六番目の小夜子(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 恩田陸さんの、デビュー作。
    地方の公立高校を舞台にした不思議でちょっと怖い話。
    高校生活の陽と陰を交互に描きながら、物語は進む。私自身が経験した高校生活と似たようなイベントもあり、記憶と物語をシンクロさせながら、読んだ。
    岡田幸四郎さんの解説を読むと、「おおー、そんなことまで考えられていたのか!」ということばかりで、作品の深さに二度三度驚く。
    デビュー作ということで、もしかしたら最後まで読み切ることはないかも、と少しだけ考えていた自分を恥じる。幅広い恩田作品がどんどん展開していくことになる原点。

  • 学校に伝説として伝わる「サヨコ」をめぐる学生たちの青春の話です。とても読みやすく最後まで一気に読めます。そして読んでいる最中、忘れていたあの学生の頃の気持ち、大人になってからは味わえない感覚を思い出せてとても嬉しかったと共に、読後に現在の自分の気持ちとの違いを思い知り「ああ、私も大人(中年)になったなあ」としみじみ噛み締めるという体験ができました(笑)読んでよかった!今となっては不可能ですが、まさに高校生の時にこの本を読んでいたらどう感じたのかな、と気になります。

  • 1992年の著者のデビュー作。奇妙なゲームが引き継がれる進学校に転校してきた美少女沙世子。以後彼女の周りでは奇怪な出来事が。幾つかのそれも大きな謎が謎のまま取り残され読後は何とも言えない気分に。けれども再読すれば目の前には全く異なる光景が広がるような気が。

  • が謎を呼ぶ感じ。読み始めてしばらくは、ざわざわと不気味な感じがまとわりついて離れなかった。ラストのインパクトが少し弱いかな…。

  • 著者のデビュー作でありファンタジーもしくはホラーな衝撃的な学園物。ある進学校で語り継がれている三年に一度の伝説の小夜子の儀式。転校してきた津村沙世子、秋、由紀夫、雅子がその謎に関わり合う。教師の黒川と学園祭の実行委員設楽や儀式のマニュアルの存在が謎めく。クライマックスは学園祭での全校生徒による「六番目の小夜子」の芝居での場面。恐怖と緊張に苛まれながら読んだ。そして、黒川が教師と生徒の関係をコマの回転に例える教えに共感した。最後は由紀夫と雅子、秋と沙世子の爽やかな着地が見えて良かった。

  • 学校で密かに行われる行事「小夜子」
    誰が何のために始めたのか、誰も知らない
    にもかかわらず、受け継がれる"鍵"

    高校生活最後の年
    その初日
    花瓶に生けられた真っ赤なバラが教卓に置かれる
    それは小夜子が現れた合図
    そして転校生がやって来る
    誰もが見惚れるほどの美少女
    名前は津村沙世子
    偶然?それとも彼女が今年のサヨコなの?

    高校最後の一大イベントである文化祭で
    全校生徒参加で演じることになった舞台が
    異常な緊張感と高揚感を生み、文字通りの嵐が起きる
    サヨコの正体とは?

    初版は1992年。恩田陸のデビュー作。
    彼女の描く学校は昭和のにおいが残る
    木造校舎、古い部室
    たまり場の喫茶店
    まだ携帯電話の無い時代
    家にかかってくる電話、母親の呼ぶ声
    教師が職員室で使っているワープロ

    だいぶ大人になってしまった今でも
    高校生の話が楽しめるかしら?
    なんて思いながら読み始めましたが
    そんな昭和のにおいのせいか
    すんなりタイムスリップできました。
    真っ暗な体育館で
    私も順番を待っている気持ちになれて
    ドキドキしました。
    突っ込みどころはいくつかあるけれど
    それを差し引いてもおもしろいと思える作品でした。

  • 文章の端々に出てくる「~かしらん?」に対する、あの言い様のないもどかしさよ。あと、「大人しく目立ちはしないものの実は地味に可愛い女の子」の設定が恩田陸先生はお好きだなあ。

  • 中学生のときかな?
    ドラマ観てたよ。
    内容は覚えてないけど、綺麗で怖かった記憶だけがある


    良いミステリー
    学園ものなのに、登場人物がそこまで多くなくて読みやすい。
    雅子が主役かと思いきや、秋が主役になるのね。
    不気味さと青春のバランスが素晴らしい

    劇のシーンが一番ドキドキした

    学校はコマのようなものだ

  • ドラマ版小夜子の栗山千明がぴったりで印象深い。
    最終的には謎が解明されると思っていたが、全くすっきりせず終わった。全校生徒のリレー式劇は迫力が伝わってきた。

  • ドラマは未見です。

    読みやすく、先が気になって一気に読み終えたのですが、未回収の謎がいくつかあり、モヤモヤ感は残る。ホラーともミステリーとも青春小説ともいえない、不思議な作品。

  • 不気味さと青春が程よいバランスで混ざっていて面白かった。ああゆう青春を送りたかったなあ。

    一方で最後まで読んでもよく分からないところも沢山でてきて、何となくもやもやする終わり方。
    黒い犬とか加藤くんの謎の病気を考えると、超常現象的なものはあったって事?

    あと、「~なのかしらん?」って語尾がたまに出てくるんだけどなんかイライラした。主人公達が受けるテストが共通一次らしいし、結構ノリが古いのかな?

  • オチがよくわからんくて風呂敷広げすぎでは?という感じはしたが、我々学生が死にものぐるいになって人生を賭けるような気持ちで戦っていた受験戦争は所詮学校という"容れ物"からしたら回り続けるコマのように毎年同じように行われているルーティンの一環にすぎないのであり、そこに都市伝説やら謎の転校生やら学校の七不思議やらさまざまな"異物"が入り込んでもなお回り続けるのは私たちが知らず知らずのうちにそのコマが止まらないように回し続けているからで… 去年受験生として戦争に揉まれていた身としては不思議な感覚だった 文章はとても好み

  • 恩田陸は好きな作家で、いつも通り文章は引き込まれるなぁと感じる。ミステリーというよりホラーな感じなのか、伏線回収的なところがなくて消化不良のある読後感でした。読み方が良くない?

  • なんと表現すべきか。実験性、という営みが生み出す豊かさ。

  • ホラー

  • 代々伝わる奇妙な伝説のある学校に、謎めいた転校生小夜子が転校してくる。小夜子と友人達の学園生活の日常を描きながら、奇妙な伝説の真相に迫っていく話です。
    ドラマで観たことが少しあったので、内容が気になり読んでみました。
    中々面白かったです。

  •  土曜の夕方にNHK教育テレビで放映されていたドラマを見たことがある。暇にあかせて見ていたので、全話を見たわけではない。話の中身がよくわからなかったが、栗山千明が印象的だった。彼女みたいために見ていた。
     ようやく話の流れがわかった。と同時にわけわからん。というか伏線が回収されていない。ファンタジーなのかミステリーなのか。消化不良。まあそれもよかろう。
     舞台は高校。受験戦争という言葉がマスコミで行き交った時代。今はどうなんだろう。受験は続いているが、また雰囲気が違うのだろうか。

  • ボリュームはそれほど多くなく、1日で読める。内容は正直いまひとつ。「それで?」という感じ。

  • 十数年ぶりに読み返してみた。自分が“受験生”だった頃を思い出させてくれたが、今となってはそれも懐かしさを感じる。だが、その時にはこんな風に何かを信じて、何かにすがっていないと耐えられない状態だったのだろうか。

  • ずっと気になっててやっと読んだ本。
    ミステリアスだけどなんだか爽やか。

    『サヨコ』とはいったい何だったのか
    黒幕的な存在は出てきたけど、それでも『サヨコ』の始まりとは時期が合わないからやっぱり謎が残ってしまう…
    秋VS小夜子のような関係なのに秋と小夜子がくっつくのを期待してしまったり

    ワクワクしながら読めた!

  • ひとつ疑っていることがある。

    この本は過去に読んだことがある。
    確実に一度は読んだ。
    記憶が正しければ二度。
    ひょっとしたら三度は読んでいる。
    ということは今回は四度目か。
    それなのに・・・
    読み進めてもストーリーを思い出さない。

    思い当たることがある。

    記憶違いで本当は読んでいないのか。
    テレビで映像化されたのを観て、
    本を読んだと勘違いしているのだろうか。
    でも黒髪の少女が振り返る象徴的な表紙は、
    確かにわが家の本棚にあった。

    そんなことがあっていいのか。

    いくらなんでも二度三度読んだ
    本の内容を忘れるなんてことがあるだろうか。
    本当にところどころ、
    既視感を覚えるところもなくはない。
    でも忘れるはずがない設定や、
    衝撃的なシーンにまったく見覚えがないのだ。

    まさか。

    代々伝えられる「サヨコ」の物語は、
    完全に定まったものではない。
    その生徒の数だけ、
    それぞれが異なる物語が持つという。

    もしかしたらこの本は、
    開けるたび内容を変えるのか。
    読む人、読む度に少しずつ大胆に姿を変え、
    新しい物語を生み続けるというのか。
    物語の渦に引き込まれる。

  • なるほど。

  • は??????の一言に尽きる。夜のピクニックを読んだ後だったから買ったけどサヨコって結局なに。だれ。教師が遊んでただけ?何やこのオチ。唯一よかったのは全校生徒の語りのシーンかな。なんかこっちにしたら母校は特別な存在だけど、学校はただの入れ物で、結局同じ教室の同じ席で別の誰かが同じようなことをしている。流れる歴史の一部分なんだなあと思いましたね。前から感じてたものを描いてくれてたところはよかった。あと夜のピクニックも小夜子もだけど男女4人もの多いな?そこからいろいろ発展させていくというか。

  • 記録

  • 高校生活。そして大学受験の年3年生。
    ごく普通の誰もが送る1ページ。
    著者は一見当たり前のこの「世界」を俯瞰し、この「世界」に少しだけ普通でない軸を通す。
    その事によってこの「世界」は陰影を濃くする。

    誰もが、この作品を鏡に自分の高校3年の一年間をもう一度振り返ることができるのではないでしょうか。

  • この作者さんは好きかそうでもないに分かれる。。。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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