真夜中の五分前 [DVD]

監督 : 行定勲 
出演 : 三浦春馬  リウ・シーシー(劉詩詩)  チャン・シャオチュアン(張孝全) 
  • アミューズソフト
3.54
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4527427659063

感想・レビュー・書評

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  • WOWOWで録画して観ました。静かに、静かに。カチカチ、カチカチ。カチカチ、カチカチ。時計の針が進んでいく。ルオラン、ルーメイ、そして三浦春馬くん演じる良の時間が、カチカチ、カチカチ。とても美しい映画だったなあ。生き残ったのがルーメイだったのか?ルオランなのか?二人が本当の意味で一心同体になってしまったような、ラスト。

  • 2014年 日本 129分
    監督:行定勲
    原作:本多孝好『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow(side-A・side-B)』
    出演:三浦春馬/リウ・シーシー/チャン・シャオチュアン
    https://web.archive.org/web/20150430142433/http://mayonaka5.jp/

    上海の時計店で修理工として働く日本人の良(三浦春馬)は、ある日プールでルオラン(リウ・シーシー)の泳ぎに見惚れてしまう。ルオランも良に興味を持ち接近、あるプレゼント選びにつきあってほしいと言う。良は古い時計を贈り物に選ぶ。後日ルオランに呼び出された良は、彼女にそっくりな双子の妹ルーメイ(リウ・シーシー二役)を引き会わされ驚く。プレゼントはルーメイの結婚祝いで、二人は双子ゆえ知らず同じものを買ってしまうことがあるので、あえて赤の他人の良にプレゼント選びを頼んだのだった。モデルと女優をしている華やかなルーメイの婚約者は映画プロデューサーのティエルン(チャン・シャオチュアン)で、4人は交流を重ねるが…。

    原作は未読。春馬くんが見たくて見た。原作は日本が舞台で登場人物全員日本人のようだが、映画は舞台が上海なことでセピアがかった映像や光線の揺らぎなども含めファンタスティックな仕上がり。映像的には舞台を移して正解だったかも。良の中国語はたどたどしく、時折英語も交えての会話、これも、恋人のすべてを理解できていないかも、という彼の立場と双子のミステリアスさを強調できていて良かったと思う。

    前半は、良とルオランのラブストーリー。顔はそっくりなのに、華やかで自信に満ち溢れた女優の妹ルーメイと、清楚で内省的なフリーライターの姉ルオランの性格は対照的。しかし二人は同じものを買ったり同じものを好きになる。ルオランは、先に女優をめざしたのも、先にティエルンと出会ったのも自分だったのに、すべて妹に奪われた、と良に打ち明ける。幼い頃、ガラスを割ったあと、服をとりかえようとルーメイに提案され、叱られたのはルオランのほうであったこと、ブランコでルーメイに背中を押されて落ち、怪我をしたことなどをルオランは話す。ただ彼女は、ルーメイも同じことを(怪我をしたのは自分だと)言うことも話す。二人は入れ替わって遊んだりするうちに、どちらが自分かわからなくなっているのかもと。二人の決定的な違いは、ルオランは泳げるがルーメイはカナヅチであることだけ。

    良にはかつて恋人がいたが、亡くなってしまった。その恋人がいつも時計を5分遅らせていたことで、今も良は5分遅れの世界を生きている。異国で孤独に暮らす良と、複雑な内面を抱えたルオランはやがて惹かれあい恋人同志に。ある日映画館で待ち合わせし、良が飲物を買いにいっている間にルオランはルーメイと間違われファンに取り囲まれてしまう。彼女を救いだしたのはティエルン。ティエルンもまた彼女をルーメイと間違えており、婚約者としてふるまい、ワンピースをプレゼントする。ルオランは戸惑いながらも否定せず、ルーメイになりすます。後から振り返ると、このとき彼女の中で何かのスイッチが入ってしまったのだろう。

    ルオランは唐突に、ルーメイと二人でモーリシャス旅行に出かける。ところがその旅先で水難事故が起こり、双子の片方は亡くなってしまう。生き残った一人の病院へかけつけた良とティエルン、目覚めた彼女は、ティエルンの手を取った。亡くなったのはルオランで、生き残ったのがルーメイだった。

    1年後、良はずっと会っていなかったティエルンからの電話を受ける。彼はなんと、生き残ったのは本当はルーメイになりすましているルオランではないかと疑うようになっていた。そしてそれを良にも確認してほしいと言うが…。ここからは急に、双子ミステリーに。姉妹はあまりにも似ている上、仲が良く互いの私生活も話し合っている。ティエルンはどれほどルーメイが二人しか知らないエピソードを話してももはや信じられない。ときおり奇妙な食い違いがあるのも事実。

    観客としてはうがった見方だけど、ルオランがルーメイになりすましているのでなければドラマにならないと思ってしまうので、もちろん彼女は本当はルオランなんだろうなと思う。案の定、彼女に会った良は、最初の選んだプレゼントの時計の時間が5分遅れたままになっていることに気づき、彼女はルオランだと確信する。だが、ルーメイになりすますことを選んだのはルオラン自身。良にとってはそれは、彼女がティエルンを選んだということでもある。良はティエルンに、彼女はルーメイだと話す。

    しかしティエルンはもはや彼女を信じず、二人は離婚。ルーメイ=ルオランは、良の時計店にやってくる。おそらく彼女自身も、意図的に嘘をついているというより、自分が誰なのか自分でも混乱してしまっている。プールで泳ごうとして溺れ、やっぱり自分はルーメイだった、と安心する場面もあるが、自己暗示ぽいなと思った。良は優しいので「君は本当はルオランだろう」とはけして言わない。別人になりすます形で自分を捨てた彼女に恨み言も言わず、ただじっと見守っている。

    ある朝、彼女が姿を消す。ルーメイ=ルオランは、事故のあったモーリシャスの教会へ赴き、そこにルオランの遺品として置かれている腕時計(5分遅れの)と、ルーメイとして身に着けていたロザリオを取り換える。彼女はルオランに戻り生きることを選んだのだった…。

    原作の構成としては、一時期流行った『イニシエーションラブ』みたいなA面とB面で見え方が違う系なのかな。映画は「どんでん返し」というよりは、ルオランの内面の葛藤に焦点を絞ってあったような印象。リウ・シーシーは、石田ゆり子と黒木華を足して割ったような顔立ちで親近感が沸く可愛さ。内省的で誠実な役柄の春馬くんは、とても良かった。時計屋のおじいさんがいつも読んでるのがペソアの詩集なところも良かったな。

  • 上海で時計修理工として働く良はスイミングプールで出会ったルオランに双子の妹ルーメイへのプレゼントを選ぶのを手伝うよう頼まれる。良は双子の複雑な関係に気づくものの姉のルオランに惹かれる。双子が旅先で事故に巻き込まれルオランが亡くなる。1年後、ルーメイの夫から生き残ったのはルーメイではなくルオランではないか確かめてくれと依頼を受ける。
    美しい絵画のような静かな映画。生き残ったのは姉か妹か、その謎が解けないので最後まで目が離せない。私は生き残ったのは妹だと思うけど、人の数だけ解釈が分かれるので、きっと正解はないんだろうな。
    三浦春馬も相手役の女優さんも、上海の街並みや時計屋、スイミングプール、どこを切り取っても美しい。

  • 本多孝好さんの原作が行定監督によって映画化されていたのを知らなかった。
    原作を読んだのが6年前ですっかり内容を忘れてしまっていたので、原作に引っ張られず楽しめた。
    自分が愛した女性は、実はどんな人で、自分は彼女の何を見て、何を愛していたのか、愛を考える作品。

    前半は上海で時計修理工をする良と双子の美人姉ルオランの出会いがゆっくりと描かれていて、あまりに穏やかで、もどかしいくらい。2人の優しい表情や会話、時の流れが美しい。

    良がルオランの妹で女優のルーメイと出会い、ルオランと親しくなっていくうちに、ルオランが心に抱えた闇を知ってしまうあたりからは目が離せない。
    良は時計を5分進めておく習慣があり、それを知っていたルオラン。泳げないルーメイ、頭に幼い頃の傷があるのはルオランなのか、ルーメイなのか。両親は何を感じているのか。
    結局、生き残った彼女がルオランだったのか、ルーメイだったのか、その答えは明かされない。
    それが、この作品のチャレンジであり、面白さでもあるのだろう。

    全編、上海撮影、中国語オンリーということも知らずに見たので驚いた。
    三浦春馬さん、日本人1人で、中国語のセリフ、とても努力されたんだろうと思う。
    寡黙で穏やかな青年・良は三浦さんの雰囲気にとてもはまっていて、繊細な表情、ゆっくり落ち着いた声がとても美しかった。

  • 難しいけど何かと、、、面白い

  • 上海で時計修理工として働くリョウ(三浦春馬)は、プールで見掛けた清楚(せいそ)な雰囲気漂うルオラン(リウ・シーシー)と出会う。リョウは知り合ったばかりの彼女に、ティエルン(チャン・シャオチュアン)と婚約中の一卵性双生児の妹ルーメイ(リウ・シーシー)への結婚プレゼントを選んでほしいと頼まれる。そのことをきっかけに二人は親しくなっていくが…。

    上海の町並み、アンティークの時計屋、ネオンや逆光を使った長回しの映像が芸術的。時折挟まれる音楽もセンスを感じさせます。
    ただ、ストーリーは途中からミステリー的展開が盛り込まれているせいでリョウとの恋愛や姉妹の葛藤の描写が疎かになっていますし、そのミステリーに関しても、ルオランなのかルーメイなのか判断を観客に投げかけているもののこれと言った伏線がないので消化不良。ラブストーリーとしてもミステリーとしても中途半端に感じてしまいます。

  • 雰囲気が好き。この季節に観るに相応しい雰囲気。

  • 邦画全体に言えることだけど、画面が暗い。美男美女は観ていて楽しい。

  • わかるわからないじゃなくて、雰囲気が好きだな。

  •  三浦春馬主演。リウシーシーが美しい。会話は中国語がメイン。でも相当簡単な単語だけで、会話も最低限ということで、さすがに字幕がなくても問題ない。
     時計職人の主人公良に、ある日女性が贈り物を探してくれと頼んでくる。彼女はルーメイ、そして双子のルオラン。
     「時計は、人に贈らないものよ」と言われて、何を言っているんだ?という顔をする。この辺は、中国ならでは。優しく語りかける彼女の話し方は、台湾系の魅力的なところ。上海が舞台だけど、喧騒と幻想的な夜の上海。異世界にいるなという感覚。
     内容としては、中国の金持ちと言えば、ゴルフ。そんな感じの違和感をうまく押し出している。三浦春馬が全てではないが、中国人が日本人に対する印象の一つは、こうした映画から生まれている。寡黙で、雰囲気を身にまとう。言葉だけでなく、気持ちを伝えることができる。不思議なくらい感傷的な中国。この感覚は住んでみないとわからないだろうけど。
     この映画の面白さは、本多孝好の原作にある。真夜中の五分前。時計職人。この時間のズレがキーになる。モーリシャスに旅行中に事故があり、生き残って帰って来たのは姉か妹か。渡した時計の針は、今を指している。

  • ペソアの詩が印象的な形で使われています。
    三浦春馬の北京語も素晴らしい。

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著者プロフィール

1968年熊本県熊本市生まれ。映画監督。演出家。2000年『ひまわり』で第5回釜山国際映画祭国際批評家連盟賞受賞。『GO』で第25回日本アカデミー賞作品賞・最優秀監督賞を始め数々の映画賞を総なめにし脚光を浴びる。04年『世界の中心で、愛をさけぶ』が観客動員数620万人を記録。10年『パレード』は第60回ベルリン国際映画祭パノラマ部門国際批評家連盟賞を受賞。16年には『ブエノスアイレス午前零時』『タンゴ・冬の終わり』の演出において第18回千田是也賞を受賞。

「2017年 『きょうも映画作りはつづく 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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