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感想・レビュー・書評
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清らかな恋ってなんなのさ、セックスの存在する愛の幸福を、ありふれた、格下のものだと考えるその思考は、むしろ傲慢なんじゃねぇの?
アリサはいったいどの程度まで聖書をじっくり読みこんで理解していたのだろうねぇ。
産めよ地に増えよ、から始まった純粋で喜ばしい神の祝福をどうしてこうも捻じ曲げてしまうのか
幸福になってはいけないとか、どうしてそこまで突き詰めるのか
現代の正統派プロテスタント教会に属する私としては
毎週牧師の説教を何年も聞いている私としては
首をかしげざるを得ないわけよ。
で、思ったのね。
ジッドはさ(昔はジイドといったような)
聖書が完全に同性愛を禁止していることをも熟知しつつ
同性愛者(というか現代でいうところのバイにも片足突っ込んでて)だったわけでさ、
逆になぜ同性愛がダメだったかというと、これは断然聖書に書かれているから世の中が許さなかったわけでさ、
ジッドにとってはごくナチュラルなそれがキリスト教によって残酷にも糾弾されている現実を(発覚したら逮捕されるのもありだからさ)恨んでいる節があってさ
だから主人公のアリサの生き方をあんなふうに「狭き門から入るための残酷」にさらしたのじゃないか、
なんてね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
◇ジッドの代表作の一つ。自伝的物語。
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・著者の「ソビエト旅行記」が面白かったのでこの本を読んだが、読むのはちょっときつかった。
・最後の方でアリサの日記が出てきて、ジッドは女の人の考えが良く分かっているようだと感心したが、解説を読んだところでは(アリサのモデルになった)ジッドの奥さんの日記を元ネタに使ったらしい。それはちょっとひどいと思った。
・解説によるとアリサの信仰は本当の信仰ではなくニヒリズムであるという。なるほどと思った。
・主人公もちょっとひどい。アリサが自分に依存させるようにしていた。(ジッドも奥さんに似たようなことをしていたらしい。。。 -
父を亡くし、母と伯父のもとで夏休みを過ごすことになった11歳のジェローム。ある出来事を機に、2つ年上の従姉アリサに惹かれていく。互いに好意を抱き、周囲も認める中になったものの、アリサが突然ジェロームを避けるようになり……。
高校生の頃、何度も読み返した物語を新訳で再読。互いに思いを寄せながら、すれ違っていく2人。愛と信仰のはざまで、揺れ動く思い。信仰心に関しては今も理解できたとは言い難いけれど、大切な人の幸せを思うゆえのアリサの選択には胸が痛む。
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人間というのはとても複雑なものであるというのを教えてくれた本である。2019.3.16