西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書) [Kindle]

著者 :
  • 筑摩書房
3.93
  • (16)
  • (27)
  • (13)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 424
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (299ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • とてもわかりやすくまとまっていて、中学高校の歴史を学ぶ時にこの観点を知ってたらさらに楽しかっただろうなぁ、でもこの世界を知ってたらその方面の進路を目指して沼ってたかもしれない、などと思った。もう大人なので推薦文献を少しずつ読みながら楽しもう。モネの絵画の見方を試したい。美術館に行くのが楽しみになった。

  • 歴史の教科書チックな内容

  • 初心者にも美術の楽しみ方を分かりやすく解説されていました。
    美術品そのものだけでなく、その美術品が作られた背景、人気を集めた理由を知るとより楽しめることがわかりました。

    宗教に関しての基礎知識を身につけてから読めば、さらに理解が進むと思います。

  • 識字率が低かった時代には絵画が情報伝達ための貴重な手段だった。入門書というだけあり既に知っていることを確認する部分も多かったが、人々の識字率が向上した現在、美術作品が今後どんな役割を担っていくか、美術に親しむ意義は何かという問いかけが示唆に富む。

  • てっきり美術の歴史についての本だと思いこんで購入したが、実際は「美術作品を通して見る歴史」の本であった。美術作品が歴史の証人になる、というのは今までにない発想だったので、自分にとって新しい発想を面白く感じた。

  • 芸術が「趣味」として成立しているのは近代になってからなので、絵画や他の美術品は必ず誰かが作るように芸術家に依頼したものだ。だからそれらの作品には当時の社会的な存在理由が必ずある。また、識字率が低かった時代では、絵画はメディアとしての役割も果たしていた。
    こういったことが具体例も交えて簡潔にわかりやすく書かれていて興味をそそりながら読めた。

    たまに行く美術館ではオランダの絵画を厳選して展示しているコーナーがあり、いつも「なぜオランダ?」と思っていたのだけれど、その疑問も解決して嬉しい。
    大航海時代の後半に台頭したオランダは、次第に商人たちが富と権力を手にするようになっていき、絵画もそれに合わせて家に飾れるようなサイズ、内容(風景画や風俗画)になっていた。独自の技術や手法なども発達していった。

    西洋においてのざっくりとした時代による変化なども知れたので、次に美術館に行くのが楽しみになった。もっと背景や図像学についても知りたくなった。

  • キャンバス画は繊維産業が盛んだったヴェネツィアで始まった、とか、買う人の要望によって絵のモチーフは変わる、と言ったことから、その時の体制や風俗まで読み解ける、というのが面白かった。

  • ○結果的に、昔の芸術作品はわからないことだらけです。失われて久しいコードを再び手にしないと、絵を〝読む〟ことはできないわけですから、いろいろと調べてコードを再発掘する作業が不可欠です。この再発掘作業のことを「図像学(イコノグラフィー)」と呼びます。
    ○ディスクリプションとは、絵を文章で説明する作業であり、言い換えれば視覚情報を言語情報に直すことです。
    ○〝いつ、誰が、どこで、どのように(どのような素材と技法で、など)〟について調べる段階はこの学問に不可欠なものです。
    ○識字率が上がってきたからこそ、プロテスタントは偶像崇拝の禁止を主張できるだけの条件が 揃ったと言えるでしょう。
    ○対抗宗教改革後のカトリック教会が、美術に〝感情移入のしやすさ〟を求めていた
    ○必要性が無いかぎり絵が描かれることはない──これが原則
    ○十九世紀の画壇で人気を二分していたアングルとドラクロワも、オダリスク(ハーレムにいる女性)やトルコ風の浴室といったオリエンタリズムのモチーフをたびたび描いており、ドラクロワにいたっては、国の外交使節団の一員として自らイスラム圏を旅しているほど
    ○画家は常に美しく描きたいと考え、注文する側は必要とする絵を求めてきました。「技法」と「主題」という美術作品のふたつの側面は、まさに画家と注文者との関係性によって作られたもの
    ○純粋に趣味的な創作活動が登場する近代以前には、すべての芸術作品に、それを創る人とそれを買う人がいるという事実です。
    ○趣味的な創作活動はごくごく〝近代的な行為〟にすぎず、ほとんどすべての芸術作品はパトロンがあってこそ生まれたと言うことができます。
    ○今日では、大きな展覧会で発表するのと、ほとんど変わらないか上回るほどの影響力を、ユーチューブなどの投稿サイトが持つようになっています。
    ○誰もがネットなどに自由に投稿できる時代にあっては、芸術家の「プロ」と「アマ」の区別が失われていくという点です。プロフェッショナルである必要があるのか、そもそもプロの芸術家とは何者か。お金を稼ぐかどうかだけの差なのか──。

  • とても面白く読んだ。その絵画がなぜ描かれたのか、どうしてその技法が採られたのか。社会的、精神的背景からやさしく解説していく。これは初心者向けなので、もう一歩進めて、詳しい解説を読みたくなった。後半に参考図書が挙げられているのもGOOD。Kindleで読むとせっかく例示された絵画がつぶれて見づらいのでご注意を。

  • とくさんのツイートで知って、他の方もお勧めされていたので。まだ全然見れてないけど。

全22件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

池上 英洋(いけがみ・ひでひろ):1967年、広島県生まれ。東京藝術大学卒業、同大学院修士課程修了。現在、東京造形大学教授。専門はイタリアンルネサンスを中心とする西洋美術史、文化史。『レオナルド・ダ・ヴィンチ―生涯と芸術のすべて』(筑摩書房)で第4回フォスコ・マライーニ賞を受賞、2007年に開催された「レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像」では日本側の監修者となった。『錬金術の歴史』(創元社)、『「失われた名画」の展覧会』(大和書房)、『西洋美術史入門』、『西洋美術史入門〈実践編〉』、『死と復活――「狂気の母」の図像から読むキリスト教』(筑摩書房)、『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(東京堂出版)など著書多数。


「2024年 『パリ 華の都の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池上英洋の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×