- Amazon.co.jp ・電子書籍 (318ページ)
感想・レビュー・書評
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中国論は沢山あるが、色眼鏡が多すぎる。
その中で橘玲のこの本は冷静客観的な書きぶりで信頼できるように思える。
中国は外から見ると一枚岩で大きいが、内実はわかりにくいが、中の競争は激しく、脱法行為は日常なのたろう。
それの証が鬼城という廃墟の山ではないか。 -
中国を理解する為に非常に役に立つ本でした。
日本とは全く異質な世界が広がっている事が分かりました。
読み終えると、欧米人の方が、中国人より理解しやすいとも感じました。
↓↓↓
・中国の社会には 「信用 」という資源が枯渇している
・中国には 、人間があまりにも多い
・経済学的にいえば 、人権とは 「人間の価格 」が高くなること
・広い国土と多すぎる人口を背景に 、中国では郷党と宗族の人的ネットワ ークに頼って寄る辺ない社会を生き抜いていくライフスタイルが確立
・日本では 「場所 (土地 ) 」が最初にあって 、そこでひとびとが協調して生きていく方法が追求された
・広大な中国では移動 (流浪 )が避けられないから 、場所を基準とした社会秩序は意味がない
・日本の場合 、安心は組織 (共同体 )によって提供される
・中国では、安心は自己人の 「グワンシ 」によってもたらされる 。
・中国では 、歴史的 ・文化的な要因から 、社会的な資源としての 「信頼 =絆 」が常に不足
・そこでひとびとが頼ったのが 、宗族や秘密結社という 「想像の共同体 」
・中国人は 、会社をたんなる通過点と考える 。だから企業経営者は自分を学校の校長だと考え 、優秀な 〝生徒 〟を卒業させていく 。
・中国では各地方があたかも独立した一企業のごとく活動している 。地方政府自らが投資を促し 、銀行に融資を強要し 、株を保有する 。
・中国企業の行動も 、人口 (企業数 )が極端に多く競争がきわめて激しい
・過酷なビジネス環境では将来を安定的に予測できないから長期計画は意味がなく 、目の前にあるビジネスチャンスをいますぐ活かせるかどうかで勝負が決まる
・そこでの最適戦略は研究開発によってオリジナリティを追求することではなく 、成功しているビジネスモデルをそのままコピ ーし 、法やル ールを無視しても商品やサ ービスの価格を下げてライバルを駆逐すること -
確たる取材や証拠に基づいていない筆者個人の体験と感想による主張である。しかし、はたから見ればよく分からない意思決定をしているようにみえる、中国の動向をうまく説明できている。
読みながらソ連末期のエピソードを思い出した。米国高官がソ連軍士官向けの講演で「米国のようにソ連も予算を公開してくれたら分析する手間が省けてうれしい」とジョークを飛ばしたところ、ソ連側から「自分たちにもわからないから」と返された話である。
外部からみれば全く不合理で恐怖すら感じる組織において、実は内部の人たちもその矛盾を認識し不合理に思いつつ、かといってそれを変えることは自らの体制の崩壊を意味するため、なんとかバランスをとっているのかもしれない。 -
長いって前書きに書いてあったけど、本当に長かった。
色々と大事なことが書いてあったけど、
①国、特に中国のように人口の多い国について考える際に丁寧さを失うといい事ないよ。
②侵略戦争を仕掛けた国に生まれた身として、仕掛けられた国に生まれた人にどう関わっていくか
と言う2点については良い発想を得られた気がする。
①はカルチャーの違いや、異常に人口が多いために、日本では考えられない色々な制限や、現象が起こっている事を想像する必要がある事
②は個人と国を分けて考える必要がある事 -
引用だらけではあるが、たしかにフラットに中国を見ているし、私もかなりこの意見に近い。
反日の問題について少々。
私は右巻きではあるが、中国も韓国も結構好きである笑
こういうことを言える人がもっと増えれば建設的な議論が隣国とできると思う。
色々なのをみていると双方感情的になっていってもうしっちゃかめっちゃかという印象。
案外日本政府が一番冷静なのかもしれない、と思う。 -
【学んだこと】
・関係 グワンシ
・結社
・中国と日本の人々は互いに似ている、同じような考えをしていると誤認識している。実際にはかなり異なる考え方をしている。
・中国の問題は、制度的に管理可能な限界を大きく超えて人口が多すぎることにある。 -
筆者が「中国旅ノート」と呼んでいる通り、旅の下調べとして中国の歴史や近代政治を掘り下げた本。
人口が多く国土が広い、という特徴を持つ中国を統治するためには、官僚による中央集権的な組織と、ローカルな「地元の大物」の二重の統治構造が不可欠。しかし「地元大物」組織が私腹を肥やしていく中で、一般大衆は疲弊し統治が破たんする。悲劇的な規模の人口減少を伴う政治混乱により新しい政権が誕生する。
共産党統治においても、元来、北京の意向を地方レベルではあまり尊重していない。経済運営のみならず、軍隊や外交についても地方政府は北京のいうことを聞いていないケースもある。共産党が独裁体制をつづけるためには、地方政府の暴走や汚職腐敗を撲滅しないと民衆が叛旗をひるがえることになってしまう。そこで共産党がとりうるのは、中央政府にたてつく民主化運動は抑圧しつつ、地方政治レベルでは民主化をすすめることであるとしている。
中国人コミュニティは、人間関係の基礎が「自己人」と「外人」に二分割されており、いわば身内である自己人コミュニティの相手に対しては誠意をつくす一方で、関係(グワンシ)の外側の人間とは、裏切られることが当たりまえ、という前提でつきあっていくという。
そのほかにも面白いメモが沢山あるが、後半は冗長だった。 -
何かの拍子に買って積読してあったんだけど、読み始めは、ん? 鬼城? という感じだったが、中国を知るという点では、非常に面白かった。
これは、必読だ。