アルジャーノンに花束を〔新版〕 [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • 再読。
    新版は日本の読者へのメッセージがありますね。あれは自己の感想に影響を与えてしまうので最後にもってきてほしいですね。

    陰と陽の通り道。一生を猛スピードで投影した物語。社会派小説。そして彼にはすばらしい先見の明があった。

    プラトンの国家の引用は読んでませんがその中の「洞窟の比喩」は
    この物語をより深めてくれそうです。
    簡潔な概要はコチラがわかりやすかったです↓
    https://zunolife.com/cave/#%e3%82%a4%e3%83%87%e3%82%a2%e8%ab%96%e3%81%ab%e5%bd%93%e3%81%a6%e3%81%af%e3%82%81%e3%82%8b%e3%81%a8
    終盤のシーン鏡映しにした世界の真理が過去のチャーリーと作られたチャーリーを通して読み手に語りかける。
    膳なる面との葛藤過程。

    人間の尊厳を保つものは知能でもないし
    知識や知能は目的ではなくただのツール。
    両方のチャーリーが満たされたものは「愛」だと思います。
    人は忘れてしまう生き物ですが、暖かい平和と調和のシンフォニーで満たしたいと心に留めておければと。

    彼は失ったものも多いけれど、平和を取り戻した。

    あと、
    あんな前(1959年)から薬物療法としての酵素の効果って研究されてたんですね。

    ◆経過報告:
     34年前私は何に衝撃を受け、この作品を未だ大切に思うのか。事細かく記しておけば良かったと思います。
     中坊の思春期、最も惹かれた要因はおそらく続くキイス作品においても自己投影からの「反省・同情」だったのではと思います。
    その面では教養として良い本。
     今読むと家を出たあとは、彼は幸せな一生を送ったのだと少なからず思います。

     私らも老いていずれは本も読めなくなるのだなぁ。

     

  • 最初から最後まで、それこそ経過報告を読む第三者視点 で割と冷静に読み進めていたのだが、最後の10ページで涙がボロボロ出てきて止まらなくなってしまった。
    悲しいのか感動なのか哀れみなのか、一回読んだだけでは咀嚼しきれていないんだと思う。10年後読み返したらまた違った感想になるのかな。

    この本を勧めてくれた方に感謝します。


    手術前のチャーリィが書く稚拙な「けえかほおこく」から、小難しい専門用語を用いた「経過報告」へと変わっていく様を、日本語独特の平仮名やカタカナを用いてわかりやすく表現されていたことに驚いた。原書だとどうやって表現しているんだろうか。

  • 名著と言われるのが分かる。
    人物描写、感情表現が緻密で、特に知的障害者の子供を抱えている家庭内中でも母親の様子と子供の感情については、かなり抉られるものがある…
    さらに健常者の妹がいるのがこれまた辛い。彼女が生まれるまでは、チャーリィを可愛がり、正常にしようと、また1人で生活できるようにと尽力していたが、妹ができたら不安でたまらなくなり、妹から引き剥がそうとし、異常者として家庭から追い出そうとする。チャーリィはママが大好きで、なんでそんなことをするのか、当時はわからなかったが知性が身についてから理解する。こんなの辛すぎる。
    はたまた、最後の最後に実の父母に再会を果たすのも辛い。母がボケているのが最高に辛い。両者が逆転している様子である…

  • 残酷だけど美しい傑作。
    「人間的な愛情の裏打ちのない知能や教育なんてなんの値打ちもない」

  • よかった。とても良かった。
    内容は知的障害のある男性が手術により知能を得て、また失うまでをその人物の経過報告を主にして記す形式だった。


    大きく3段落に内容は分けられると思う。低IQのとき、高IQになったとき、再び低IQになった時。

    必ずしも知識があるからといってそれが本人の幸福に結びつくとは限らないし、たとえどれだけ利口になろうと過去の経験を拭って生きることは出来ないのだと感じさせられた。
    1人1人の人物がとても印象的で特徴があり、自分自身も主人公と同じ側面や博士と同じ側面を持ってしまっている、さらに言えば主人公の母親や妹の気持ちさえも自分にはあるのだと気付かされた。それは自尊心であり、周りに対しての劣等感や承認欲求、人を蔑んでしまう気持ちであったり、愛して欲しいと思うことであったり。加えて、周りの目を気にしてしまう部分のことだ。

    表現の仕方もとても良かった。一人称視点での文章でその人の知的レベルの変化を表現することはとても難しいと思うが、誤字脱字はもちろんのこと、一人称の変化であったり、熟語、表現の仕方でとても上手にグラデーションで知的レベルの変化が読み取れた。

    今のところ再読しようと思う気はない、なぜなら内容が重すぎるし、悲しくて次読む時には泣くのを耐えられそうにないからだ。だがもしまた機会があるなら読んでみて、その時の自分の感じ方の変化を再度記述したいと思う。(2024/01/31 21:47:24)

  • タイトルは知っていましたが大人になって初めて読みました。全てチャーリー視点で語られるからこそ知能の高低が文体に反映されている、というのを知り興味を持ちました。読み始めてみると一瞬で引き込まれ、日毎にわずかに変化していくチャーリーの文章や実験の様子、周りの人との関係や暗い過去に釘付けになっていました。知能が上がっている間に何か解決策や抗う方法を見つけられなかったのか、そうする時間すらなかったことにもどかしく思いながら後半は読み進めました。
    アリスと心の底から通じ合えた期間は一瞬だったけど、それは普通の人が一生かかっても見つけられるかわからないもの、というところがとても胸に響きました。
    あまりに短い間に知能を獲得し、それは急降下してしまったけれど、凡人では成し遂げられないことを成し遂げたことや、アリスへの愛を見つけられただけでチャーリーは幸せだったんじゃないかなと思いました。

  • 物語がチャーリイの経過報告という形で語られていたため、少しずつ彼が賢くなっていく過程を知ることが出来、気づけば彼に感情移入していました。
    読後は「これで良かったのだろうか…」というやり切れない気持ちでいっぱいになりました。
    私がアリスだったら、チャーリイの手術を止めたのかな?チャーリイはこれで幸せだったのかな?、と考えてもしょうがない事だと分かっていても、どんどん疑問が湧いてきてしまいます。
    今の私は答えを出すことは出来ないけど、また年を重ねて読んでいつか私の答えを出したいな。

  • アルジャーノン、チャーリー。。。

  • 名作すぎます

  • 感動。涙止まらない。

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